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やっぱり友達~奏side~

北海道の病院に勤務し、札幌住んでるわたしは3ヶ月に1回くらいで休みを見つけて東京に行っていた。

目的は瀬那。

瀬那は小学生の頃から剣道仲間でここ2年ほど元気がなく、若干鬱気味なのを感じてから定期的に東京に遊びに行っていた。


今日も仕事終わりでそのまま飛行機に乗り、瀬那のところに遊びに来ていた。


「明日はどーする??」


夜ご飯を食べてなかった2人でファミレスに来て、

ドリンクバーで持ってきたコーラを飲みながら瀬那に聞いた。


「なんか先週の夜中にテレビで特攻隊特集やっててさ。ちょっと気になるから靖国神社いかない?」


特攻隊?零戦の?

今まで好きとか話してなかったんだけどなぁ


いままではカフェとか◯◯ラボとか美術館とか行ってたこともあり、違和感を感じたけど瀬那の意見を尊重することにした。


「おー、いいね!じゃあそのあとは近くで散歩しながら喫茶店巡りしよ!」

「うん、そうしよ」


そんな会話をしていると注文した商品が届いた。


「お待たせしました、チーズハンバーグステーキお二つになります」

「おいしそう!機内食もなかったしお昼ぶりだ!いただきまーす!」


仕事の愚痴とか他の幼なじみのこととか、色んなことを話ししながらご飯を食べ、その後瀬那の家に向かいその日は早めに眠りについた。


、、次の日。

準備をして2人で靖国神社へ向かった。

そういえば、靖国神社ってはじめてきたなぁ。


記念館に入ると静かでなんとも言えない雰囲気の中、すぐに零戦の飛行機が目についた。


「なんかすごい雰囲気だね、、」


「そうだね、、、」


瀬那の目がいつもと違かった。


「これが零戦、、、」


ボソッと瀬那がつぶやく。

瀬那はもともと色が白い方だけど、なんとなく青く見えた。


「……瀬那?大丈夫?具合悪い?」


「…あ、ごめん、大丈夫大丈夫。行きたい場所あるんだけど先にそこいっていい?」


「いいよ!」


すると瀬那は来たこと無いって行っていたのに、他の展示物には目もくれず、一直線にある場所に向かった。


そこは特攻によって戦死した方々の写真が展示されているブース。


そしてある人の写真の前で立ち止まった。


【満田要】


ん?なんだろう、見たことあるような無いような?


すると瀬那が頭を抱えてうずくまってしまった。


「ちょ、瀬那?大丈夫?どうした?頭痛い?」


「……奏、桜が一列で咲いてるところって知ってる?」


「え?東京だったら目黒が有名だと思うけど……って本当どうしたのよ」


「なんか聞こえたの。私を待ってるって。桜が一面に広がってて、それ以外は耳鳴りがひどくて聞こえなくて……」


桜かぁ、、、

東京でもなければ地元?

でも瀬那の本家はどこだろう?


「ねぇ、瀬那の本家ってどこ?」


「うちらの地元。いわきだよ」(※福島県いわき市)


「そしたらもしかしてさ、富岡の桜道じゃない?」


「富岡?富岡に桜なんてあったっけ?」


私たちの地元から大体1時間ちょっと車で走らせたところに富岡という隣街があり、そこは桜の名所で有名だった。


「めっちゃ有名じゃん!瀬那行ったことない感じ?」


「んー、記憶にないから無いんじゃないかな」


「そっか、、、、じゃあ明日いこっか、一緒に。うち有給とれるように上に言っとくよ。瀬那のそんな姿みてたらただ事じゃないもんね?」


正直、いまの状況の瀬那を置いて仕事なんてできる状況じゃないと思った。

ちょうど有給使えって上司から軽く注意されてたし、今日連絡すれば問題ない。


「奏、ありがとう」


瀬那が再び満田要という人の写真を見てる間、

わたしはパパにLINEをしていた。


[パパー]

[どうした奏、今日は瀬那と会ってるんじゃなかった?]

[そうなんだけど、明日瀬那と一緒にいわき帰るから!]

[なんだ急に、何かあったか?]

[んー、話すと長いんだけど、富岡の桜の道に行きたくて]

[ん?森桜トンネルのこと?]

