仁愛の魔眼
「吸血鬼……だと、あと少し──……あと少しだった。油断も慢心もなく、ただ作業のように刎ねるだけだったのにっ」
あの転校生──あの女は、よりにもよって吸血鬼だと自身を称した。
二人の様子を見るに、協力関係に至っている訳ではないようだけど、それも時間の問題だとあたしの勘は告げている。もしも、あの男と吸血鬼が協力関係に至ったなら、今日のようにはいかない──ゲームとしては破綻していたのかもしれないけれど、少なくとも今日あの場までは体裁を保てていた。
「その体裁もが崩れてしまった──それにあの化け物、何年の……?」
あたしが世界を取り戻しつつあった時でさえ、その異様さは鼻についた。
あたしという世界が、最高の形で顕れていたあの瞬間──手を裂いて伝わって来たのは、圧倒的な命の質量。百年、いや二百年でも足りない──貫き裂けたのがむしろ不思議なほど、アレは正真正銘の化け物だ。
「あの女を吊るせるだろうか……?」
駄目だ、不確定な要素が多すぎる──あの女は味方になり得ないし、そもそもその真意が掴めない。
吸血鬼という世界であの男がどういう処遇を受けるのか、今夜だけは祈るしかない──どうかあの男が餌として処分されますように、どうかその無残な死骸を晒しますように、どうか命潰えて先輩の記憶から消えますように、と。
「そして私も……消えてしまえればいい」
あの男の何もかもが気に入らない──取り乱すことなど終始なく、拒絶どころか理解を示してきた。
永遠がどうのと、戯言に付き合うつもりはないけれど、あの潔さは何だ──永遠とは、続く命も含まれるのではないのか? あたしの言葉の何を理解し、どういう理屈でその戯言を諦めた……?
先輩を捨ててまで望んだ命を、ああも容易く投げ捨てるような真似をして──……ますます癇に障る。
「そんな夢想、どこにもないと誰もが知っている筈なのに……」
ただもしも──……そんな馬鹿げた夢想を、自身の真実として持ち続けた人間が、吸血鬼と出会ってしまったなら、
「首を攫われるのは、あたしになる……」
命尽きそうなあの瞬間、……あの男は微笑みを携えた。
その歪な微笑みに覚えがないか? あたしが首を刎ねて食らった日──あたしはあの日あの瞬間、どんな顔をしていた……?
「──先輩、今はもうこんなあたしですが、恐怖したんですよ」
だから確信がある。
あの男はこれから先、あたしが脅威と感じ得るナニかに為る──それが吸血鬼なのか、また別のナニかなのかは分からないけれど……。
「だから先輩──今度こそ、さよならです。あなたを愛した世界を貪り尽くして……あたしが壊れて、既に忘れられた世界に還ります」
明日、黄昏時をすぎる頃──これから一日をかけて還ります。
その時点でのあたしは、きっと……幽鬼のように彷徨う稚児でしょう。あなたと出会った日を忘れ──
『部活、一緒にしない?』
『へ、あのっ』
『大丈夫、わたしを信じて──一緒に、ね?』
あなたとすごして喜びに打ち震えた時も──
『先輩は、何故あたしになんかに良くしてくれるんです?』
『んー、何て言えばいいのかな。惹かれちゃった、から……? 見ている世界が違うような──わたしなんかが近づいても迷惑なのかなって、不安になるような、そんな横顔に』
『ふふっ──何ですか、それ』
あなたに不満をぶつけた時も──
『待って、犬迫さんっ、は、話を聞かせて──』
『先輩は、あの男が好きなんでしょうっ! だったらっ、あたしはきっと邪魔になる──いえ、このままだとあたし……先輩の邪魔をしてしまいそうです……』
『邪魔になんてならないし、犬迫さんは邪魔なんてしないよ──わたし、知ってる。犬迫さんがわたしとの時間をとても大切にしてくれてるって。青鹿くんもそれは知ってるから、三人で考えよう、ね?』
