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第十一話 大事なもの

純粋無垢ってそれだけで強い。


いつのまにかプロローグも付け加えてあったりするよ!


 「そろそろどうしてここに来たか教えてもらっていいかな?」


 しばらく触れるアンデッドコーナーになっていたが後ろから抱きつかれたり膝の間に座られたりしてきたところで話を本筋にもどした。


 「俺のとーちゃんとかカガラ様が敵わなかったスケルトンがどんなやつか見に来たんだ」

 「ふむ」

 「それであわよくば倒せないかなって」


 カナンの言うとーちゃんとは恐らくオードウィン。

 大の大人がかなわなかったのに子どもがどうこうできる問題ではないのに来たようだ。

 子どもの好奇心ゆえの無謀な偵察任務。

 これが本当に化け物相手だったらどうなっていたことか。


 「でももういいんだ。悪い奴じゃなかったし」


 カナンはそういってにっと眩しい笑顔を見せた。

 この笑顔の前で悪いことなどできるはずがない。

 浄化魔法ですらびくともしなかったスケルトンが浄化されそうだった。


 「ありがとう。大体分かったけど危ないことはしちゃダメだよ?」

 「「はーい!」」


 彼らの返事だけは一人前だった。


 コンコン


 蹴れば壊れそうな小屋の扉が叩かれたのはそんなときだった。

 

 「ケント様、よろしいでしょうか?」


 聞き覚えのない声でスケルトンが呼び出された。

 しかし子どもだってスケルトンの所在を知っているくらいだ。

 恐らく名前を含めて昼間話した内容は村人に知れ渡っているのだろう。


 「うっ……」

 

 そんなスケルトンを呼び出す声になぜか少年少女はびくりと体を震わせた。

 その訳を察したスケルトンは彼らに尋ねる。


 「君たち、親御さんの許可は?」


 その問いに子どもたちは揃って首を横にふった。


 「……? ケント様?」

 「暫し待て」

 「……っ!? は、はい!」


 返事のないスケルトンを訝しむ村人にドスの効いた声で応対すると地下への扉を開いた。


 「こっから外に出られる?」

 「うん」

 「じゃあ誰かに見つかる前に急いで行くんだ」

 「スケルトンさんは?」

 「大丈夫」


 スケルトンは意図を察していそいそと移動を始める子どもたちを見送った。

 そこでふと断っておくべき案件を思い出し、動かなくなった人形を摘み上げた。


 「あとこの人形、貰ってもいい?」

 「うん。いいよ。でも、代わりにリリたちのお友だちになってくれる?」

 「もちろん」

 「やった!」


 リリは屈託のない笑みを浮かべた後、ロロと一緒に「またね」と手を振りながら穴の中へと消えて行く。

 この世界に来て初めて人の好意に触れてスケルトンは無い頬が緩みっぱなしだった。

 それからスケルトンは子供たち全員が逃げたことを確認すると地下への扉を閉じて小屋の正面に向き直った。


 「よし、入れ」

 「し、失礼します」


 先ほど凄んだせいかびくびくしながら入ってきたのはやはり見知らぬ痩せた村人。

 そして彼の後ろにはまたもや見知らぬ白髪の老人とオードウィンの姿があった。


 「お初にお目にかかります。私がこの村を治めているものです」

 「あ、どうも」


 見た目からなんとなく察してはいたが白髪の老人が村長であった。 


 「話は大体聞いております。情報が欲しいと」

 「えぇ」

 「調べるよう言われておりましたあなた様の出自は――」

 「あぁ、その件は大体分かったので……」

 「そう、ですか。他には……」

 「特にはないですね」

 「そうですか……」


 それを伝えるためだけに来たのだろう。

 それだけ言うと黙ってしまった。

 頼んだ手前、何か聞こうにもこの骨の体の元の持ち主がいるのだから大抵の情報は不要だ。


 「一つ、一つだけ頼みを聞いてもらえますか?」

 「なんでしょう?」


 そこでスケルトンは無理だと思いつつ、一つの要望をした。


 「しばらく私をこの村に置いてもらえませんか?」



この世界でできた初めての大切な物。

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