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第二十一話 偵察

いざ、街の中へ!


 「住民票の提示を求められたときはビックリしたよ」

 「滅多ニ外ニ出ナカッタシ、最後ハ密出国ダッタシデ忘レテタ」


 ケルトとアルマはログ国内を悠々と歩いていた。

 門番の検問に引っ掛かりそうになった彼女たちは一時的に門番の体を乗っ取って入国していた。

 不法入国者と言うわけだ。

 しかしその可憐な見た目から、誰も彼女たちが違法な行為をしているとは思わなかった。


 「それにしても随分と発展してるねぇ」

 「俺ノイタ頃ハマダ産業革命ッテ位ダッタンダガ……」


 感慨深げに言うアルマは未だにぬいぐるみの中にいた。

 と言うのも身体をケルトに作ってもらいはしたがぬいぐるみの体に馴染みすぎて「出られねぇ……」と悲しく呟いた後、妥協案として作った身体に本体であるぬいぐるみを抱かせて歩いているという具合だった。


 「エネルギー革命も起きてるね」

 「電気か……」

 「街も綺麗に整備されてるし」

 「下手な田舎より現代してるな」


 街の様子は彼らの言う通り華やかなものだった。

 街道はコンクリートのような砂利を固めたもので舗装されており、道沿いには街灯が立ち並ぶ。

 よく見ると排水溝も通っていてインフラは完璧のようだ。

 建物や歩く人々はまだ中世ヨーロッパといった感じだが異世界と呼ぶにはいささか不釣り合いな風景がそこには広がっていた。


 「ドウナッテンダ」


 アルマがいた頃はやっと産業の機械化が始まるかといったくらいだった。

 電気の代わりに霊力を使おうと言う計画の元、色々と試したものだった。

 結局基盤が出来なくて頓挫したのだが。

 アルマが殺されたのはそんな頃だった。


 「せっかくだしちょっと観光していかない?」

 「ソウダナ。二度ト同じ景色ハ見ラレナクナルカモシレナイシナ」


 物騒なことを言うアルマと目を輝かせるケルトは街の中へと繰り出した。


 「か、カツ丼……だと!?」


 早速見つけたのはカツ丼をメインに据えた食堂。

 表に出された看板にはでかでかとカツ丼始めましたの文字か踊っている。


 「俺ガ広メタ物ノ一ツダナ」

 「ご主人が好きだと言う……これは食わねばなるまい!」

 「マァ付キ合ッテヤルケド俺ハ食エナイカラナ?」

 「わかってるって」


 ケルトは未知なる食べ物を求めて店の中に飛び込んだ。

 お金の心配はなかった。

 なぜなら村から何かと必要と思ってかき集めておいたからだ。

 野盗に盗られるくらいだったら自分たちが使おうと思っての事。

 決して火事場泥棒ではない。

 違うのだ。

 その後もやれうどんが食べたいだのやれフルーツジュースが飲みたいだのあちこち回り、ようやく落ち着いた時には日がすっかり落ちていた。


敵地の中で余裕かまし過ぎじゃないですかね……。

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