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第十六話 哀しみの使徒

あいまみえました。


 「何が起きている……」


 森から村に戻ったスケルトンは悲惨な村の状況を見てつぶやいた。

 まるで戦争でもあったかのように家が壊され、燃やされている。

 明らかに普通じゃない。


 「盗賊ノ襲撃カモシレン。行コウ」

 「そうだね」


 小走りで唯一建物の密集している村の中心へと急ぐ。

 すると建物の陰から小さな人影が飛び出してきた。


 「ケルト! 助けて!」


 その人影はサミア。

 村の子供たちのうちの一人だった。

 彼女は倒れこむようにケルトの外套に泣き付く。


 「何があった」

 「村に盗賊が来て襲われてるの!」

 「やっぱりか……どこにいる」

 「あっち」

 「分かった。行ってくる」


 ケルトはサミアの示した方向に向けて走り出した――。

 と思わせてくるりと方向転換するとサミアの頭を骨の手でつかんだ。


 「誰だお前」


 その怒気を含んだ声を受けてサミアはニィっと笑った。


 「これほど簡単に見破られてしまうとは……いやはや高位のアンデッドとは思っておりましたが……」


 彼女の姿はぐにゃりと歪み一人のシスターの姿へと変わった。


 「お初にお目にかかります。私の名前はアリアナ。イ=モス教団で哀しみの使徒をやらせていただいているしがないシスターです」

 「悲しみの使徒? とやらが何の用ですか」

 「いえ、貴方様の魂を貰えないかと」

 「私の魂?」

 「そうです。アンデットであり理性も持っているとなるとよほど強い未練――感情をお持ちのはずですのでそれだけ大きな霊力が手に入りますから」

 「感情の強さが霊力の大きさに比例するのか」

 「そうです。ですので大人しく再び眠っていただけませんか?」

 「断る」


 急に現れた人間に大人しく殺されてやる筋合いはなかった。

 その答えは予想済みだったようでアリアナは背後に合図をした。


 「では、力ずくで」


 ケルトをおびき出して一斉攻撃をするつもりだったのか、先ほど行こうとした方角のあちこちの建物の陰から彼女と同じ黒い服を着た集団が現れ始めた。

 そのうちの一人が担いできた大きな十字架を彼女は受け取ると丸い穴の開いた十字架の先をケルトに向けた。


 「悲劇はここで終わらせましょう」


 彼女は十字架の引き金(・・・)を引いた。


 ドゥッ!!


 火薬をさく裂させた音が閑散とした村に響く。

 その音は山に反響して消えていった。

 その十字架は大砲のような銃だったのだ。

 爆発音と共に鉄の弾をはじき出し、目標を木端微塵にする対人兵器として使った場合相手がミンチになること間違いなしの代物だ。


 「え……?」


 だが、凶弾は目標を壊すことはなかった。


 「びっくりした。銃なんてあるんだ」

 「俺ガイタ時ニハナカッタナ」


 呑気に街頭の中から出てきた人形と話す骸骨の右手には打ち出された弾丸が握られていた。


 「これで終わり?」


 そしてそれは瞬時に腐食し、ボロボロになって崩れ落ちて行った。



もりもり話が進んでいく感じの流れ。

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