表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

いなりさまっ! 3

連続投稿です。2つ前の話から始まっています。

「貴女……だれ?」


「えっ、あっ、美月!?」




 艶やかな黒髪をポニーテールで垂らし、鋭い眼差しの瞳からは殺気が迸るが、これはデフォルト。嬉しいときも悲しいときも、常に目付きが悪い。そんな少女が、セーラー服をまとい、そこに立っていた。

 俺の妹の、美月だ。

 たしかに兄からみても目付きは悪いが、それを差し引いても美人なので、学校ではよく告白されるらしい。なんでも、下げずんだ眼差しで見下ろされて、罵られたいだとか、目つきは悪いけど、ちっちゃくて可愛いだとか……。

 また見た目は漬け物とか食べてそうな感じだが、甘い物が大好物で、他の女子から餌付けされる所をよく見かける。

 小動物みたいに食べるから可愛い! とは妹の親友の台詞だ。



「貴女……今私の名前を呼んだわわよね? それにその耳と尻尾……」


「あっ、えーと……そ、そう! わ、わらわはこの神社の神であるっ!」


「神様……? それにしては威厳とか信仰力とか、全然ないわね」


 信仰力!?


「おまっ、美月! 何か知ってるのかよ!」


 ……あ。


「その口調……やっぱり兄さん?」


 呆れた様に、そして確信した様に言う美月。そうだ、コイツは昔から妙に勘よかった。


「…………あぁ、そうだよ。お前の兄ちゃんだよ」


 ふんっと鼻から息を漏らす美月。その勘が当たるとドヤ顔で鼻を膨らませる……これまた昔からそうだ。


「……で、どうして一体、何があってそんな姿に?」


「ああ、それは──」


「ちょっとみっちゃん、お兄さん見つかったのー?」


 さっそくと説明しようとしたところ、聞き慣れた声と共に少女が部屋に入って来た。


「って──ケモっ子だああああああああ!!」


 突進。


 お前はイノシシか! とツッコミたくなる様な勢いで突っ込んでくる少女──軽くウェーブのかかった茶髪をカチューシャで留めたその子は、しかし一瞬後後ろから伸びてきた手にセーラー服の襟を掴まれ、ぐえっと女の子に有るまじき声を出して止まった。


