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「超」短編集〜スナック菓子の如きお手軽なろう小説、天邪鬼風味〜

作者: Yamato

リハビリも兼ねて。考えるな、感じろ。

そして何も言わずにそっ閉じしろ。

【異世界転生しましたが時代設定どうなってるんですか】


『色々あってトラックに轢かれて死んだら神様的な人がなんやかんやで異世界に転生させてくれました』


 …ここまではいいんだ。だけどな…


 空を行き交う流線型のナニカ。

 円筒型の居住空間。

 渋谷のネオンの様にカラフルな人々の肌、髪。


「いやどうしろってんだコレ!!!!????」


 街の中は異常に静か。

 なぜなら人々は全て脳に埋め込まれたデバイスで、しかも発音するよりも遥かに迅速なスピードでコミュニケーションをしているのだから。


 そんな中俺が大声を出しても誰も見向きもしない。

 …俺のデータすら皆そのデバイスで認知してるんだから。


(うっわコレ詰んでる…?)


【老婆ーロード】


「あたしゃ魔王になるよ!」

「もう既になっておられるますぞ、陛下」


 ここはある異世界の魔王の城。


 認知症の女魔王が勇者を撃退し続けて早数百年経過していた。


 どんな感じで勇者達を撃退しているかというと、


「よくぞここまで来たね…フガッ!」


 うっかり入れ歯が抜けた魔王様。それを見た勇者は


「ヒッ」


 驚きのあまり心停止。


「呼吸してないぞ…!」

「死ぬな勇者!!」

「おのれ魔王!」


 勇者の犠牲を糧として立ち上がる仲間たち。しかし


「フガッフガッフガッ!ほごごご」


 きっと素晴らしい悪役的セリフをおっしゃっておられるのでしょうが、入れ歯がないと何が何だか聞き取れない魔王様なのだった。


(流石に私も助太刀した方がよいか)


 と思い魔王様の右腕である私が剣を抜こうとするとーー


「『フガガッ・ホ・ゴッ・フガッ』!!」


「なっ!?それは伝説の破滅魔法…!」


 運良くその発音が破滅魔法として認識されて勇者達は塵芥。


「ぐわあぁぁぁぁぁ…」


 ここまでのことをしておきながら、入れ歯を戻した後のセリフは


「昼飯はまだかい!?」


 であった。

 戦闘直後にこの発言。

 まさに魔王の素質と言えよう。


「ご昼食は先ほど召し上がりましたよ、陛下」


【ハーレムofゴーレム】


「ついに出来たぞ!美少女型のゴーレムが!!」

「アナタガ・ワタシノ・ゴシュジンサマ・デスカ?」


 苦節15年、ついに私の理想とするプロポーション、性格、素材、魔力、その他etcを揃えたゴーレムが完成したッ!

 特にこのテンガ地方の粘土で作られた煉瓦によるこのテカリ具合…最高すぎてこの土の香りだけでテクノブレイクしそうだ…


「よし、他にも作りたい美少女型ゴーレムが沢山いるからな…」


 エルフ型ゴーレム、女騎士型ゴーレム、のじゃロリゴーレム…ぐへへへへ…


【生存本能】

 なんやかんやあってオーク達の住む洞穴に囚われた女騎士!


「ぐへへへ…どう遊んでやろうか…」


 舌舐めずりをしながら拘束された女騎士に近くオーク!歴戦の女騎士ともいえどもここまでか!


「くっ、生かせ!」


 一瞬の硬直。

 誰かポーズ機能でも使ったのかと疑うレベルの綺麗な固まりっぷり。


「…はい?」


 太眉に浅黒い肌、目に強い決意を秘めた女騎士は当然のように、想定された例のセリフとは正反対のことを言ってのけたのだった。


「女騎士としてのプライドは無いのか貴様ァ」


 ヴィランとしての立場を弁えたオーク先輩も流石にお怒りだ。

 しかし女騎士はあっけらかんとした顔で


「いや、誰でも死ぬのは嫌だろう」


 と言ってのけたのだった。


「まぁ確かにそうだけど!」

「だからお願いだ、卑劣なオークども、一思いに私を生かせ!」

「いや待て待て待て待て待て」


 様々なオーク達からブーイングが上がる。


「そ、それが人に物を頼む態度か?女騎士サンよォ!」


 どうやらオーク先輩はそういうルートに切り替えたらしい…が。


「貴様ら人じゃないじゃん」

「ズコーッ」


 おんなきし の マジレス !

 一昔前のリアクションをしたのち、再び頭を抱えるパイセン方。


(おいどうすんだあの女騎士!?今までにないパターンだぞ???)

(どうすんだって言われても主犯格アンタじゃん!!)


「フッ、仲間割れとは醜いな!」

「オメーも大概醜いだろーが!!!」


 何故か勝ち誇る女騎士と神速のツッコミを入れるオーク達。


「さぁ私を生かせ!」


 シリアスな表情をしながら命乞いをする女騎士。


 オーク達は歯軋りをしながらそんな女騎士を睨みつける。

 だが、ここで一人の天才が現れた。


「いや【自主規制】するのが目的なんだし別にいいじゃないッスか、生かしても」


 その通り!!!


「バッキャロー!!オメーあのセリフが無いと…なんか…こう…燃えねーんだよ!!!」


 あっダメだこいつら所詮猪頭だ。

 というか猪通り越して最早ブタでは?


 そして彼等は気付いた、言い合っている内に女騎士の姿が影も形も消え去っていたことに…


 数週間後、勇者達の間でこんな話が流れ始めた。


「最近、オーク連中の元気無くね?」

「分かるわ…なんかゲンナリしてる連中多いっつーか…特にパーティに女騎士居ると…」

「マジで?寧ろオーク達苛立ってる感じするけどな」

「ついに男もオークに拐われ始めたらしいぜ…」


 それが大体とある女騎士の仕業ということが発覚するのはいつの日か。それは誰も知らない。

多分n番煎じネタもあったと思いますが生暖かい笑みを浮かべていただけたら幸いです。

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