第一章 出会った心
第一章 出会った心
そこは、とても美しい緑と、綺麗な水のある、幻想的な山の奥。
草木は生い茂り、朝露に濡れて光っている。近くには透明で澄んだ水が小さな川となり、流れていた。
その川のほとりに、少しばかりの平野があった。
そこに、小さな小屋がポツンと建てられている。
誰も住んでいないのか、中は真っ暗だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ある日、その小屋に近づく少女がいた。
ゆっくりと、フラフラしている足取りで、少女は小屋にたどり着いた。
目の前に広がる、幻想的で美しい景色を見て、
「きれいね・・・」
そうつぶやいた。
少女は、とても長い白髪を腰まで垂らしていて、綺麗な蒼い瞳を持ち、細くて白い肌にうっすらと血を滲ませていた。
少女はしばらくこの景色に圧倒され、食い入るように見ていたが、小屋の存在に気づくと、
「誰か・・・、いませんか?」
か細い声でそう言った。
返事は無い。少女は少し安心したように、扉を開けた。
ほこりが舞い、薄暗い小屋の中は、ずっと人がいないらしく、蜘の巣も張っていた。
少女は奥へと進んでいくと、
「・・・あ」
小さく声を上げた。
少女は、安楽椅子を見つけた。ボロボロで、脚が壊れてしまっている。今にも、少女が乗ったら、崩れてしまいそうだった。
誰からも必要とされていないであろう、その安楽椅子に、少女は妙に近親間を覚えた。
「あなたも、ひとりぽっちなの・・・?」
少女がそう訪ねるが、安楽椅子は黙り込んだまま。
「私もね・・・ひとりなの。似ているね、私達」
少女が微笑んだ。
少し、安楽椅子が動いたような気がした。