第十話 小さき侵入者
ほのぼのパート
「誰だっ!」
スケルトンは壊すように思いっきり地下へと繋がる蓋を開けた。
人の部屋を勝手に覗くとは不届きなやからたちだ。
ましてや重要な話をしているというのに失礼千万である。
「ひいぃ! 殺さないで!」
「……」
しかし、そこにいたのは年端もいかない子どもたちだった。
少年1人に少女が3人。
しかもそのうち2人には見覚えがあった。
「えーと……リリちゃんとロロちゃんだっけ」
スケルトンが記憶を掘り返して尋ねると抱き合う双子の女の子がぶんぶんと首を縦にふった。
「それであとの二人は」
「カ、カナンだ!」
「サミア……」
一番年長の少年と双子より少しお姉ちゃんと言った風の少女が答えた。
逆らったら殺されるとでも思っているのか嫌に素直だ。
「なんで人の部屋に勝手にはいって来てるのかな?」
「ここは俺らの小屋だ! どっか行け!」
カナン少年は手に握っていた鋳造の十字架をスケルトンに投げつけるが白いカルシウムの壁に当たり、カンッと軽い音をたてただけで虚しく地面に転がった。
「人に物を投げたらダメだろ?」
「ひぃぃ……」
ちょっとした注意にもひびって聞く耳を持ってくれない。
そこでスケルトンは思い付いた事を一つ試してみることにした。
「取り敢えず皆、その穴から出ておいで」
「は、はい……」
一人の手を優しく握って引き上げると彼らは恐る恐る小屋の下に空いた穴から這い出て来た。
そこでスケルトンは一歩離れて座り、足元に視線を向けた。
「ご主人、ほら、出番ですよ」
「ダー! ヤメロ!」
傍らから取り出したのはつい先ほど自分が仕えることにしたぼろぼろの人形。
子どもは面倒なのかスケルトンに任せてずっと普通の人形の振りをしていたのだ。
少しくらい働かせても罰は当たるまい。
「リリの人形が喋ってる……!」
思った通り、持ち主だったリリが始めに興味を示した。
「なんで? なんで?」
「霊術?」
一人の緊張の糸が切れると途端に彼らの警戒心は瓦解した。
「ほらご主人、挨拶挨拶」
「グヌヌ……」
子どもをあやす道具に使われた人形は歯噛みしながらも観念すると声を作って話し始めた。
「コンニチワ! 私ハアルマ! ヨロシクネ!」
「「おぉー」」
主人の胴にはいった喋りにスケルトンは思わず拍手を送った。
子どもたちにあれやこれや話しかけられて戸惑う人形の恨みがましい視線から逃げるように顔を背けながら。
「な、なぁ、触ってもいい?」
すると人形を一緒に見ていたはずのカナンがちらちらとスケルトンの方を見ながら聞いてきた。
どうやら腹話術のように喋る人形よりも動く骨の方が珍しく、気になるようだ。
「どうぞ」
減るものでもないし快諾すると少年はペタペタと手触りのよいスケルトンの指や腕を撫でるように触り始めた。
「すげぇつるつるだしひんやりしてる」
「リリも触る!」
「ロロもー」
「じゃあ私も……」
カナンの感想を聞いて興味を持った少女たちも加わってスケルトンは手あかまみれにされる。
そして先程よりボロボロ度が増したように見える人形はざまぁみろと言わんばかりの視線をスケルトンに投げ掛けると事切れた。
和気あいあいとしてますね。




