魔力測定
「じゃあ時間もないし、早速だけど始めようか」
そういうとイーヤ先生は何かのリモコンを取り出して操作し始めた。
地面が割れたかと思えば下から大きな機械が出てきて、イーヤ先生は近くまで寄ってオレを手招きする。
「これは潜在魔力を測定する優れものでね。今の魔力量を測ってみるから、この水晶に手をかざしてくれないかな?」
「……わかりました」
なんか緊張するなこれ。
手をかざすだけで測れるのは一応経験済みなので結果は分かっている。だが、もしかするとを考えると萎縮してしまうのは、いまだに自分の能力を理解できていない証拠だった。
「おっ、結果が出たよ」
軽い調子で終わったことを告げられ、かざしていた手を離す。
魂が水晶に引きずり込まれるような感覚は二度目では到底慣れることのできない嫌なものだ。
それに不安が加わって、期待と不安で、久しぶりに胸の鼓動がよく聞こえた。
「えーっ、レオ君の潜在魔力評価は……S!? しかもMAXってことは……ご、ごめんね。取り乱した。すごいね。才能あるよ。学園長以外でこの結果を出したのを見たのは初めてだよ」
「えっと、潜在魔力が多いのって強いってことですよね」
ひとまずは、ほっとした。
魔法使いについて何も知らない事ばかりなので、気になったことを聞いてみる。
「もちろん。潜在魔力の研究はだいぶ進んでいるんだけど、個人差の他に成長させるために必要な条件からなにまで、今でこそ分かっていることだからみんな高い数値を出すことができるけど、天然でこの数値は明らかに異常だよ。……あ、異常ってのはいい意味だから」
それもまた一種の才能、ということだろうか。
「てことはオレはもう成長限界ってやつなんですか?」
「うーん、さっきも言ったように学園長以外に僕はMAXに達した人を知らないんだ。歴史的に見ても、この装置が作られたのが最近すぎて前例が少なくてね。ないとは言い切れないとしか言えないかな」
「そっすか。……で、これで編入試験は合格ってことになるんですか?」
だとしたら嬉しいんだけど、そうはいかなかった。
「まさか。あと一つだけあるからちょっと離れてて」
そう言って、オレとイーヤ先生は測定器から離れると、もう一度リモコンを弄って、違うものが地下から出てきた。
「今から10分以内に、ここから離れたあの的に向かって魔法攻撃を行ってもらう」
ずらりと並ぶ壁が、まるでドミノのように奥まで続いていた。