あなたの心が遠いと打ち明けた時も──
『時々なんです──まだ足りないと、そう思ってしまうのはあたしの我儘でしょうか? 先輩にとって、青鹿センパイが特別なのは分かります。ですが、あたしは……』
『じゃーねー、優女子ちゃんっ──こんな呼び方はどう? 青鹿くんよりも先だよー、特別だよー』
『せ、先輩、あたしはそんな……──ですが、あ、ありがとうございます』
あなたがいて楽土とさえ言えた全ての時も──
『優女子ちゃんは、見ている世界が違っても一緒に歩こうとしてくれる人。青鹿くんは、見ている世界が違ったら諦めて求めない人──……わたしがいて、優女子ちゃんは苦痛じゃない?』
『あたしは先輩で良かった──先輩が、良かったと思っています。あなたがいたことで、あたしはまだここにいられる』
『えへへー、優女子ちゃん相変わらず大げさだなー』
あぁ、……抱きしめられた温もりも、完全に消えてしまう。
「あなたのことだけは忘れないと、言えれば良かった──……あなたのことこそ、忘れないといけない」
この惨たらしい爪をより惨く、この醜い四肢をより醜く、瞳を灰色に濁らせ、餓狼の如く涎を垂らそう──それがあたしの【狼少女】
「先輩、……それはそれで嫌いではないので、心配しないで下さい」
この世界にはあなたがいて、その世界には本当の家族がいた、言ってしまえばそれだけの違い。
何もかもを打ち壊したのはあたしだけど──……それでも愛していました。先輩を想うように、家族を愛していました。また伯母に──母親に抱き止められるまで、止まらないのだろうか……。
「目的を果たしたなら、いっそ……誰かあたしを狩って欲しい」
先輩を忘れて生きるのも、伯母を母と呼び続けるのも──もうあたしには耐えられそうにないから。
「ねぇ、青鹿センパイ。それがあなたでもいいんですよ────あなたが、いいんですよ……」
「お、おい、急にどうした……」
俯いて押し黙ったままの彼女に、言いようのない不安を覚えた──零れた言葉が少女のものなら、その心と体はどうなのかと。
「え、いえ、──あの、母が出来ると」
「ん──何を?」
瞳は揺らいでいたが、どうやら大事はないらしい。
「私の吸血鬼の力を、貴方にと……」
「ちょ、ちょっと待て。一つ確認させてくれ──『誰かの中で生きる』とはそういう意味か?」
「わ、私も、知らなかった、……それに今は、聞こえない──語りかけても、返してくれないんですっ!」
「成程……」
力が望むとは、そういこうとか──歴代といる筈の、吸血鬼の意思をも受け継ぐ。
漸く、デメリットらしきものが見えてきた。
「今までは映像を見るように、母と接してきました──それが、こんな……」
「──早速、気持ちが変わったか?」
「違いますっ、私は──貴方にこのような力を渡してもいいのかと。母と話し合いが出来るのなら、私はその場を設けるべきだと考えます」
「なら、俺の希望を伝えておこう──具体的な話を、一切聞いていない現状であっても君の力が欲しい。半分でも、三分の一でも、このゲームが終わるまでのものでもいい。君の力があれば、俺は確実に生き残れる」
このデメリットの恐ろしい所は、歴代の吸血鬼に当代の吸血鬼が体を乗っ取られる可能性があること。
「待って下さい。母がもし、私の中で生きているのなら貴方にも──いえ、私すら知らない誰かをも自身の内に収めることになる」
「何人もの吸血鬼達が、目を閉じて眠っていると?」
「それは私にも分かりませんが、可能性はゼロではない──むしろ高い筈です。それにいずれは私も、」
「大いに結構──疲れた者は眠り、余裕ある者は後進の者を見守る、更に余裕ある者は現世の後悔を果たそうと起き出してくるかもしれない。永遠の命とはそういうモノだ」