「こらっ、なのちゃん……ダメでしょう?」


「かはっ……み゛、み゛っぢゃん……ぎまっでる、ぎまっでる……」


「あ、ごめんなさい」


 全くもって申し訳なく思っていなさそうに謝り、手を放す美月。

 少女──例の妹の親友で、その兄合わせてケモナーとして有名な兄妹の妹、高野奈乃華たかのなのかだ。


「し、死ぬかと思った……」


「だ、だいじょぶか?」


「だいじょうぶ私もう生き返った!!」


「お、おう」


 相変わらず頭のネジ飛んでんな……。普段は普通の娘だけど、ケモっ子の話となったら爆発的にビスが吹っ飛ぶ。それがこの娘、奈乃華ちゃんだ。


 むしろこの娘の方が犬っぽい……と常々思っているんだが、どうだろうか……。


 一方、同じ学年の、奈乃華ちゃんの兄、勝人とはめったに話さない。別に仲が悪いって訳じゃないが、仲良くはない。

 それこそ廊下ですれ違ったら挨拶したり、互いに「うちの妹が迷惑かけてすまん」といった事を話すくらいだ。

 なにかきっかけがあれば、親友とまでは行かなくても、そこそこ仲のいい友達になれるかもしれない。


「……で、この娘、なんなの? よくよく考えてみれば、ケモっ子なんて普通いるはずないし……」


 お、頭のネジが刺さったようだ。まともモードになると普通なんだよな。


「これ、うちのアニ」


「アニ……? ペット?」


「なわけあるか! 神城和樹だよ、奈乃華ちゃん」


「えぇっ!? マジですかっ!?」


 そうそう、これが普通の反応だよな。うちの妹は察しが良すぎる。


「はぇ〜、なあんでまたまたそんな姿に……」





 まぁそっから、今までの経緯を話した訳だが、全く同じ話だし、長くなるから省かせてもらう。





「……と、いう理由だ」


 と話し終えた俺は現在、奈乃華ちゃんの膝の上に座らされて抱かれている。まるでぬいぐるみ扱いだ。


「すごーい……そんなことが現実にあるなんて……」


 素直に感心する奈乃華ちゃん。説明してる俺が言うのも何だけど、素直すぎて将来が心配だ。怪しい奴に騙されなきゃいいが……。


 一方の美月、うんともすんとも言わず、ただただ話を聴いていた。

 逆に、俺が聞きたいことがある。


「なあ美月、お前、何か知ってんじゃないのか?」


「…………うん、知ってる」


 コイツはコイツで、ある意味素直なんだよなぁ……社交辞令とかが苦手なタイプで。


「そもそもうちの家は、この神社の、天音之神を神殺しから護るためにある」


「……そうなのか?」


「なのっ!」


「なのちゃんうるさい。うん……兄さんが教えられてないのは、それは兄さんが男だから……だったから」


 言い直さんでよろしい。


「でも、なんで男は教えられないんだ?」


 むしろ神様を護るんなら、腕っ節の強い男が知っているべきだ。



 そう訊くと、なぜか頬を赤めらせて、少し躊躇いがちに口を開いた。


「その……やっぱり、神殺しから神を護るには、聖なる力が必要な訳」


「あぁ……それで?」


「だから、その……お、男の人って、大きくなる前に自分でやっちゃうでしょ……?」


 やっちゃう? って、まさか……


「それって、オナ────」


「…………!!」


 むぐぐっ……口を塞がれた。


 でも、普通女の子も自分でしたりするだろうに……あ、もしかしてあれか。女の場合、破らなければ穢れずに神聖なままとか。なるほどなあ……。


「兄さん、変なこと考えてる?」


「まさか」


 まさか口が裂けてもイエスと言う訳にはいかない。


 と、ここで今まで置物の様にお座りしていた天音が、ピョンっと俺の膝の上に飛び乗って来た。


「おわっ!?」


『ようやく説明は終わったかの!』


「ああ、終わったよ」


「っ! もしかし──」


「すごおおおおおい! 華月ちゃん、狐の言葉がわかるんだね!」



 華月ちゃんて……


 何かを言おうとした美月を遮って、大きな声を上げる奈乃華ちゃん。ガンガン頭に響くからやめてほしい。

 それにほら、美月のただでさえ鋭い目が、もう日本刀も尻尾を巻いて逃げ出すくらい鋭くなっている。


「あ、あはは……ご、ごめん」


「はぁ……もしかしてだけど、その狐が天音様なの?」


「ああ、そうだよ。っていうか、二人は声聴こえないのか?」


 奈乃華ちゃんの反応を見る限り、聴こえていないらしい。


「私は聴こえないの!」


「私は聴こえる……まぁ、霊能者の修業は積んでるし」


 えーいいなーと漏らす奈乃華ちゃん。さり気なくミミを触るのを辞めてほしい。くすぐったいったらありゃしない。


「んっ……それで、何か言おうとしてたんじゃないのか?」


『うむ、なに……もう暗くなって来たしの。女子だけじゃ。そろそろ家に帰った方が良いんではないかのう』


「確かにそうだな」


「ほんとだ。早く帰らないとお母さんに怒られるかも……」


「ん…………兄さんは、どうするの?」


「どうするって、そんなの帰るに──」


『ダメじゃ』


「──決まって……ない、の?」


 ゴッドストップ入りましたー。


「な、なんでだよ」


 尻尾を不満げに揺らしながら訊く。


 するとそれに対抗するかのようにミミをフルフルさせ、天音はこう言った。


『ダメというか、無理なんじゃ。

 なぜかというと、今のカヅキは半分この神社の神じゃ。して忘れては行けないのが、この神社が神を外に出さないための檻だということ』


「え、じゃあ……」


『うむ、出たくても出れんじゃろう。しかしまぁ、もう半分は人故、妖力を抑える神具を使えば、出られん事もなかろう。

 ま、今はそれすらないからの、せいぜい諦めい』


「マジですか……明日からの学校どうしよう……」


 軽く絶望し、一人黄昏ていると、我が妹様が声をかけてきた。


「安心して、兄さん。……私が家族に説明しておくから」


「いや、そこじゃねーよ……」





 ほんと、どうしたらいっかな〜。









「けど、これから何をして過ごせばいいんだ?」


 美月と奈乃華ちゃんが家に帰ってから。俺はそう天音に訊ねた。


『まあ、これからは半分神、半分巫女として修業するんじゃな。いつまた奴らが来るとも限らん。自衛の準備はして置かんとのう』


 巫女さんですか……アレは見るから良いもので、なって楽しい訳ではないだろうに……。


「見こかぁ……ハードル高いなぁ」


 軽く絶望し、一人黄昏ていると、神様が声をかけてきた。


「安心せい。……巫女服ならタンスのなかに入っておる」


「いや、そこじゃねーよ……」



 ってかなんで入ってるんだよ。




 まぁこんな感じで、俺の半神半巫女ライフは幕を開けたって訳だ。

 ……ん? 続きは?

 はぁ……そうだな、「こんこんわっふる」とでも感想が、10件くらい来たら話すとするか。

どうでしたか?

感想お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
面白いと思ったら、ポチッとお願いします! 小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