ここまでの用語解説
古代神聖ヴィエタ語
古代から使われている魔術言語。神聖ヴィエタ文字で書かれる。大元は5千年ほど遡ったくさび形文字。800年前のヴィエタ帝国建国の際、大系としてまとめられた。その後、帝国崩壊により資料は四散し、現在は一部解読不能となっている。文字は何百通りもあり、発音も区別がつかないとのこと。
魔術師の正式文書用語のため、杖持ち(ロダー)には必須。覚えるのが大変。
魔気
魔術を使うときに出る、魔力の残片。魔物は常時出している。
魔気は千差万別のため、調査すればある程度の個人特定が可能。
魔力換算基本公式
魔力=体内魔力(人の力)×魔力出力(杖の力)×呪力(言葉の力)
杖持ちの魔力換算の基本公式。全ての力が強くなればなるほど規模が大きくなる。ただ、山野の魔術はこの公式によらないものが多く、この他時間の概念や呪力増幅の概念が出てくるがここでは割愛。
体内魔力
人が元から体内に持っている魔力。身体や精神の成長と共に増加する。この魔力が急に上下すると魔力増減症になり、眠くなったり気分が悪くなったりする。
魔力出力
体内の魔力を外に導く力。主に杖によって強化される。この能力が高い場合、杖がなくても知らず知らずのうちに魔術を使用していることもある。それが後述する能力持ち。
呪力
魔術を発動させる最後の関門。呪文の暗記だけではなく、詠唱の仕方、杖の振り方、アレンジの語句の入れ方などで同じ魔術でも違った結果を出すことができる。
精霊の唱和
古代では魔力に操られた精霊が歌っているという説があったが、現在の魔術では特に精霊が歌っている訳ではないということは実証済み。詠唱中、魔気と呪力と空気が混ざり合ったときに出る音。単調なお経のような唱和もあれば、激しいフルオーケストラのような唱和もある。使う魔法や個人差によって千差万別。
魔術師修練所
魔術師、主に杖持ちになるために作られた修練所。多くの場合魔術師連盟の研究機関と連携している。全国各地に設けられている。サレナタリアの修練所は、比較的自由な校風らしい。一般入学は15歳から。生え抜きと呼ばれるスカウトされた子ども達は小さい頃から手伝い人として入り、魔術の訓練をする。18歳から杖授試験が受けられる。受かれば杖を授けられて卒業、受からなければ留年を繰り返すことになる。
杖授
杖を授けられること。魔術師は18歳で、魔術師連盟の賢者に、魔法の杖をもらえる。18歳以下で連盟所属魔術師になることは基本的にできない。杖授法は、世界でも賢者と呼ばれる数人の魔術師しか知らない秘術。
魔術教
ほぼ全ての魔術師が、魔術教の信者。『一の根源』を崇め、自然科学崇拝にも似た宗教観を持っている。
能力持ち
魔力換算基本公式における魔力出力だけが飛び抜けて高く、様々な超能力を発揮できる人々のこと。能力は、呪力なしで発動することが多く、また一部の身体能力が飛び抜けているという地味なものが多いため、本人は普段無意識でその力を出していることが多い。
自分がギフテッドだと一生気づかない人も多数。
山野
杖持ちに対抗する言葉。つまり、杖授をされず魔術を生業とする人々。インチキ魔術師、杖を剥奪された元連盟会員、あるいは持つ必要がないほどの能力持ちと幅広い。山野と略されることもある。イザベラは「本当の山野の魔術師というのは、ヴィエタ帝国以前の時代から一子相伝の魔術を受け継ぎ、暗黒時代を過ごした人々のこと」だというが、実際は杖持ちと区別をされるために生み出された言葉のため定義は曖昧。杖持ちの人々の間では、山野のことを民族的で非魔術的である術を使うと、一段下に見ているものも多い。
杖持ち
国際魔術師連盟で学び、杖授を受けた魔術師の総称。修行を行って、杖授されてから扱える魔術のため、杖持ちと呼ばれている。体内魔力が少なくても魔力出力を増幅させることで、山野よりも強大な術をこなせる。反面、実力ある山野の魔術師からは「オリジナリティがなく、4大元素をぶっぱなせるだけ」と揶揄されることもある。
タクト神教
カサン王国内、首都カサニエルにある小さな自治国、ルシロ自治国にタクト大神の代理人、法王がいる。国際魔法連盟とは緊張関係にあるが、対立は今のところ回避されている。カサン王国及び世界の半分が国教に定めている。
タクト大神
タクト神教でその昔、世界を一夜にして作り上げたと伝えられる神。12人の使徒を従えた女神として描かれることが多い。
カサン王国
東大陸にある、世界有数の巨大王国。首都カサニエルは100万人都市と呼ばれる、世界の富と商人が集まる一大商業都市であり、同時に都市内にあるバルシック国はタクト大神の法王が住まう宗教都市でもある。ナタリア地方、カミノ村はカサン帝国中部に存在する。
暗黒時代
800年前〜100年ほど前まで。ヴィエタ帝国の興亡により、タクト大神教会が魔術を禁止し、魔術師を異端者として迫害、処刑する対象としていた時代のこと。今でも国によってはその名残が残っており、レムナードは国内で魔術を使うと死罪となるなど、厳しい差別が残る地域もある。100年ほど前、人道的に問題ありとタクト神教会内でも非難が上がり、国際魔術師連盟が正式に国際組織と認められたため、暗黒時代は終わった。しかし、今でもほとんどの国で、教会内に魔術師が出入りするのは禁止されている。
初代魔王
ヴィエタ帝国皇帝にして、魔術師文化を築いたシド・ヴィエタの総称。
ヴィエタ帝国
皇帝シド・ヴィエタを頂点とした、魔術師の帝国。一時期世界全土を支配した。しかし魔術師優位の政策が反感を呼び、各地で内乱が発生。そしてカサン王国の祖、英雄フォクセル・サンダルフォンにより皇帝が倒され、帝国は滅びた。
初代魔王信奉者
ヴィエタ帝国皇帝にして初代魔王のシドを信仰する教団のメンバーのこと。シドを神のごとく崇め、ヴィエタ帝国の再興を目的として活動している。国際魔術師連盟の中でも異端扱いされ、この団体との関係が発覚した者は除籍・破門される。魔物が多かった時代はなりを潜めていたが、魔物が少なくなった十年前、カサン王国東部で大規模な内乱を起こして有名になった。
六賢
カサン王国の魔術師連盟のトップ。全員賢者で、六人制。一人が資格を失うと、他の賢者達が推薦で後任のものを決める。仕事はカサン国内の魔術師連盟のとりまとめ、一人前の魔術師に送る杖授の儀式、王家への介入、罪を犯した魔術師の処罰決定など多岐に渡る。