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これから

初投稿です。お手柔らかにお願いします。

「うああああああっっっ!」

「ぎぃいいいいい!くそババアがあああ!」

俺が家に着くと、そこには今まで遭遇した困難よりも圧倒的に最悪な場面が広がっていた。

母は頭を抱えてひたすら泣き叫び、右手に持った何かで”何か”を殴ろうとしている。

その母に前からしがみつき、右腕に握られたものを力ずくで奪おうとしているショウダの姿もあった。

「な、何してんだよ。母さん。ショウダ」

二人とも俺がいることに気づいていない。それもそうだ。二人は今何かにとらわれている。

何かを殴ろうとする母さん……。それを必死に止めるショウダ……。

子供の存在が許せなくなってしまった母さん。兄弟の存在だけが生きる意味である弟。

俺は気づいてしまった。

「エル……エル!!」

俺は母の足元を見やり、素早くその”何か”を拾い上げた。

「エル!嫌だ!エル!」

バキッ

何かが俺を殴った。

ショウダが母から離れ俺にしがみつき、必死にもがく。

「エルを返せ!くそニイが!!」

弟を俺から奪い取り、崩れ落ちる。

「ああああ……!おまえらのせいだ……!産むだけ産んどいてごみ扱いしやがって!!ニイお前もだ!お前がいない間、何が起こっているか知らない癖に!お前だけこのババアから許されてるからって!!エルを殺した!!」

何を言われたのだろう。ショウダの口から出る罵倒が俺の脳内をかすめていく。

殺した……?俺が……?

「ううっううっ。ニイ、あなたは母さんの味方よね……。あんな子知らない……。私が生んだんじゃない……。もう消えて……!」


「……俺が守ってきたものはこんな……」

何も

わからない


地響き。そして雷が落ちたかのような低い破壊音。

気が付けば家とその周辺10mほどの範囲で地面が砕け散っていた。

空ってこんなにも広かったのか……。

「……こりゃまたずいぶん派手にやったねぇ」

「……」

この声は誰だっけ。頭が働かない。

「んー、思ってたよりも再会が早かったね。ニイ君大丈夫?意識はあるよね?」

「……」

夕刻の男か。抗う力はもうない。こいつに連れていかれてもいいか。

俺はすべてを破壊してしまった。

「大丈夫。誰も死んでないよ。奇跡だ。これだけの魔法を使ったのにね」

「……違う、エル……、まだあんな赤ん坊だったのに……!」

「……。あの子の死は君のせいじゃないよ」

「違う違う違う!俺が……ずっと一緒にいれば……。もっと早く家に帰っていれば……!」

「……、そうだね。その点では僕も君と同罪だ」

サイレンの音が近くに聞こえる。

「僕が警察を呼んだ。事情はある程度話してある。母親の児童虐待で子供が一人死亡した、とね」

「!?待て。母さんは捕まるのか……!」

「そうだね。今回の事件があったにしろ無かったにしろ、問題のある人だったよ。いつかはこうなっていた」

「……」

いろんな思考が頭をめぐる。母さん。ショウダ。エル。……いなくなった父さん。

俺はともかく、ショウダはこれからどうなる。あいつはあの家から出たことがない。

言葉はしゃべるが、まともな話し方はできない。俺が守らなければ……。

(エルを殺した!!)

いや俺に守られても、もう仕方ないのかもしれない。ショウダは俺のいない所でまともな生活を学んで、ちゃんと幸せになる。

ショウダをどこかに託そう。優しくて暖かい家がいい。そうだ……。早くそうしていればよかった。

「ニイくん、色々思うところがあるようだけど、君と弟の行先については考えがある」

「お前……!何を勝手に!あの時俺は保護なんてするなと言ったよな、それはお前を信用する理由が一つもないからだ。今この状況でもそれは変わらない」

「とはいえ、君たちは何処に行ったらいいのか分からないだろう?それこそ街をさ迷っていたら何処で何に合うか分からない。信用してくれとは言わない。ただ1度でいいから話を聞いてくれないか。僕は君を信用するよ。弟の為であれば、最善の選択ができる人である、とね」


それが俺たち兄弟の運命を変える一大事となった。

俺とショウダがこれから違う道を辿っていくこととなることは、これから先の話だ。

ここまでお読みいただきありがとうございました。彼らの物語はこんなところですが、続くかどうかは不明です。

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