表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/70

68. 母(娘)の結婚式

寧々(ねね)と結婚式の話をしてから2週間もしないうちにその日を迎えていた。

結構ギリギリだったようだ。

本人もボケボケだったからラムのせいではない。はず、たぶん。


ラムになってから初めてフォーマルな(よそお)いをしたことになる。

ドレスは薄い紫色のマーメイドタイプなのだが(すそ)がそこまで長くないので

身体に沿うようなラインだけでかなりおとなしめである。

同色の()け感のあるレースのボレロを羽織り、大粒の真珠のネックレスを付ける。

靴はグレーのハイヒールで同色のブランドもののクラッチバッグを持つ。

髪はルーズに緩く編み上げたポニテである。

少女がちょっと背伸びした感があって逆に年相応(としそうおう)に見えるから不思議だ。

普段のエロい系美少女が相殺(そうさい)されて両親の結婚式に相応(ふさわ)しいもうすぐ16歳の少女に仕上がっている。


「ママ、おめでとう。

直樹さんはもうパパだけど今日はママの新郎(しんろう)の直樹さんです。

二人ともいつも私を気遣(きづか)ってくれてありがとうございます。

私は毎日とても幸せです。

直樹さんはもうママとラブラブだけど改めて今日という()き日に愛を誓ってくれて嬉しいです。

これから先も永遠にママを幸せにしてね。

ご結婚、おめでとうございます」


スピーチを当日になって急に振らないでほしかった。

(はがね)メンタルとイミフなカリスマがなければ流石(さすが)に難しかった。

出席者は全員ボロ泣きだ。

紀香(のりか)さんなんかは声をあげて号泣している。良い人だ。なんかゴメン。

身内ばかりで全員がラムの出自を知っているのだから、

無邪気に養母の結婚を祝う、記憶喪失のまま拾われた養女という涙を誘うシチュしか思いつけなかった。

ウッカリ、ブライダルの人からの指令を当日まで伝え忘れたママも泣いてんじゃないよ。

こっちまで泣けてきてもうカオス。まあなんだ娘なのか父なのか混乱しただけだよ。たぶん


結婚式は挙げたが新居は来年の夏に完成予定なのであいも変わらずいつものマンション住まいである。

もっと広いところにでも一時的に移ればいいと思うが、愛着があるから新居に移るまではこのままでいいらしい。

そういえばあのまま別荘に住んでいてもよかったはずだった。

新婚旅行は年が明けてから行くことになっている。

やはりヨーロッパを回るらしい。

ラムもどうかと言われたがさすがに新婚旅行についていくのは野暮(やぼ)というものだろう。


結婚式で撮ってもらっていたスピーチの動画をなんとなくS5のグループライムに送ったら、

全員から長文の感想文が送りつけられた。

そういえばS5にも出自の話をしていたのだったと思い出しちょっと悪いことしたなと思うラムだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