第二十九話 旅立ち
いったん終り!
「イヤソノ名前ハドウカナ!?」
「霊力を使い道を急ぐ車と書いて霊急車とつけたのだが……」
「イヤ、悪クハナインダケドネ。ウン」
アルマが思わず突っ込んでしまうくらいには危ない名前だった。
それを貰ったとしてアンデッドが霊急車というネーミングの車を運転するなんてどんなギャグだろうか。
「まぁそれはそれとして……私たちはこのまま出発と言う流れでいいのかな?」
「あぁ。そのためにこの霊急車を用意した。ぜひ乗って行ってくれ」
「それはありがたいけど運転の方法なんてわからないよ?」
「俺ハ一応オートマ車ノ免許モッテタカラタブンデキル」
「おーとま? まぁ、できるんならまかせるよ」
アルマが試に乗って操作してみたところ大体アクセル、ブレーキ、ハンドルのシンプルな操作性となっていて何の問題もなさそうだった。
「運転者の霊力を使って動くから霊力の欠乏には気を付けてくれ」
「分カッタ」
「それじゃ私たちは行くけど」
「あぁ。ありがとう。そして済まなかった」
「マァ遺恨ハアルニハアルガナ……」
「私もなんかこう、実感はないけど返してもらうものは返してもらったし」
ケルトもアルマもすでに彼らに対して敵意はそれほど残ってはいなかった。
あったことは数十年前の出来事だし彼らは彼らの大切なものを守るために行動した。
だからもうどうでもよいというのが二人の思いだった。
頭を下げるサルヴァやグリスに見送られながらケルトたちは霊急車のブーストを吹かす。
「じゃあね」
遠くなってゆくかつては憎んだ国を顧みることなくケルトたちは進んだ。
「案外チャント車シテルナコレ……」
なかなか良いスピードで車は走っていた。
その乗り心地は多少揺れが大きいが車そのものだった。
村から国まで歩いてきていたのでこれは便利だ。
いったいあの王国の科学力はどうなっているのか。
「取り敢えず出発したけど、どこ行くよご主人」
「まだ全然この世界のことを知らないし適当に見て回るか」
「私も見たい! 封印されっぱなしだったし!」
当面の目的が決まった中、ふとケルトは重要なことを思い出して心配そうにアルマに尋ねる。
「そういえば結局ご主人は復讐のために出てきたはずなのに成仏したりしないの……?」
すでに本懐は遂げている。
ならばいつ死んでもおかしくはないのではないか。
そうは思ったが、アルマは「んー……」と少し考えてから口を開いた。
「本当ハオ前ト会ウタメニ甦ッタ……ナンテ」
「……もぉー! ご主人もー! そんな恥ずかしいこと言ったって世界の半分は上げませんからね!」
「オ前変ナ所ダケ俺ノ記憶持ッテルヨナ!? チョ、アブナッ! 押スナ! 押スナッテ!」
まっすぐのびる道を進む死人を乗せた車は新たな世界を求めてふらふらと揺れながら走って行った。
次更新するとしても1月以上かかるのでいったん終っておきます。
良かったらどこが良かったかどこがうんちだったか感想や評価などで教えてくれると嬉しいです!
次書くときの参考になるので!
続きの構想は一応あるで別作品の方に行くかもしかしたらこれを書き直して続くかもしれない。
まぁ、そこらへんは未来のお話……。




