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500年後のマキナ

コラボ編です。

マキ(魔導機械)歴572年


マキナを中心とした魔導科学が発展していた。

戦後マキナを信仰するものが現われ、前世界人類復興後の知識を与えているといつの間にか暦も作られ崇められるようになっていた。

最初の100年はいろいろな機械製品が生み出されては破棄されていたが、リサイクルを推し進めた結果破棄される部品も再利用されゴミが減ったのである。

次の100年からは本格的に民生品として魔導科学製品が販売され住民たちの生活の質はかなり向上した。

そしてマキナへの信仰心も大幅に増え、マキナに変化が訪れた。

一応神と言っても偽神であったが、信仰の結果偽神から本物の神に昇格したのだ。

これによりマキナは一つ上の次元にシフトし、概念として世界に影響を及ぼしたのである。


機会を加工する際エネルギーは最初から魔力を使用している為エネルギー問題は無いものの、機械を加工する際に出る汚水が少々問題になっていた。

そこでマキナはろ過装置の作り方の知識を与えた。

研究者たちはそれをもとにろ過施設を建築し、汚水を綺麗な水に戻すことに成功したのである。


そしてマキナは朽ちることも燃料切れになる事もなく672年の時を過ごしていた。

当時の仲間たちは皆逝ってしまったが、その子孫がたまにマキナの下へ遊びに来る。

マキナもだいぶ精神が成長したのかしゃべり方も変わっている。


そんな日常と同時に世界線の観測技術を導き出し、技術者によって開発されたディスプレイに映し出すことができた。

しかし、膨大な魔力を消費するため地脈でもないマキナの神殿(家)では動作させることができないし、ハードウェアもない。

その為マキナ自身がハードの肩代わりをし、魔力を供給していた。


「これおかしいな。観測ミスか?」


マキナはソフトウェアをデバッグしてみたがバグらしいものは見つからない。


「どうかされましたか?」


使用人兼研究者が声を掛けてくる。


「いや、第14世界と第15世界の世界線変動値が極端におかしい。」


疑問に思ったのでマキナは直接行って確かめることにしたのである。


「面白い。ちょっと直接行ってくる。」

「え?マキナ様危険です!」

「大丈夫すぐ戻るよ。その間の維持よろしくね。」


そういうとマキナは第14世界へと飛び立ったのである。


「そういえばこの次元のはざまも久しぶりだな。最初は落ちかけて必死だったな。」

“第12世界線通過。”


「そろそろだな。」


目の前に第14世界の空間が現われる。

魔力の翼を広げるとその中に飛び込んだ。

地面にドスンっと音を立て魔力の翼をしまう。

世界線をまたいだことによりマキナの巨大な魔力があたり一帯の魔力を感知できる動物、魔物を遠くへ追いやってしまった。

それと同意にATSから魔力マーカーを設置し稼働させた。


「これは問題だな。あとでフォトンウィングを修理しよう。」

“広域スキャン開始”


「ふむ。」


マキナは人が移動する形跡を見つけた。

その道に入るように走っていく。

しばらく走っていくと、スキャナーに反応があった。


「これは街か。寄ってみるのもいいかもしれないな。言語の収集作業もあるし。」


マキナは待機列に並ぶと、耳に入る言葉を分析し始めた。

子音母音を羅列し言語形態を割り出す。

一通り話を聞いていたマキナは言語を8割方解析し終えると、ちょうどマキナの順番に回ってきたのだ。


「何か身分を証明するものは持っていないか?」


マキナはこの言葉から足りない言葉を推測し文章化し言語翻訳を完了させた。


「持ってないんだけど、どうすればいい?」

「どこかの村娘って恰好じゃないしな…ギルドカード無くしたのか?」

「持ってないよ。」

「持ってないって…田舎から出てきたのか?まぁいいだろうギルドの場所はわかるね?」

「はい。」

「それじゃギルドに行って登録してきてくれないか?そのあともう一度戻ってきてほしい。」

「わかった。」


無事に街の中に入ったマキナ。

兵士に言われた通りギルドへ行くことにする。

厄介ごとはめんどくさいのである。


「ギルドの場所はっと…。」


辺りにいる冒険者らしき人を追いかけギルドへと向かう。

追いかける途中看板などに書かれている文字を記録し解析していた。

ギルドに着くころには大体の文字が解析し終えていたのだ。

中に入ると受付の女性に声を掛けた。


「ギルド登録をしたいのだけど。」

「登録ですね。ではこの登録書に名前とクラス、年齢を記入してください。」

「名前はマキナでいいか。年齢は…うん誤魔化そう。クラス…魔法使いでいいや。出来ましたよ。」


受付の女性はそれを受け取ると水晶の操作を始めた。


"スキャン開始”