ねじ伏せる必要があるのならそうすればいい、共生できるのならそうすればいい──デメリットとしては軽い方だ。
「はぁ、貴方という人は……、──私は少し恥ずかしいですよ」
「そこは我慢だな」
「……無茶苦茶ですね」
「何にせよ、時間がない。早ければ今日、昨日の時間くらいには犬迫が来るぞ──それまでには答えを出して欲しい」
「ちょ、ちょっと待って下さいっ。このような大事なことを、ものの数分で決めてしまうのはよくありません」
「いや、具体的な力の配分や制限を全く聞いていないが、提示されたものは無条件で呑むぞ? 現状を鑑みたなら、俺の選択は他にない」
「母が言うに──力の一部譲渡、私の意思次第で剥奪が可能、吸血鬼の力が使えるかどうかは貴方次第、……や、やり方は、わ、私の時と同じと」
「委細不満ない──これまでの、全ての話を考慮してだ」
「い、いや、あのですね。その、方法に、問題があるというか……」
「あー、痛かったり、精神的にやられてしまう可能性があるのか」
「あ、確かに記憶の混乱のようなものがあるかもしれません」
「ならば、少し早めに行うべきかもしれないな」
「あー、と・に・か・く・ですっ。少し、時間を下さい──貴方にも、大切な人がいる筈です。踏み出す一歩はとてつもなく大きい。出来れば両親、でなければ相応に親しき者と言葉を交わすべきです。貴方の命は確かに危うい、ですが本来はそれこそが、自然なのですから──……私に出来なかったことを、貴方はして下さい。それが私からの条件です」
「……ああ、分かった」
条件と言われれば、これは無碍に出来ない。
「……私も、少し考えてみます──母のこと、吸血鬼のこと、これから先のことを」
「あ、ああ──互いに後悔のないようにな」
驚いた……。
諦観を抱いて、空ばかりを見上げていた彼女と、視線が交錯した──ああ、彼女はもう大丈夫だ。
「ええ」
見据えられた暖かくも厳しい視線に、魔的とさえ言える魅力を感じてしまった──彼女は平凡と、生を終えられる器だった。俺には無いその器……彼女が生来持っていた筈の輝きが、今の俺には眩しかったのかもしれない。
「──とは言っても、今更引き下がるつもりも予定もない」
そんな器がもし必要だと言うのなら──得られた永遠の中で培えばいいと、そう断ずる俺は重症なのだろう。
「親しき者、か……」
放課になったばかりの今なら、澤村が捕まるか──……早乙女には悪いが、ここに来て両親に話すという選択肢はない。決して不仲という訳ではないが、早乙女の母親が娘に何も告げなかったように、俺もこの心の内を告げていない。
「佐藤は、」
「へっ? 青鹿くん──どうしたの、こんな所で?」
「なっ──!?」
「三階……、下級生の人に用があったのかな?」
「いや、まぁ、何だ──そんな所だ」
「嘘吐き」
「ぐっ……」
このタイミングで鉢合わせとは──運命よりも先に、作為的なものを感じてしまう。
「──青鹿くんが、昼休みからいなくなって心配した」
「あ、あぁ」
「早乙女さんも、鞄があるのに教室にいない」
「そう言や──」
朝来た時にはあったな。
授業に出る気がないのに、鞄があるのは──……俺のせいだな。家に戻るまでに察して、家に帰ることなく俺を守っていた訳か。
「──……優女子ちゃん、とも連絡が取れない」
「そうか……」
二人揃って日常を放りだしている訳か。
「わたしの力は、まだ必要ない? 青鹿くんも、優女子ちゃんも……早乙女さんも、なのかな──無理をしてない?」
「前者も後者も、共にイエスだ──皆が自分に出来る範囲で関わっている」
その出来る得る範囲が異常なだけ──
「わたしには教えてくれないんだ」
「いずれ、犬迫の奴から聞ける──その方がいい」
俺は思い違いをしていたらしい……引き分けを打ち続ける?
