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物語の終わり ―End Of Story―



月日は流れ、逃げ延びたカーディの国民により国が再建されている。

再建には各国が協力し、二度とこのような事にならないように互いに協力しあう事で話が進んでいた。

そして事の発端である羽の生えた人間―翼人の野望を阻止したという功績を讃えられチームが表彰されることになったがアリスはそれを断り、代わりに王城の一室を無期限で貸してほしいと申し付けたのだ。


そしてどこからかマキナの正体と経歴が一部に漏れ新しい宗教が出来たりもした。

翼人戦争。そう呼ばれた戦争から数ヶ月たった今でもマキナは起きず、眠り続けたままなのである。


マキナが眠り続ける部屋には毎日アリスやミルフィー、ネザリアがやってきては変わった様子がないか確かめたり、体を拭いていく。

国王達もマキナが目を覚ますのをまだかまだかと待ちわびているがいつになっても目が覚めない。


カインも定期的に来てはマキナの状態を見ているが最初に見た時と変わらず魔力反応は微弱なものだった。



そして月日は流れ、十年の時間が経過した。




アインス国王は王の座から降り、ネザリアがアインスの国王になった。

ミルフィーは長老が他界し、直々に長老をやってくれと迫られ、里に帰ることになった。

アリスはフェンリルと未だにギルドで冒険者をしている。

カインは俺より強いやつを探しに行くと言って外の大陸へ出て行ってしまった。


不定期にアリスはアインスの城へ戻りマキナの世話をしている。


「マキナ…貴方は本当にあの時から何も変わらないね。」

「そうですね…。あの時から本当に…。」


二人は椅子に座りながらマキナを見ていた。

マキナの姿は当たり前だが十年前と変わらずだ。


「どうして目覚めないのでしょうか。」

「私にはわからない。魔法が使えないからね。」

「…あの時の約束。覚えていますか?」

「うん。また、のんびり冒険しよう。」

「でもまだ終わったわけじゃないです。まだ私達には時間があります。」

「そうだね…さて。そろそろお暇させてもらうね。ミルフィーも国の仕事があるでしょ?」

「そうですね。ではまた今度お会いしましょう。」



"修復率 五十パーセント”

"魔導炉出力五パーセント”




「―――。」

「…。」

「――ナ。」

「…ん…。」

「マキナ。」

「…おじさん?」

「相変わらず寝坊助だな。」

「五月蝿い…。」

「体の方は五十パーセント程修復が完了した。」

「そうなの?」

「あぁ、十年で五十パーセントだ。」

「遅っ!」

「魔導炉の出力が五パーセントしかなくてな、体を直す魔力が根本的に足りないんだ。それを貯めては放出しての繰り返しで大変だったんだぞ。」

「そ、そうなんだ。」

「思考系もWLCSが最適化されていなかったせいで断片化を起こして、そっちの修復も大変でな。」

「は、はぁ…。」

「次からは無理しない限りはWLCSを使っても平気だからな。」

「了解。で、いつになったら起きられるの?」

「早くて十年後。魔導炉の出力が戻るのは更に二年後と言ったところか。」

「十年…か。皆は二十歳も年取っちゃってるのか。」

「マキナ。お前の体は機械だ、自動修復も備わっている。何れ訪れるであろう別れを回避することは出来ない。」

「わかってる…。」

「いや、わかってないな。」

「…。」

「残りの十年間で覚悟を決めておけ。そして精神を思考を停止させるな。」

「…?」

「永劫に生きる君が思考が停止した時点で君はただの機械になる。それだけを忘れるな。」

「わかった…。」

「さて…私は焼き切れたチップの再プログラミングを行わなくては…。」


そして白衣の人間は再び作業へ戻っていった。


マキナは何れ訪れるであろう別れを考えていた。

研究所に居た時は友達なんて誰もいなかった。

しかし、この世界にきてからアリス、ミルフィー、ネザリア色んな人と仲良くなることが出来た。


「別れるなんて寂しいよ…。アリス…ミルフィー…ネザリア…。」

「…。」


白衣の人間は作業しながらもマキナの声を聞いていた。


「(やはりわからないか。しょうが無いな精神年齢は十四歳だ。多少強がって大人ぶっていても子供だ。)」


白衣の人は作業を一旦やめるとマキナに近づいてきた。


「マキナ。WLCSで何を学んだ?」

「何をって世界の理…。」

「なら人はどうなっていた?」

「人は世界線に記憶され続ける…。」

「ではなぜ悲しむ必要がある。例え死別しようとも世界はそのことを覚えている。例え世界が忘れようともお前が覚えているじゃないか。いいか?生き物の本当の死と言うものを教えてあげよう。」

「本当の死…?」

「そうだ。本当の死とは、世界からも忘れ去られ人々の記憶からも消えることが本当の死だ。その人が生きた証や存在さえ世界からなくなってしまうからな。」

「忘れ去られること…。」

「マキナ。君なら忘れないはずだ。死別しても決してな。」

「…私は絶対に忘れない。例えどんなことが有っても絶対に忘れない。」


白衣の人はそれを見ると自分の作業へ戻っていった。




そして十年の月日が流れた。


「マキナ。体が直ったぞ。」

「やっと直ったんだね。」

「あぁ、だが魔導炉の出力は下がったままだから気をつけろよ。」

「色々ありがとね。」

「あぁ、気にするな。私はもう一度モジュール内で眠りにつく。もう一度会う時はまた壊れかけた時か。」

「あはは…それは勘弁して貰いたいな。」

「今、外に三人珍しく揃っているぞ。早く起きてびっくりさせてやれ。」

「うん。わかった!それじゃ!」


そう言うとマキナは白い空間から消えていった。


「行ってこい。マキナ―――いや舞。可愛い娘よ。」




「―――――――だけど、里はどう?」

「えぇ。マキナが張り直してくれた結界は凄いわ。」

「まぁ。やっぱりマキナさんは凄いのですね。」


―――――声が聞こえる。


―――――ああ、この声は三人の声だ。


「…あれから二十年…か。」

「そうですね…。」

「いつになったら起きるのかしら。」


―――――起きないと。


「女王様。そろそろお時間です。」

「あら。わかりました。直ぐに向かいます。」

「もう時間か…それじゃ私達もお暇させて頂きますか。」

「そうね。私も里が心配だわ。」

「すっかり里の長になっちゃって!」


―――――早く。早く。起動して。


「それでは皆さんまた今度。」


ネザリアが部屋から出ようとした時――――――


「―――――ネザリア。」


その呼び声に一同が目を見開き固まった。


「―――アリス―――ミルフィー――――。」

「マ…キナ?」


"再起動完了”


マキナが上半身を起こした。


「皆…おはよう!」







これにて機械仕掛けの神が異世界トリップ!?は終わりになります。

無理矢理な設定や誤字脱字、設定ミスが多かったですが、感想をくれた方、お気に入り登録してくれた方。

本当にありがとうございました。


最後は短めですがこれで終わりにさせて頂きます。

では次に合う時まで。さようなら。


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