力の使い方
メリラスとの戦い、カルマのおかげなのか魔力が込み上げてくる、だが相手は大天使、そんじょそこらの上級魔法ではビクともしない、なら密かに研究してきたこの技を使ってみるか。
「今宵魔術は、集結する・・炎、水、雷、氷、地の精霊よ汝らの力をここに示せ」
黒魔法≪ジ・エンド≫私が生み出した固有魔法だ、その黒く小さい球体状の玉は、見かけによらず触れたものを全て飲み込んでいく、技の停止は、私にしか出来ない。
「フッ」
メリラスが不気味に笑う。次の瞬間、≪ジ・エンド≫に当たり、メリラスが霧散する。
「!!一体何を考えているんだ」
≪ジ・エンド≫を停止させ、メリラスが霧散した場所へ歩み寄る。
「勝った?のか?」
だが≪ジ・エンド≫に当たって霧散するはずがない、でもメリラスは居なくなったし少しは安心できるのかな?
「カルマ、さっきはありがとー助かったよ」
その言葉と同時に振り返る、だが、カルマはカーペットの上に倒れ伏していた。
「おい!!カルマ!?カルマー!!」
私は、カルマの身体を揺らし名前を呼ぶが、全く反応がない。
「息は!?・・・ある!!」
幸い息をしており、まだ生きている、メリラスが霧散した今なら、テレポート魔法が使えるだろう、速くカルマを治療しないと!
「テレポート!!」
あれから何時間、いや何日経っただろう、カルマはなんとか一命は取り留めたものの、まだ意識が戻らない。
「やっぱり、私のせいなのかなー」
カルマが倒れてから、ずっとそう思っていた。本来ならば撃てない上級魔法や、固有魔法、カルマのおかげで撃つことができたが、負担は私じゃなくてカルマに全て行った。
「君は、一体何者なんだい?」
私は、ベットの上に寝ているカルマの手を握って呟いた。その時だった。
「んっ?!ここは、あっお姉ちゃん!」
「カルマ!やったー!本当に君ってやつは!何日レディーを待たせるつもりだい?」
やっと目が覚めたカルマ、私は、嬉しくてカルマに抱き着いた。
「気分はどうだい?」
「うん、さっきよりはだいぶマシになったよ」
そんな会話をしながらリンゴをほうばるカルマ、こういうところだけは子供だ、カルマは、性格、仕草、言葉使いが、やけに大人っぽい。
「カルマ、街に出てみる?」
「うん!」
元気な声が鳴り響く。
☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*
「フッフッフ、僕があんなものでやられるとでも思っているのかい?リマエル」
暗闇の中その声だけが響き渡る。
「予想以上だぁカルマ#君__きみ__#は、本当に素晴らしい触媒だぁ、これで、やっとあの技が・・フッフッフなら、準備しなくてはいけないねぇ」
身の毛のよだつその声に反応するものはいなかった。ただ暗闇に、不敵な笑いがこだまする・・・
☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*
街に出る準備ができ、浮き足立って家を出るカルマ。
「カルマーそんなに急いだら・・・」
ズコー
「・・こける・・」
案の定盛大に転ぶカルマ、おでこをすすり涙をこらえている、なんか可愛い。
「大丈夫?手、繋いで歩こ」
「うん!」
カルマと手を繋ぐ、メリラスと戦った時のように、柔らかい魔力は感じない、カルマが意図的に出しているのか?
「カルマ、メリラスと戦った時のこと覚えてる?」
少し聞いてみることにした。
「覚えてない」
やはりそうか、覚えていたら色々聞けると思ったが、仕方ない。でも、メリラスが言っていた、カルマがどんな#存在__・__#かを知ってるのか?と言うとはどう言う意味だろう。まぁ考えても今はわからないか。
「ねえねえお姉ちゃん、まほうってどう使うの?」
「ん?あー魔法ね、魔法はね、術式を覚えさえすれば、誰だって使えるよ。まぁ魔法の強さはその人の魔力の質や量で決まるけどね」
「じゃあ、僕にも教えてよ」
「いいけど、魔法を使うなら、正式な登録をしないといけないんだ。だから魔法を使いたいのなら、この聖タリウムの街にある天使の集い、て言う魔力の質や量、どの系統の魔法が得意かを調べてくれる研究所に行こうか」
「わかったー」
私達は天使の集いに行くことにした。
「こんにちわー、今日は用事があるのできましたー」
「こ、こんにちわ」
天使の集いのドアを勢い良く開けて受付に行く。
「おや、珍しい客人だねー、リマエル、今日は何の用だい?」
「今日はこの子の魔力調査してもらいたいんだけど」
「うん」
身長が低いカルマは、受付からは見えなかったのか、受け付けのおば・・お姉さんは前屈みになる。
「この小さい子かい、いいけど子供の魔力調査は高くつくよ」
「どのぐらいするの?」
「そーだねー、ザッと五十万タースぐらいかね」
高っか!まぁ払えなくもないし、一括で払うか。
「はい、これでお願いします・・」
財布が空になった・・
「ん、ちょうどだね、じゃあこっちの部屋来な」
そこは、部屋と言うよりドームだった、カルマは見たことのない景色に心踊らしている。
「んじゃ、始めるかねー、まずこの紙に名前を書いて髪の毛を一本包んで」
「わかった!」
言うとうりにするカルマ、名前を書き、髪の毛を包んだ紙をおば・・お姉さんに渡す
「じゃあこの紙を利き手に持って目を閉じて」
「うん」
カルマは、当たり前の用に紙を左手に握る
「!!カルマ、君、左利きなの!!」
「多分」
これは、まずいことになったかもしれない、左利きの魔術師、有名な童話にでてくる伝説の魔術師だ、童話の名前は[タリウムの天使文録]、話の内容はうろ覚えだが、昔、左利きの魔術師が、天使と悪魔の戦いを終結させた、と言うものだ。左利きの魔術師は、この話では英雄として語られているが、この話の呪いは、童話よりも有名だ、その呪いは、左利きの魔術師は誕生することがない、と言うもので、もし、カルマが本当に左利きなら、そこらへんの研究所が黙ってないぞ、
「カルマ、君はおそらく右利きだよ」
「そーなの?」
「うん」
カルマは左手から右手に紙を持ち帰る、
正直な子で良かった、心底そう思った。本当に左利きなら、死ぬより辛いことになるだろう、
「準備できたかい?なら、始めるよ」