「きっとわたしも当事者の筈なのに?」
「否定はしない」
──そんな可能性が残る筈がなかった。
佐藤がこうして心配するのは目に見えている……犬迫がこの事態を予想出来ない筈がなく、望む筈もない。本来であれば昨日で終わっていた筈だったものが、予定外の乱入によって今日に延びたというだけ。
「納得、出来そうにないよ」
「……あー、ほら、何だ──囚われの姫的な扱いなんだよ」
その覚悟は既に昨日で証明された──自身の命を天秤に乗せ、他人にその選別をも委ねる。それは、一種の消極的な自殺だ。自身が死んでしまっても構わないとした人間に、長期戦など望める筈もない。
「んー、どういうこと?」
「囚われの姫ってのは本が閉じられるその時まで、その原因を知らないもんだ」
ん、──俺は今、途方もなく馬鹿げたことを口にしなかったか……?
「わたし──誰に囚われているの?」
「あー、……お、──俺か?」
「愛しの騎士様が優女子ちゃんなわけだ」
「少し馬鹿げたことを口にした、忘れてくれ」
「わたしは……囚われた姫のままでいいかもしれないけど、それが辛いと感じる人がいるなら、読み終えないと、だね」
「……だな」
何故だ、考えるべきことは幾らでもある。犬迫の動向、用いる手段、その真意、それらに抗じる策──佐藤とすら連絡を絶った犬迫は、その準備が整い次第動く。
「別に殴り合いの喧嘩をするわけじゃないもんね──わたしは心配性だ」
「一つ聞かせて貰えないか?」
佐藤との話を切り上げて、直ぐにでも早乙女の下へ行くべきだと…………思考は働くのに、この緩やかな強制力は何だ……?
「ん、なーに?」
「こんな時にあれだが……俺がもし、不老不死の化け物になりたいと、本気で願っていたら君はどう思う?」
君──……そういう事か。
「え、急にきみ? 何で……?」
「あー、気にするな──化け物とは言い過ぎだが、割と憧れていた。お前はどう思う?」
「そっか……青鹿くんが見ている世界は、そんなだったか」
「なんとなくは察していたろ?」
この際だ、聞いてしまえばいい。その答えが、この先犬迫と語り合うのに必要な言葉を生むかもしれない。
「うん、そうだね──でも、寂しくない?」
「さぁ、体験した訳ではないから偉そうには語れない。唯、それも一つの醍醐味だと、俺は思うよ」
「大切な人が先にいなくなっちゃうね」
「ああ」
「そんなことが何度もあるかもしれないよね」
「ああ」
「誰かの苦しむ姿ばかり……見るかもしれないよね」
「──ああ」
「そっか──……青鹿くんは、やっぱり遠い人なんだね」
「少しだけ、状況が変わったんだ──……だからあの日、伝えられなかった言葉を伝えられている」
あの日伝えた言葉が、あまりに簡素だったからかもしれない。
「早乙女さんのおかげかな?」
「否定はしない」
佐藤がこんなにも苦しそうな顔をするのも、犬迫が事を起こすに至ったのも。
「……やっぱり凄いなー、早乙女さんは──こう、積んできた経験が違うのかもしれないよね。わたしには彼女の存在がとても大きく感じられてしまうの。だから、青鹿くんが惹かれてしまっても仕方ない……そう思うな」
「勘違いしてくれるな、もしもだと言ったろ。本来なら一番に、俺の憧れをお前に伝えておくべきだった──犬迫と早乙女に糾弾されて、気付いたというだけだ」
「え、えっ──……と、うん、そうかも」
「でもな、どんなに糾弾されても俺は変わらなかった。そもそも、変わろうとすら思わない──……俺はそんな男だ、だから離れた。身勝手にすぎる言動と理解しているが、それでいいと思っていたよ」
「──今は?」
