夕日と共に
雛子(瀬那)·····現世ではSaas系上場企業のトップセールスマンだった。誰かの声に導かれて雛子として大正末期の1920年に生まれ変わり、日本軍のとある部隊の隊長の娘としていきている。
キヨ·····雛子の剣道仲間。気遣い屋さんで道場のナンバー2で雛子とはライバルでもあり良き友でもある。
吉田幹夫·····輪廻転生した主人公、雛子の父。帝国軍のある部隊の隊長を務めており、部下からも慕われている。
吉田幸·····輪廻転生した主人公、雛子の母。専業主婦で大きい屋敷を取り仕切っている。
次の日の稽古の帰り、わたしはキヨと話ながら帰っていた。
「今日も疲れたね~」
学校ではお父様の部下の娘や上司の娘もいるから敬語で話しているが、キヨとは特に飾らず、本当の意味で友達だった。
「そういえば、来週の稽古に先生の知り合いの人くるらしいよ」
「え、そうなの?キヨ知ってる人?」
「うーうん?知らないと思う。学校の先生とかかな」
「どーだろ、どんな人か楽しみだね」
そんな会話をしていると、後ろから声をかけられた。
「...あの!」
キヨとわたしは振り向くと、夕日をバックに満田要がいた。
、、あ、すっかり忘れてた。
「あれ?こないだ見学来てた子!たしか名前は、、、」
「満田要です。こないだ見学をして、かっこよかったので僕も剣道をやりたくて、、どうすれば入れますか?」
自分が若くして特攻隊に所属。そして殉職するなんて思ってもいないだろう。
「先生に話せば?防具とかの準備もあるし」
わたしは自分をこんな世界に呼び出した本人と話したくなくてぶっきらぼうに答えた。
「そ、そうだね、、入部したらよろしくね!雛子さん!」
「ちょっと、わたしは?!」
「あ、えっと、、名前教えてもらってもいい?」
「わたしはキヨ!もう、ひなのことしか見てなかったわけ?!まぁ強いしかわいいけどさ!」
キヨはプンプン!という効果音が似合うくらいほっぺを膨らましていた。
「ごめんなさい、キヨさんもよろしくね!」
「もってなによ、もって!入部したら覚えてなさい!」
何をそんな熱くなってんだか笑
「それじゃ、またね」
わたしはそう言い、再び歩きだした。
きっとここから絡み出す満田要。
でもあんなおどおどしてる人と仲良くなるの?
理解できない。
「じゃあわたしはこっちだから!ひなまたね!」
「うん、お疲れ様!またね!」
キヨと別れてからもわたしはこれから要とどう関わるか、どう接するのかだけを考えているうちに自宅に到着した。
「ただいま帰りました」
「あら、おかえり、今日も疲れたでしょ。ご飯できてますよ」
「お腹空いた!先に着替えてきます!」
わたしはすぐに着替えてお母様と夕飯を食べ、宿題がおわってから就寝した。
この物語は一部歴史の実話を含むフィクションです。
歴史上の出来事以外の登場人物や場所は一切関係はございません。