「(犯罪履歴と捜索願を調べているのか。この信号は名前だな。白とわかった時点で登録処理をするのか。)」


ひと通り盗み見ていると登録が終わったのか回線が閉じられた事がわかった。

女性が受付に戻ってくると何かカードを持っていた。


「登録完了です。こちらを受取ください。」

「ありがとう。」


カードを受け取ると顔写真と名前、クラスが表示されたのである。

横にはFと大きく書かれていた。


「これでカードの登録は出来ました。ギルドの説明をしますか?」

「いや、大丈夫。(どうせどこの世界も似たり寄ったりだからね。)これから門前の兵士にカード見せなきゃいけないからね。」

「わかりました。これからのご健闘をお祈り申し上げます。」


マキナはギルドを出ると、自動マッピングされた道を戻り始めた。

先ほどの兵士に会うためだ。

ギルドとはあまり遠くないので直ぐにたどり着くことができた。


「ああ。居た居た。兵士さん持ってきたよ。」

「さっきの。よしマキナだな。正式に通行を許可する。」

「ありがとう。」


マキナはそう言うと早速カードを使って外にでた。

そして人気のないところに行くと立ち止まった。


“外部からの魔力的干渉有り、遮断します”


マキナは一つの場所をずっと見ていた。

すると木の影から一人の人間が出てきたのだ。


「この間のガキといい、お前といい…なんか俺最近役に立ってないんだよなぁ。」

「貴方は誰?」

「俺か?マリオネッターのロレンツ・ガーランドだ。」

「あっさり喋るのね。」

「ふん。どうせお前は俺の支配下に入ることになるんだ。そんな些細な事はどうでもいいのさ。」

「やれやれ…力量も測れないのがマリオネッターとは…この世界はレベルが低い。」


この時マキナはレーダーで数百の敵意がある存在を認識していた。

最初から干渉してきた時から一人足りとも逃がすつもりはなく、魔力遮断のために大規模なシールドを展開していた。


「ゴタゴタ言ってねぇで俺の下に下るんだな!」


そう言うと後ろに隠れていた者達がぞろぞろと出てきたのだ。


"スキャン開始”

「ふーん。皆洗脳済みってわけね。」

「理解が早いじゃないか。これはいい素材だ。殺さない程度に痛めつけろ。行け!」


マキナはやれやれと肩を上げる。


「降りかかる火の粉は払わねばならない。<至高の恐怖よ。我、神であるデウス・エクス・マキナが命じる。今こそ星より蘇りて汝らに新たな恐怖を与えん。リターンダークネスオールド・ワン。>」


マキナが行使したのは闇の根源魔法。

黒い魔力が形容しがたい形に実体化し、触手で襲いかかる人々を薙ぎ払っていく。

黒い魔力を見たものは支配魔法から強制的に開放され目の前の恐怖を見てしまった。

見たものは一様に発狂し、気絶した者、周りに斬りかかる者、他人に噛み付き共食いを始める者と戦場は混沌を極めた。

マキナはそんな中のど真ん中を歩き事の発端の男へ近づいた。

もちろんガーランドも精神に異常をきたしており発狂している。


「さて私も暇じゃないんでね。終わりにしよう。」

"ATS-ハイドラ-”


