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43. 音楽合宿1日目(前半)

※2025/1/20 加筆修正

お盆過ぎにいよいよバンドの合宿が始まる。

合宿は2泊3日、富士山近くの湖畔にあるスタジオ付き貸別荘をマネさんが押さえてくれたのだ。

若干期間が短いようにも思ったが普通は宿題の進捗(しんちょく)が気になってくる時期だろうから妥当なものだ。

機材も結構揃っているので練習スタジオに行く感覚で行けそうだ。

開眼ロリっ娘の株が爆上がりである。

夏休みはイベントごとに濃度が高くバラけてあったので、まとまった音楽制作や楽器練習の時間をとれなかった。

そのため集中的に音楽に取り組める合宿が非常に楽しみである。


※※※※※


合宿初日に現地集合ということでパパの車で送ってもらった。

別荘からは1時間半ほど。

チェックインは14時なので別荘で早めの昼食をとってきた。

金さん銀さんはマネさんの家の運転手さんが3人まとめて運んできたらしい。

既に到着してチェックインも済ませていた。

いや遅れたわけじゃないけどギリギリではありました。

で、貸別荘に鬼さん登場と。


「いや、いいっすねーここ。機材もしっかりメンテしてあったっす」


「うんうん。ずっと住みたいくらいだよー」


「鬼さん…会いたかった」


「うん、私もー、マネさん、色々やってもらっちゃってありがとね。

マネさんのお父さんにとってもらった夏フェスの時のホテルも最高だったよー。お礼言っといてね」


「もったいないお言葉です。私たぶん今日死にます」


「まあそう言わずに、もっと生きて手伝ってよね」


「私、生きます」


「鬼さんがマネさん転がしはじめた!天才か」


「ねーねー、鬼さんアワチューブ見た?」


「マネさんからリンクもらった時に見たよ」


「ノーノー、そうじゃなくて最近見てないのー?」


「最近?活動してないから変わってないよね?」


「スタジオ練習の時のカバー曲撮ったやつあったっしょ。あれ、マネさんが上げてるんすよ」


「え、なんで?あれってスタジオ2回目の結成したての時のやつでしょ」


「なんかライブの動画に付いたコメントにブチギレてマネさんがやっちまったらしいっす」


「美人で歌が上手くて曲も良いけどギターが大したことないなどとほざく(やから)が湧きましたので上げました。

そしてコメが自主的に削除されてました。後悔はしてません」


「それでそれで、(ささや)き声とギターテクでちょっとだけバズったみたいで結構な再生数になってんのー」


「うーん、その再生数?バズるとか、そのへんまだよく分かんないんだよね。

それだけ見てくれてるってことだよね?ならいっか」


「鬼さんてたまに雑に寛容っすね。まあ良いところだと思いますよ」


ラムは分かっていたのだ、ぶっちゃけまだ自分たちのオリジナル曲がカバー曲に負けていることを。

演奏力は新人バンドとしてはかなりのものという自負はあっても曲作りは完全に初心者である。

1周目では他のメンバーが作った曲に見よう見まねでギターソロを入れた程度しか創作の経験がなかった。

考えてみればジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスもディープ・パープルもヴァン・ヘイレンもデビュー曲はカバー曲だった。

最初にカバーが評価されるのは演奏力のあるバンドあるあるかもしれない。

だからこそ曲作りを全力で頑張りたいのだ。


「じゃあせっかくだからスタジオ使って1回復習しようか」


「了解っす」「おけおけ」


※※※※※


「うん、ココいいねー、うちのマネージャーほんと有能」


「…」


「いや、それだけで泣くて」


「それじゃあ、打ち合わせしますか。

この3日間で1曲作って仕上げるってのが前に決めたことだけどそれでいいよね?

でさ、進め方をどうしようかって話なんだけど…

まず自分の曲の作り方で言うとコード進行からある程度決めてギターで鳴らしながらテキトーに歌う感じでやってます。

まあ結構ありがちなやり方だね。金さん銀さんはどうしてんの?」


「アタシらは恥ずかしながらまだ纏まったものを作れてないんすよ。

出来ればおいおいそのへんも教えて欲しいっす。

その後、コードとメロディが決まったとこからのアレンジからはやってるんすけどね」


「うん、教えるのはいいんだけどギター弾ける?鍵盤でもいいんだけど」


「アタシは初心者レベルっすがギター弾けます」


「はいはーい、鍵盤ちょっとだけー」


「ならやってみるか。でもそれは合宿終わってから考えるとして。

まず、私のやり方でデモを、出来れば今日中に作ると。

んで、どんな曲にするかなんだけどさ」


「今のアタシらに足りないのはバラードっす」


「それそれー」


「ずいぶんハッキリした答えだね」


「結構言われてんすよ。もう学校中が動画見てると思ったほうがいいっす。

直接的にも間接的にも「バラードがない」って言われちゃってて。

鬼さんがバラード歌わないのはおかしい!犯罪だ!みたいに()められるんすよ。

なんで、この合宿でなにがなんでもバラード作ってもらう覚悟で来たっす」


「お、おう。なんかゴメン。じゃあバラードで。

あとは…そうだな私がコードとメロディ(ひね)り出してる時に歌詞考えといてよ。

バラードっぽいのお願い。ラブソングとか考えんの苦手なんだよな」


「了解っす。歌詞になるかどうか分かんないけど一応考えてみるっす」


「私は何をすればいいですか?」


「マネさん料理出来る?食材は持ってきてくれたんでしょ?」


「頑張ります!…私の手料理をラム様が…ジュルリ」


「…まいっか。じゃあ各自作業開始!」

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