「生まれた後悔に、罪悪感までが重なった──でも、それだけだ。この自らの身体性を、抑えたいとは思わない」
「気持ちは変わらないって……こと?」
「そうでもないかもしれない──唯、俺個人の人間的な部分は、変わらず身勝手なままだということだ」
こんな俺でもいいと言うのなら──
「そっか。なら一つだけ聞かせて──今でもわたしのことが好き?」
「嫌いじゃない」
あの日と同じ言葉を受け入れて欲しい。
「相変わらず好きとは言ってくれないんだ」
「ああ、変わらなかったよ」
「青鹿くんに別れようって、言われて今日まで──わたしは自分の気持ちを持て余して……そんな気持ちだけが途方に暮れてしまって、みんなに心配をかけてたみたい。もちろん、青鹿くんがちゃんと振ってくれないのが悪いと思うんだけど──今日ここで、立ち直りましたっ」
「お、おう」
正直、何がどういう理屈で立ち直ったのか俺には分からない──唯、戯け改めて直立した姿に憂いは感じられない。
「わたしが行かない方がいいなら、優女子ちゃんに伝えて、ありがとうって──それに早乙女さんにも」
「ああ、伝えておく。明日には、お前の口から伝えられるようにしてみせる」
そして佐藤の口から非難の言葉が聞けて、幾らか心落ち着いた。
「うんっ、お願い」
「悪かった──……俺には、言葉も感情も足りなかった。佐藤という人間の、人格を見縊っていたよ」
更には、謝罪の言葉すら口に出来た。
「青鹿くんも、ありがとう」
「は、? 何を」
「わたしのために、心と時間を割いてくれて」
「はん──……悪いが、半分以上は早乙女のおかげだ。今回の件が丸く収まれば、返し切れない恩義が出来るのかもしれない」
あぁ、それは間違いなく出来るさ。
彼女がどれ程望まなかったモノであれ、緊急事態の末の選択であれ──俺が欲して、認めた生き方であることに変わりない。もし俺を助けることで利があるのなら、俺の意思をこれ程に尊重する必要はない。まして、彼女と彼女の言葉を全て信じるなら、今回分け与えられる力は任意で剥奪出来るらしい。それは彼女か、彼女の母親が残した配慮とも言えるのではないか……そうなると、いよいよ頭が上がらない。
「──青鹿くんは、ちゃんとお礼言った?」
「あっ、」
言っていない──少なくともこの件に関しては何も……
「だからそんな暗い顔で、誰々のおかげだーなんて言うんだよ──ちゃんとお礼を言って、その人のために出来ることを考えて伝えてあげる。それが信頼を築いていく関係でしょ?」
「あぁ、違いない──……早乙女に対して出来ることとなると、なかなかに難しいがな」
死にたいと──それは極端で、その端は後ろ向きにしか進まない、淀んだ信頼関係だ。
「うんっ、そうだね。でもね、誰かのために出来ることなんてなかなか見付からないかもしれないけど、お礼は簡単に言えるはずだよ。それだけでも前を向いて、胸を張っていられると思うんだ」
「ああ、全くもって違いない」
「それに、早乙女さんために出来ることって、今やってることを頑張るってのじゃ駄目なの?」
「今……?」
「うん? だって早乙女さんが学校に馴染めるように協力してるんでしょ?」
「……それで、いいのか?」
「わたしは詳しく聞いてないから、確かなことは言えないけど──早乙女さんは本当に楽しそうだったよ」
「そうか、そうだな──有難う、佐藤っ、俺、ちょっと行ってくるわ」
「え、うんっ! 頑張って」
「ああっ!」
運命的に過ぎると危惧し、不等価であると背徳を感じるのであれば、それを拭えばいい──時間は有限だが、それを拭う程度の時間はあるのだから。