マキナの手元に一丁のハンドガンが現れた。

それはハンドガンと言うにはメカメカしく、異彩を放っていた。

このハイドラは魔力を通せば通すほど弾丸のスピードと強度が増すのである。


ハイドラを発狂しているガーランドの額に押し付けると引き金を引いた。

轟音と共に頭が砕け、血潮が周囲に撒き散らされた。


「さて。引きずり込め!」


黒い魔力はその触手で人々を絡めとるとそのまま地面の中へ引きずり込んでいってしまった。

残されたのはガーランドだった死体だけだ。

死体からはポケットからはみ出たスマートフォンほどの魔道具がはみ出ていた。

それを手に取ると魔力を流した。


《ん?ガーランドか。どうだ?魔力の正体はわかったか?》

「ガーランドなら殺した。」

《誰だ!?》

「私?マキナ。あなた達が探していた魔力の正体ね。」

《なぜお前がガーランドのを持っている!》

「頭足りてないの?さっき殺したって言ったじゃない。」

《馬鹿な!…俺達に敵対したことを後悔させてやる。》

「まぁ、見つけられたらね。」


マキナはそう言うとそれを握りつぶしてしまった。


「さてシールドも解除しようかね。」


辺り一帯に張っていたシールドを消す。

いつまでも張っていたらばれる危険性があるからだ。

その後マキナはしれっと門をくぐるともう一度ギルドへ顔を出した。

なぜならこの世界の硬貨が無いからだ。


「これでいいか。」


マキナは依頼書を手に取ると受付に提出した。

「ギルドカードを拝見しても?」

「ん?はいよ。」


ポケットから取り出すふりをしつつATSからギルドカードを手元に呼び出し、受付の女性に渡した。


「…あの本当に受けるんですか?これAランク任務ですが。」

「受けるよ。」

「本当によろしいのですね?」

「いいよ。」

「…わかりました。対象はシーサーペント一体の討伐です。場所はトモス湖になります。追加報酬としてなぜここに現れたか調査があります。」

「わかったよ。討伐確認はどうする?」

「シーサーペントの牙と鱗を持ってきてください。」

「了解。ところでトモス湖ってどこよ?」

「トモス湖は北門から20km行ったところにあります。」

「わかった。行ってくる。」

「…お気をつけて。」


マキナはギルドを出ると路地裏へ入り周りにシールドを展開すると魔力の翼を広げた。

そのまま空に上がり下から見えない距離まで上がるとそのまま北方向へと飛んで行く。

マキナの飛行速度はマッハ2で飛んでおりあっという間にトモス湖に到着したのである。


「さて獲物はどこかな。」


マキナはシールドを解除するとトモス湖に降りていく。

トモス湖上空に巨大な魔力が現れたことにより水の中で寝ていたシーサーペントを呼び覚ます。

しかし勝負は一瞬だった。

シーサーペントがマキナめがけて食いつこうとした所をディメンションアンピュテーションが一閃。

重力に従いトモス湖に落ちていくシーサーペント。

トモス湖をその赤い血で染め上げていく。


「所詮魚類か。これはオーバーキルだな。討伐部位をさっさと回収するか。」


マキナは水面まで降りると鱗を剥がし、牙を抜き取り収納する。

追加で調査任務があることを思い出し水中へと入っていく。

水は綺麗に澄んでおり、せっかくの水を赤い血が汚してしまっている。

マキナが水の中を調査していると湖の底に穴が開いていた。

その中を進むと少しずつではあるが塩分濃度が上がってきている。

光の届かない洞窟の中を魔力の翼の光が照らし出す。30分ほど経過すると洞窟を抜けだした。塩分濃度は既に海と同じになっている。

そのまま浮上するとやはり海だった。


「あの魚類はここから入ってきたのか。とりあえずギルドに戻ろうか。」

“空間跳躍起動”

“跳躍先確保完了”

“転移先位置座標確認”

“転移開始”


マキナは海上から消え、魔力マーカーがあるこの世界に入った場所に出たのであった。


「よし。魔力マーカーもきちんと動作してるね。さて戻ろうか。」


マキナは走って街に戻るのであった。


「お?ギルドの依頼でもやって来たのかな?」


門で身分確認をしていた兵士が話しかけてきた。


「そう。ちょっと遠出してたの。」

「へぇ。それじゃこれからギルドにいくのか。そろそろ日が暮れるから宿も探しておけよ。」

「わかってるよ。それじゃあね。」


マキナは話しながらギルドカードを見せると門を通過し、ギルドへと赴くのだった。

ギルドに入った途端受付の人が憐れみの目でこちらを見てきた。

なぜかは知らないがとりあえず受付まで行く。


「言わなくてもわかります。失敗ですよね。FランクがAの依頼を達成できるはずがないんです。違約金は私が払ってあげるから次からは気を付けてね。」

「…いや何言ってるんですか。これ、鱗と牙ですよ。」

「え?ええええ!?ほ、本物ですよね?」

「もちろん。」

「しょ、少々お待ちください!」


職員が鱗と牙をもって奥へ入っていってしまった。

何やら奥でもめているようだ。


「ん?たしか昔も同じようなことが有ったような…。」


いつぞやの記憶をデータベースから引き出して思い返していたのであった。


黒い魔力を想像してしまった人は1d100のSAN値チェックです。

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