第二十八話 決着
第一章が次で完結。
「降参だ」
サルヴァは両手を上げた。
「なーんだつまんない」
「私は死ぬわけにはいかないからな」
口をとがらせるケルトの周りには彼女の立つ土地だけを残して巨大なクレーターができていた。
地面が高度な熱で結晶化している場所もあるにもかかわらず真正面からうけ切ったケルトには傷一つつかなかった。
そしてその攻撃の後、反撃をしようと右手を振り上げたところでサルヴァが降参したせいでケルトは若干消化不足だった。
「あちらも決着がついているようだな」
離れた場所で戦っていたアルマとグリスの決着もついたようで状況はよくわからないが巨大になっているぬいぐるみを見るにアルマが勝ったようだ。
「おーい! 大丈夫ー?」
「ソッチモ終ワッタカ」
ケルトの姿を確認するとぬいぐるみはしゅんしゅんと小さくなって行き獣耳少女に抱きかかえられた。
そのぬいぐるみの下敷きになっていたグリスは白目をむいたまま気絶している。
「死んでないよね?」
「タダノ酸欠ダロ。オラァ! 」
「……っ! げほっぐほっ! な、なんだ!?」
獣耳少女が表情一つ変えずにグリスの腹を踏み潰すと息を吹き返した。
「私たちの完敗のようだな」
サルヴァは両手をひらひらとさせて戦う意思はないことをアピールし、状況を思い出し始めたグリスは腹の痛みに耐えつつ跪いた。
「して、まずは約束の一つ目」
サルヴァが部下の一人を呼び出してもってこさせたのはケルトがかつて封じられていた石板。
それを目の前で地面に叩きつけて割ってみせた。
もう二度とそれは使い物にはならないだろう。
「そして二つ目だが……まずはこの零式銃」
ケルトに手渡されたのは兵士が持っていたのと同じ銃だった。
だが、彼らの持っているものとは色が違い、青みがかった銃身をしていた。
その疑問はもっともだと思っていたのか何も言わずとも説明を付け加える。
「色こそ違うが性能は同じだ。自身の霊力を込めてその引き金を引けば弓矢などより連射のきく遠距離武器になる」
確かに便利だがわざわざ闘った商品としてはしょっぱいのではないかと思った矢先、サルヴァの元に一台のやけに大きな馬車の荷台が寄せられた。
その荷台には布がかけられた何かが積まれていた。
「もちろんそれだけではなくこちらも贈呈したい」
サルヴァはその布に手をかける。
「最新式移動車」
バッと布が引かれ、現れたのはジープのような無骨さを持った黒い車体。
「霊急車だ!」
サルヴァは自慢げにその素晴らしい発明品の名を口にした。
そのネーミングは……。




