70. 引き継ぎのための2年間でした
12月29日、明日は家族3人だけで霊園へ行って
ささやかな三回忌を行おうという夜のこと、ラムは寧々と2人で話していた。
「ママの結婚式の日から少しずつ剣蔵の記憶が薄れてるの」
「それはラムちゃんは大丈夫なの?」
「うん、私はなんともない。
知識もそのままなんだけど剣蔵のプライベートな記憶が消えてく感じ。
もう会社やってたことしか分からなくなっててなんていう会社だったかも忘れちゃった。
今はただ愛子と寧々との楽しかった日々くらいしか思い出せないの。
でも、それも今晩で消えると思う。ごめんねママ」
「ラムちゃんが無事ならそれでいいよ。
そうか剣蔵…お父さんは死んでから2年間も見守ってくれてたんだね。
ほんとのお迎えが来たんだ。これでお母さんのもとへ行けるのか。
ありがとうお父さん。私はもう大丈夫だよ。
愛する人と結ばれたし、血の繋がった娘のラムちゃんがいるもの」
「ママ、今日は一緒に寝てもいい?」
「いいよ。おいで」
※※※※※
お坊さんに墓前で読経をしてもらってお布施を包み、直樹だけが霊園の待合所まで送っていった。
寧々はお墓に愛子の好きだった和菓子をお供えした。
「ママ、お祖父ちゃんに葉巻きはお供えしないの?」
「お祖父ちゃんはもう葉巻きは要らないってさ」
寧々は泣き笑いのような顔をして今日で16歳になる愛娘の頭を撫でた。




