57. 幻獣かもしれません
学園祭ライブと後夜祭での弾き語りソロの動画がアワチューブのチャンネルに上がってからまたラムの身辺が騒がしくなった。
隠すつもりもなかったがそれほどオープンにはしていなかった学校が特定されたわけだ。
なにしろ学園祭だからね。
そして止めは後夜祭でフルネームを名乗っていたのがそのまま漏れた。
シズカの管理する公式動画では当然削られていたのだが他の生徒が撮った動画にはバッチリ入っていてそのまま拡散してしまった。
完全な身バレである。
つまり謎の美少女ロッカーであるキャンファの鬼さんは
鵬皇学園高等部1年3組の鬼ヶ崎ラムさんであると誰もが知ることとなった。
まあ本人的には遅かれ早かれそうなるだろうって感じなのだが、これに両親が心配した。
徒歩での登下校時にボディガードを付けようという話が具体化しそうになったのだ。
これには少し慌てた。お金なんかは気にしないが日常生活が時間に縛られることになるのは最悪である。
何時何分に登校しますとか下校しますとか明確に決めておくことになる。
社長時代はそいうのを秘書がすべてやってくれたがJKに秘書は付かないものだ。
ということでラムはクラスの女の子たちと一緒に登下校するようになった。
最寄りの駅前に住んでいるのでテキトーな通学時間帯に出れば誰かしらに会う。
帰りは遅くならないように気をつければ誰かしらと帰れるということで、
皆んなに事情を話して素直にお願いしたのだ。素直な態度のラムは相当可愛い。
特に同性は母性本能をくすぐられるらしく、逆に皆んなが時間を合わせてくれるようになった。
「なんかラムちゃん、人気者だね」
「うん。でもちょっと扱いが変わったかも。ペット枠に認定されたっぽい」
「あー、分かる!そういう感じの可愛さも持ってるもんね」
「え、どういうこと?私って犬猫的なとこあんの?」
「そういうんじゃないよ。ちょっと人外っぽい感じ?幻獣みたいな」
「ネッシーとかツチノコみたいなこと?」
「いや、UMAじゃねーよ!ファンタジーな存在なんだよ」
「ドラゴンとかグリフォンとか?」
「いや、最低でも人型だろがい!もうシルフとかニンフとかの精霊でいんじゃね?
美少女の自覚があるくせに化け物想像すんなや」
「幻獣ていうからケモノ的なことかと思ったじゃん。精霊は幻獣のイメージないなあ。
人型の幻獣って何があるかな?サキュバス?」
「それはダメ。ラムちゃんが発していい言葉じゃない」
「ミドリちゃんに真顔でダメ出し食らった!」




