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影の声

僕の名は影。本名も影。

正確には×× 影輝。


そう、僕は生まれてからずっと影しかない。


影だけ。身体は無く脆い影。

それを調べようとすれば影は当然ながら逃げる。

何故なら影は遮られるから。


そんな不便も多い身体もこの15年。

やっとこさ使い勝手が分かってきた。


例えば影の姿を固定するためには、鏡を用意して

その前に立つと思い通りの姿になれたり、

或いは、影からの出入りの仕方みたいな。



そんな、普通では考えられない様な事ばかり

私達家族は経験してきた。


当然ながら、この特異性は悪用はしていない。

だが、これは武器となりうる。

それだけで、私は、今此処にいる。



東京某所 正確座標 不明


「今回はその影の鋭利さを確かめたい。

刀を出してくれ」


研究員が厳かにそう言うと目の前に

鉄塊が出される。



「はい」


毎度の事ながら刀を影で作るとそれは正に

刀として刃を輝かせ私の手に落ちてくる。


「では、始め。」


頭の中でイメージする。

鉄塊が一刀両断され転がる様を。



そして刹那、


刀を振るう。


大きな鉄塊は豆腐の様に切れた。


「素晴らしい! 」


研究員達の言葉が隔離室のスピーカーから

聞こえる。

言い忘れたが、私は今でこそ此処に数時間居れば

解放されるが小さい頃は地獄を見た物だ。


そうして実験が次々と行われ終わると両親が

待っていた。


「おかえり」


私は安堵してこの言葉に感謝しながらこう答える


「ただいま」


こうして私は帰路に着く…筈だった。





緊急警報、侵入者が入った。直ちに各区画、

防護扉を閉じ戦闘員を待て。


こうして冒頭に戻る。



コツコツと聞こえる敵の靴音。

彼を倒せとの上からの御命令に一兵器として

私は答える。


「…」


相手は黒の軍服を身に着けている。

武器は拳銃だろう。


何故か沸き起こる力。

本心ではないが。本能として、

戦う準備は出来てしまったのだ。


相手は撃ってきた。まず一発目の牽制射撃、


「動くな!」


声を荒げ私にそう言うと近付いてくるが、

私はそれを無視する。


父と母やその他諸々を守る為にまずは壁を作る。


影で覆われる一帯。

相手は驚き戸惑うと乱射をしようと震えた手で

私を狙う。



銃声が響くまでのほんの一瞬。




私は既に行動をしていた。



相手が銃を撃ったその時には既に床へ身体を

押し付けさせ、確保したのだ。



初めてにしては上々、いやそれ以上に私は

動けてしまっていた。


それが私にはどうも不安で仕方無かったが


それを知る者は私以外誰も知る事は無かった…


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