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第四話 村 3

未知との遭遇

「グワぁァァ!!」


 魔法を使うのなら技名をしっかり言ってから発動させるのがセオリーというものだろう。

 詠唱のような文言だけで魔法を完成させた老人に虚を突かれる形となった健人は光の中で悶える。


 「やったか!?」

 「グわァァぁア? ……あレ?」

 

 むせかえるような光の中で健人はふと両手を見た。

 すると薄皮ひとつ削れていないではないか。

 というかよく見たら特段まぶしいわけでも痛いわけでもない。

 浄化されて消える気配などみじんも感じなかった。

 

 「そんな……馬鹿な……!」

 「あノ……ハなシヲ……」

 「ひぃぃっ」


 光と影しかないモノクロの世界で健人が骨の手を伸ばすと老人が悲鳴を上げた。

 それと同時に光の奔流は幻だったかのように跡形もなく消えた。

 そして、その光景を見守っていたオードウィンは掌が白くなるほど強く握っていた剣を落とした。

 それは戦う意思を失ったことを意味する。

 

 「俺たちの、負けだ」

 「オードウィン!」

 「人里まで下りてきたからには何か欲しいものでもあるのだろう? その要求をのもう」

 「しかし……っ!」

 「少し黙っていてくれ」


 余計な荒波をたてるなと言わんばかりの鋭い視線を向けられ、マークスは言葉を飲み込んだ。

 しかし、オードウィンも本心では降伏なんてしていなかった。


 (街から応援が来ればこんなやつ……!)


 彼は表面上は戦意喪失していても心の中では再起の炎を揺らしていたのだ。

 自分達では歯が立たないのなら応援が来るまで口車にのせておけば良い。

 これはそれまでの時間稼ぎだ。


 「要求はなんだ」


 オードウィンが問いかけるとスケルトンは頭を手でさすりながら下を向いた。

 幾度となく剣を当てたのが気に触っているのだろうか。

 冷や汗が頬を伝う。

 実際は「やっとまともに話せる」とため息をついただけなのだが。


 「情報ガ、欲シい」


 健人は疲れたようにそう言うと、自分の境遇を話し始めた。

 火事で死んだはずなのに知らない場所でよみがえったこと、害意はないこと、この世界についての情報が欲しいことを。


 「つまり、お前は元々事故死した人間で俺たちに敵意は全くない……と」


 静かに聞いていたマークスが信じられないといった様子で聞く。


 「アぁ」

 「……生者に対する憎しみとかもないのか?」

 「なイ。ウラまレてハイルようダがナ」

 「……先程の無礼を詫びさせてくれ」


 健人の恨みがましい言葉にばつが悪くなったオードウィン頭を下げた。


 「……まァ、こンナ見タ目だシなミずにナガそウ」

 「ありがたい」


 彼自身、骨の体は普通の人から見れば畏怖の対象であるだろうと自覚していた。

 だが、このやり取りに不満を持つものがいた。


 「しかして、情報とはどのような?」

 「大シたコトじャアなイ。コの世界ニツイてダ」

 「そ、そうですか……では私がわかる範囲で質問にお答えしますので……」

 「じャアコの世界ニは――」


 その禍々しい外見に似合わず丁寧に応答するスケルトンにマークスは違和感を覚えずにはいられなかった。

 余りにも人間らしすぎるのだ。


 「カガラ様、友好的なアンデッドって、いるんですか?」


 背中の老人に問いかけるも老人は眉をひそめた。


 「私も過分にして聞いたことがない……しかし目の前におるのだな……」

 「本当に理性を持ったアンデッドなのでしょうか?」

 「分からん。しかし手も足もでない以上、今は様子見するしか……」


 そう言ってカガラは諦めたかのように息を吐いて項垂れた。

 アンデッドを容易に信用はできない。

 マークスは「ここは俺が気を張らねば」と気合いをいれなおした。



ファーストコンタクトは今回で終わり。

次回から登場人物たくさん増えたりします。

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