1-2
最初なので、早めに更新します。初めての戦闘描写…難しいです…
店で男達が固まったのを見届けると、私は外に出た。影縛りの拘束対象は所詮、影。お店の人が店閉めする時くらいには気づくだろう。それまで筋肉痛になったってこっちが知ったこっちゃない。それにしても、面倒なことしちゃったなぁ。本当は目立ちたくなかったんだけど…。
さっきから感じる殺気を何とかしたい。
私は行先を村近くの森に変えた。
しばらく歩く。
食堂からしばらく歩いて、森の中、少し開けたところで私は隠れている誰かに声をかけた。
「…あのさぁ、もうそろそろ出てきてもいいと思うんだよね。」
それから私は少しだけ顔の位置を左にずらした。私がそう言うや否や、ナイフが飛んできて、隣の木に刺さる。やっぱりね、ため息をついてナイフをチラリと見る。かなりの力で投げられたのであろうそれは、刺さった後も余韻を残して少し左右に揺れている。さっきのチンピラとは段違いの本物の暗殺者。わかっていても、慣れるわけではない。
「出てきたら?」
ため息をついて、せいぜい平静を装って声をかける。
出てきたのは、全身黒ずくめの大人。顔も覆面で覆われていてわからない。相手の殺気から見て、相手は手練れ。武器の在庫もほとんどないこんな時に相手なんかしたくない。
でも、もし私に何かあったときに、ここだったら命だけは助かるだろう。
こんなとこで死ぬわけにはいかない。私にはまだやることがある。
「オ前ノ魔石モライニキタ。ツイデ二殺セト言ワレタ。ダカラ殺ス。」
抑揚のない声。音の高さから、男か。相手が茂みから姿を見せると同時にこちらは大腿部に着けていた投擲用のナイフを2本放つ。
相手はそれをすぐに避けると大ぶりの鎌を構えて走ってくる。げ。相手は武闘派の近接タイプだ。私にはすこぶる相性が悪い。
私はチッと女らしくない舌打ちをすると、走りながらすぐさま力ある言葉を解き放つ。
「氷の矢!」
放った魔術を見届ける。これは小手調べ。
しかし、氷の矢は相手に当たって砕け散った。
私の顔に冷や汗が流れる。まずいなぁ。避けすらしない。これ、相手は魔族だ。自然系の技は魔族には効かない。
相手の男(声が低いから男ってことにしておく!)は氷の矢があたったことは蚊に刺されたくらいも気にせずに私に肉薄すると、その刃を振るう!
「!…っと危ないなぁっ!!」
紙一重で避けると相手から距離を取る。しかし相手は初手を避けられたのをものともせず、返す刃で私の首元を狙っている。これをしゃがんでやり過ごすけど、内心は結構焦っている。
まずいまずいまずい。相手が手練れであることは一目瞭然。対する私の残りの投擲用武器はあと1つ。魔術師は通常後衛であって、近接肉弾戦をやるのは得意じゃない。
そんなことを考えているうちに、相手は何度も刃を振るう。私が防御のために着ているマントはもう何か所も切り付けられ、破られている、早く、早く打開策を。相手が魔族なんだとしたら…
「聖なる戒め!」
相手の動きが一瞬鈍くなる。これは効いた!ということは、確実に相手は魔族だ。
私は自分の歩の悪さを悟って、素早く走って相手から逃げる。あーもう、何か物理的な攻撃手段がないとっ!!!
街道まで走るが、相手はすぐに聖なる戒めから逃れたのか、負ってくる。私は手に持つ最後の針にチカラを籠める。これで最後。でも、これじゃ、耐久力が足りない。
「影縛り!」
相手が一瞬動きを止める。しかし、これは闇魔術の一番初歩的なやつ。力ある魔族には容易に破られてしまう。急がなければ、何か決定的な攻撃をしなければ。
私は内心の焦りを抱えながら街道まで走った。
と、そこに、先ほど食堂で同席した美少年が見えた。彼は、手に持った武器を磨いている。彼が手に持っているのは…
力ある武器!
私は彼に駆け寄ると、磨いていた短刀を奪う。
「なっ!」
彼は人の接近には気づいたのだろう、そしてやりすごすつもりだったのだろうけど、申し訳ないが犠牲になってもらう。
「ごめん、これ、もらう!」
もう、そこまで魔族は迫っている。相手が振り下ろした刃が私の脇腹をかすめたのを感じると即座に私は相手の内側に潜り込んで相手に短刀を突き刺した。
「闇浸食!」
魔族の腹部に浅くあたった刃がずぶずぶと相手に飲み込まれていき、当たっていない個所も浸食していく。継続時間のある攻撃だし、かなりのダメージを与えられるはず!
キリが悪いのですが、長くなりすぎてしまうので一旦切ります。