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6話 残忍な死のパーティー

 あの悪名高きダンディリオンの領主が囚えられた! 

 そのニュースは瞬く間に広がり人々は晒し台に磔にされている領主を言葉汚く罵っている光景がヘリオトロープの広場にこだまする。

 そしてあの領主の悪評高い話はジャンヌがその人物から直に聞いて、そして復讐の機会を与える事にした。

 

 とある女性達の話から一部を抜粋する。


 希望の街ヘリオトロープに避難してきた女性達が言うにはあのダンディリオンの領主は弱者から金を吸い上げ私腹を肥やす領主だという。

 姿は恰幅のいい老人だが気品は感じさせない品性下劣な野郎とのこと。側には割と若い美人の嫁とクソ生意気な子供が一人。

 株で大損すれば、お前達みたいな貧乏人の嫌な臭いがついたからだ平然と言い、今月はピンチだからと急に税金を高く取り立てたりと枚挙に暇がない。

 ダンディリオン制圧前の事、ジャンヌはこの街に占領するだけの価値はあるのかとスカーフェイスに問うと、厳重に保管された金庫には大金が眠っている事が判明したようだ。その金はヘリオトロープで運用した方がきっと市民の為になるし、何より還元されるのは悪い事ではないと意見を述べる。

 そして間もなくダンディリオン攻略作戦が開始される。

 ドラゴンライダーによる空襲が始まればその攻略作戦は気が抜けるような簡単な作戦だった。

 そのまま領主が囚えられ、領主の屋敷にはヘリオトロープを拠点に活躍する盗掘団、【混沌の盗掘団】が金庫の開けようとやってきた。

 その間、領主は減りもしない悪態をつく。


「この無能な領民共! さっさと儂を助けないか!」

「捕まって清々しているよ。クソ野郎、てめぇなんかさっさと死にやがれ!」

「貴様らこそ死ね!」

「無様ね。私は最悪な気分よ」


 どうやらこの領主の悪事はこれだけじゃない様子である。話を聞くに、気分がいい時はお金をばら撒く癖に、一旦危機になると自らの豊かな生活を第一に考えるらしい。

 何処から取り寄せたか判らない高級ワインを飲みながら、美人の嫁とどっぷり愛欲のパーティーに耽る。子供は親がこうならネジ曲がるを地でいくので、貧乏人の同年代を観てはバカにして自分の家の自慢ばかりしている。

 そんな話をさせられれば、人が離れるのも必然だ。心から親友と呼べる奴はいない。着いてくるのはクソみたいなお坊ちゃんだけだ。

 いつしか領民は誰かにダンディリオンの崩壊を望むようになった。

 その時が来て、崩壊を望むという事は火炎や刃に晒される事でもある事を知る。

 何人かも定かではない犠牲の上に革命の狼煙がようやく上がりそうだ。

 

 そうして……月も星も浮かばぬ真の暗闇の中で恐るべき死のパーティーが開かれようとしていた。

 

「まずは手の指を一本ずついこうかしら?」

「遠慮なく落とすよ」


 その死刑執行はタリアとシャルルが中心だ。タリアの愛用するナイフが親指から切断した。血が噴き出し、領主の叫び声が響く。


「あ〜ら、良い声で鳴くじゃない。感じてきちゃったわ。次は……」


 中指を切断する。このじわじわ嬲り殺すスタイルで行くらしい。

 磔台の地面が早くも血で汚れ始める。

 そうして、じっくりと指を切断されると、次は足だ。ふくらはぎから切断された。

 このままでは余りの痛みに狂ってしまう。だが、ヘリオトロープの死刑執行人は苦しみを和らげる事はしない。

 冷たい言葉が飛んでくる。


「助けて欲しいなんて思わない事ね。だったら最初から領民へ気遣いしておけば良かったのよ」


 ジャンヌの冷たい瞳が闇夜にきらめく。彼女が股間に蹴りを入れた。


「良かったわね。ジャンヌが穢らわしい玉を潰してくれるそうよ?」

「ほら、もっと叫んだらどうなの?」


 蹴りを股間に入れる事、20回。領主は余りの痛みに悶絶している。

 

「つまらないわねぇ、もっと叫びなさいな」


 ついに象徴が出されると容赦なく剣にて切断された。周囲の男性達は冷や汗をかく。


「俺達も気を付けないとああなるな……」

「そ、そうだな。気を付ける事にしよう……はは……」


 男性陣のレムリア・エリオットとスカーフェイスは乾いた笑いしか出てこない。ああいった残虐行為はむしろタリアとシャルルの専売特許だ。彼女らの残虐さは何処でも評判になる程に徹底している。

 ダンディリオンの領主は余りの痛みに涙を流しているが、彼女らに言わせると


「お涙ちょうだいかしら? 嘘っぱちの涙で騙される程、お人好しじゃないんだよ!」


 タリアのナイフが耳を切り取った。

 切断された部位が、肉片となり散らばっている様は吐き気を催す。

 だがタリアとシャルルは血の匂いで興奮してきているのか、更に追い討ちを始める。


「ゲスな奴の血の匂いはやっぱり興奮するわ。殺し甲斐はあるってものね」

「た、助けてくれ」

「お願い、命だけは」

「は? 馬鹿な事を抜かすんじゃねぇよ」

「お願い、妻にだけはこんな仕打ちは」

「バーカ。するに決まっているに違いないだろう? 期待するんじゃねぇよ」


 タリアとシャルルの儚く無情に未来を打ち砕く言葉は直接的なのでわかりやすい。

 

「そろそろ奥さまも登場させるか。連れてくるよ」

「エリオット、お前より俺の方がいい。お前だと優しすぎる」

「くれぐれも逃がすなよ。淑女だからと逃がすとスカーフェイスと言えどジャンヌに半殺しにされるぞ」

「ジャンヌは怖い……心を鬼にして連れて来るしかないな」


 今宵の死刑執行パーティーはこれからだ。

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