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第七話 藤崎健人

主人公のとこのお話に戻るよ。


 「ん……?」


 発声練習を一通り終え、そこらへんに落ちていたぼろ布を身にまとっていた健人は何かが物音が聞こえたような気がして耳を澄ませた。


 ズッ……ズッ……


 すると何かが這うような音が納屋の暗闇から聞こえてくるではないか。


「だ、誰かいるのか……?」


 ネズミか何かだろうか。

 じっと待機していると物音が消えた。

 その数秒後――。


 「カエセェェェェェ!!!」

 「ひぃぃっ」


 唐突に箱と農具の隙間からひとつの影が恐ろしげな声と共に飛び出してきた。

 カサカサと動くそれはまるで多くの人々が恐怖した茶色の虫の動きのようで強い嫌悪感を抱く。


 「エンガチョ! エンガチョ!」


 近づいて来たそれを避けるために片足を上げて体を縮こまらせたが、それは徐々に速度を落とし、足元で止まった。


 「に、人形……」


 よくよくその姿を見てみるとそれは古びた人形だった。

 綿がはみ出ているうえに目が取れかけて不気味な感じだ。


 「な、なんで人形が動いテ……?」

 「……ウゴクホネニ、イワレタクネェ」

 「シャベッタァァァ!?」

 

 人形は会話が可能らしく、足元に転がったまま普通につっこみをいれてきた。


 「エネルギーキレタ。オコシテ」

 「え、あ、はい……」


 案外まともに話のできる人形を言われた通り起こして壁を背もたれにしてあげる。

 すると人形はお礼もなしにふてぶてしい態度で話し始めた。


 「オ前、何者?」

 「それは僕の台詞なんだけど……」

 「何者?」

 「わかったよ……言うよ……」


 主導権を握る人形に押され気味な健人はこれでは話が進まないとしぶしぶ自己紹介を始める。


 「僕は藤崎健人。火事で死んでこの世界に転生したスケルトンだ」

 「……ソンナ、ハズハナイ」

 「……?」


 自己紹介をしたのに違うと言われても困る。

 それ以上でもそれ以下でもないのだから、他人に否定されても事実は変わらない。

 健人は首をかしげた。

 しかし、人形は続ける。

 

 「オ前、藤崎健人違ウ」


 耳を疑うような言葉を。


 「ソレハ俺ノ、前世ノ名前ダ」



アパートとか集合住宅住まいだと来ますよね。

茶色いアレ。

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