[多分それ!バーって広がってるとこ!]

[いいけど、急に?]


やっぱりそう思うよね。

わたしは事のいきさつを説明した。


[そーゆーことね。とりあえずお父さん明日休みだから車だすよ。久々に瀬那にも会いたいしな]

[ありがとう!バスで帰るからそのまままっすぐ行けるようにしたい!]

[はいよ、気を付けてきなね]

[はーい!]


とりあえず、明日の移動はOKっと。


瀬那が写真を見ながら考え事をしてる間、わたしは当時使われていたであろう物が色々描かれてる展示を見ていた。


んー、なんか見覚えあるものがあるなぁ


既視感を感じながらもわたしは瀬那が心配だった為すぐに瀬那のもとに戻った。


「とりあえず今日は帰ろっか!明日からの荷造りしないとね!あ!お母さんに帰るって連絡しとこーっと!」


次の日は朝イチで2人で地元行きのバスに乗り、帰省した。

パパは迎えに来てくれたが、瀬那に会えた嬉しさと瀬那を心配してるという感情が丸わかりな表情をしていておもわず笑ってしまった。


そして森桜トンネルに到着。

瀬那と2人で桜道を歩いていたとき。


「瀬那どう?まだ頭痛い?」

「いや、それが全然で、むしろスッキリしてるんだよね」

「そっかぁ、予想外れたかなぁ」

他の場所だったかなぁ、、、


二人でまったり桜を見ながら歩いていると突然瀬那が立ち止まった。


すると急に瀬那が地面に吸い込まれていった。


「瀬那!!!!」


わたしは瀬那を掴もうとするが瀬那の意識がなく、ギリギリで掴めなかった。


すると空から声が聞こえた。


「すまない」

「だれ?!瀬那を返して!瀬那どこいったの?!」

そのとき、目の前に兵隊の服を着た少年がいた

「あなた、、、」

目の前にいたのは昨日、靖国神社で肖像画を見た満田要だった。

「君から大切な友人を奪って申し訳ない。でも安心して。君の友人は死んでない。3年後の今日、またここに来てくれないか。君の友人はその日にまたここに送るよ」

「3年?!なにふざけたこと言ってるの!今すぐ返してよ!」


すると満田要はクスッと笑った。


「この状況で笑えるわけ?ふざけてるの?!」

「すまない。君の祖先となる人を知ってるんだが、君はそっくりでね。安心して。君そっくりの君の祖先となる人がヒナのそばにいるから」


ヒナ、、、?


「ひなこ、、、?」

「覚えてるのか。ならば話が早い。3年だけ君の友人を貸してくれ。伝えきれてないことがあるんだ」


「必ず、、必ず3年後の今日に瀬那は戻ってくるんだね」

「あぁ、約束しよう」

「、、、わかった」

「感謝する。わたしの力ももう尽きるようだ。3年後の今日、必ず迎えに来てくれ。頼んだよ、キヨさんの子孫、、、」


そう言って満田要は消えていった。


しばらくわたしはその場で立ち尽くしていた。


瀬那のご両親には何て言おう、パパには何て言おう。

瀬那の会社は退職代行使うとして、瀬那の家はどうしよう。

「奏?」

そうするとパパが迎えに来た。

「奏、瀬那はどこいった」

ポロポロ泣いていたわたしだが、パパの顔を見て号泣してしまった。

そして泣き止んだとき、パパに聞いた。


「パパ、わたしの先祖にキヨって人いる?」

「キヨ、、?あぁ、いるな、お父さんのひいばあちゃんだけどなんで知ってるんだ、、?」


あぁ、あの人が言ってたのはホントだったんだ。

それなら3年後、瀬那は必ずここに戻ってくる。

そう確信して全てをパパに話した。


「とりあえずわかった。瀬那のご両親についてはお父さんも一緒に行くから話しに行こう」

「パパ、3年後の今日、また連れてきて」

「もちろんだ。必ず来よう。瀬那の迎えに」


瀬那、きっとまた会えるよね?

絶対会えるよね?

必ず迎えに来るから。


わたしは桜を見ながらそう誓った。


この物語は一部歴史の実話を含むフィクションです。


歴史上の出来事以外の登場人物や場所は一切関係はございません。

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