21. Can’t Find My Way Home
鬼ヶ崎裁きの時の外部生代表が手島結衣で金メッシュをツインテールにした老舗和菓子店の娘でベースをやってる。
身長は165cmくらいだろうか、ラムほどではないが女子としては背が高い。
体形もスリムなので第一印象からノッポという言葉が浮かぶ。いかにもベースが似合いそうである。
容姿はキリッとしていて同性受けするだろう。
その相方が叢雲栞で銀メッシュをポニーテールにした高級官僚の娘でドラムをやってる。
身長は150cm弱といったところでシズカほどではないが低めでドラムを叩くのは意外の感がある。
タレ目の癒し系は万人受けしそうだ。
ここに外人体形の天然セクシーなラムがギタボで入ったトリオ編成のロックバンドとなる。
もうヴィジュアルだけならメジャーデビュー出来そうである。
放課後の駅前のバーガー店でのバンドの初顔合わせ。今は自己紹介的なのを終わらせたところだ。
「もう金さんと銀さんでいいよね」
「なんすかそれ。じゃあ鬼ヶ崎さんは鬼さんでいいっすかね」
「いいねいいね。すごくロックだねー」
「ストーン・ローゼスって知ってる?」
「あ、マニとレニっすね!金さん銀さんはそれに倣ったと。いやそれ最高っす!
もうアタシは金さんがいい。シオリンも銀さんにしな」
「うんうん。ウチも銀さんでけってー」
「ついでに私も鬼さんにしよ」
こういう時の会話は結構重要でお互いの空気感を把握する意味があるとかないとか。
まあ普段からバカ話くらい出来ないとギスギスしちゃうだけなんでね。
「じゃあじゃあ、ついでにバンド名も決めよーよ。鬼さん、なんかある?」
「えっと、英語のやつでいいならないこともない」
「べつにべつにコダワリないからいってみてー」
「キャント・ファインド・マイ・ウェイ・ホーム。
長いんだけどさ、意味は「帰り道が分からなくなっちゃった」ってゆー感じ。
私たちとしては「もう戻れないくらい突っ走りたい!」ってことでどうかな?」
「ファー!って変な声出た。天才かよ。鬼さんスゲーっす!もう他は考えらんない」
「もうもうロック!すでにロック!思考がロックな人だーハハハハッ」
「スティーブ・ウィンウッドがエリック・クラプトン、
ジンジャー・ベイカー、リック・グレッチと結成したスーパーグループ、
ブラインド・フェイスで活動してる時に作った名曲の題名なんだよ。良い曲なんだー」
「鬼さんの蘊蓄が止まらない!
じゃあ我らキャント・ファインド・マイ・ウェイ・ホームの結成を祝しまして、ダイエット・コーラで乾杯!」
「「乾杯!」」
「えーと、それじゃスタジオ行く日と、とりあえず合わせる曲決めよっか」
「なんかストーン・ローゼス1曲はやりたいっすね。
そのスティーブさんの曲はどうっすか?」
「残念なことにアコギなんだな。べつにエレキかエレアコでやってもいいけど最初は外そう」
「お試し3曲って感じであと2曲っす。アタシがローゼスなんで各自1曲ずつ出すっす」
「じゃあいきなりインストで悪いけどSRVのスカットル・バッティンで」
「おー、渋いっすねー、あれが弾けるっすか。楽しみっす。ほれ、銀さんも頑張れ」
「えーえー、それなら鬼さんになんか日本語歌わせたいかな。アニソンとかどーかなー?」
「分かんないけど決めたやつ頑張ってくるよ」
「ローゼスはドライビング・サウスにしよ。
ギター超カッコいいっすから。SRVいける人ならちょうどいいっす。
アニソンは有名なバンドものに限ると結構絞られるっす。銀さんはよ」
「じゃあじゃあ、ほんとは英語の題名だけど大人の事情的なアレかもだから神様が知ってる的なやつで」
「うん、あれね。分かった。
じゃあ次の土曜日とかでいいかな?スタジオってこの辺はどうなんだろう」
「土曜日って明後日っすか。いいスピード感っすね。
スタジオは2つ先の駅前のをアタシらよく使うんでそこでいいっすかね。
あとで予約とったらリンク送るっす」
「おっけ、じゃあそーいうことでヨロシクね」




