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第十八話 腐食

戦いの続き。


 「オイ! 大丈夫カ!?」

 「ん……」


 ケルトは浸っていた忌まわしい思い出から目を覚ます。

 目の前では窮地を救ってくれた飼い主がピョンピョン跳ねていた。


 「第2波ガ来ル! 何トカシテ凌ガナイト今度コソヤバイゾ!!」


 向こうではアリアナが新たな光線銃を打ち込もうと大口を開けていた。

 もうすぐ2射目が来て今度こそ全身を消し飛ばされるだろう。


 「アアクソッ、モウダメダ……」


 アルマが諦めの声を漏らす。


 「だいじょぶ。全部思い出した」

 「ヘ?」

 「私はあんな紛い物なんかに負けないさ」


 だが、ケルトは強気な発言をした。

 半身がないボロボロの状態だというのに。


 「消し飛べ」


 アリアナの第2射が射出された。


 「だからご主人は逃げろ」

 「ナッ……!」


 ケルトは人形を乱暴につかむと射線外へと投げ飛ばした。


 「ケルトッ……!」


 何もできない人形は空を舞いながら骨の名を叫ぶがその姿は光の線と共に消えた。

 そしてアルマは地面を跳ねて転がり、止まった。


 「ケルト……」


 後に残ったのは放射状に並んだ2筋の光線が穿った地面の後。

 スケルトンの姿は無い。


 「大丈夫ッテ言ッタジャナネェカ……」


 とてとてと歩いてケルトがいた場所まで行くが、そこには骨の一片さえ残っていなかった。


 「さて、残すは脆弱なお人形さんが一体ですか。貴方は悲しみますか?」

 「……誰ガ悲シムカ」

 「そうですか。ではあなたも」


 アリアナは再びチャージを始めた。

 それを避けることは難しい。

 芋虫のような体は方向転換が容易だ。

 それに例え少し軌道から外れたところで太いビームの餌食だろう。


 「俺ダッテ転生者ダ。一矢報イテヤル」


 だからアルマは立ち向かった。

 最後の意地を貫き通すため。

 背を向けて死ぬくらいだったら前向いて死にたい。


 (アァ……短イ第二ノ人生ダッタナァ)


 収束した光がアルマを明るく照らした。

 それに微力な抵抗をするべくアルマはありったけの魔力を込めて前方に風の膜を張った。

 角度を少しつけて設置したその風の壁に当たって光線の軌道をうまくそらせば凌げる。

 いったい何発撃てるのかわからないが耐えられるところまで耐えて抜いてやる。

 アルマは覚悟を決めた。


 「かっこいいじゃないか。ご主人」

 「ケルト!?」

 「なっ……!?」


 いつの間に現れたのか死んだはずのケルトがアリアナの背後にいた。

 しかも消し飛んだ左半身はおろか四肢がしっかりとある状態で。


 「なぜっ……!」


 アリアナは即座に後ろを向こうとするがケルトが彼女の体に触れるほうが何倍も早かった。


 「じゃあね」

 「あっ……」


 それは一瞬だった。

 芋虫のような巨大な化物はケルトの触れたその場所から黒く腐って行き、あっという間に黒い彫像ができていた。

 そしてその彫像は初めから砂で出来ていたものかのように風が吹くとボロボロと端から崩れていく。


 「私に残された力は腐食じゃなかった」


 ケルトがその彫像をぐっと押すと支えを歪められたそれは根元から折れ、辺りに砂埃を散らしながら倒れた。


 「破壊と創造だ」


 ケルトの白い骨の体は黒い雪の中でよく映えた。

 まるで悪魔のようなその姿はアルマの目に焼き付いて離れなかった。

 そしてそれは先ほどまで自身がケルトと呼んでいた存在とは明らかに違う異質なものに感じられてつい聞いてしまう。


 「オ前ハ、誰ダ」

 「んー……神様……かな?」


 ケルトは三度目となる質問にようやく答えられた。


このシスターは何者なのか?

などの閑話が次はいります。

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