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地竜討伐

朝食が食べ終わり、4人は宿の外へ出ていた。


「さて、ギルド行こう!」

「そうだね。ランク上がってから一回も依頼受けてないし。」

「初めてです!ギルドで依頼というものを受けるのは!」


何故か3人とも目がキラキラしている。

ミルフィーは遠い目で3人を見ていた。


「ほら、さっさと行くわよ。」


ミルフィーは騒いでいる3人を横目に歩き出した。


「あ!ちょっとまってー!」


ギルドはそれほど遠くない位置にある。

宿から歩いて5分程度の位置だ。


ミルフィーやアリスは場所を知っているため迷わずに行けるのである。

逆にマキナやネザリアは場所がわからず覚えるのに必死だった。


ギルドの前は相変わらずギルド内から聞こえる声で賑わっている。

ミルフィーがドアを開けても前みたいな事は起こらなかった。

皆騒いだままである。


「なににしよーかなー。」


マキナはSランク依頼のところに張り付いていた。


後ろではネザリアが Sのを受けるのですか! っと騒いでいたが、エルフの里での戦闘を見て大丈夫だと判断している。


「地竜討伐?」

「あぁ、アースリザードのことね。」

「あーすりざーど?」

「そう。そいつの特徴は硬い鱗と土属性の魔法を使う高位の魔物ってこと。」

「へー。じゃ、これにしよっか。」


マキナが依頼書を手に取ると横から声がかかった。


「ねぇちゃん。悪いことは言わねぇからそれ戻しておきな。」

「?どうしてですか?」

「最近地竜を複数見かけたって噂があるんだ。もしかするとSランク指定の依頼じゃないかもしれない。」

「ふむ。面白そうだね。忠告ありがとう!行ってきますね!」

「お、おい!」


マキナはそう言うとギルドの受付に依頼書を提出に行ったのだった。


「すみません。これチームで受けたいのですが。」

「はい。ギルドカードをご提示ください。」


そう言われるとマキナはギルドカードをさり気なく見えない位置に転送すると受付の女性に手渡した。


「チーム戦女神 地竜討伐受注っと…はい。出来上がりました。ギルドカードを返却いたします。」


ギルドカードを手渡されたのでそれを受け取りしまう振りをして転送した。


「この依頼の期限は2週間となっております。それまでに達成してください。」

「わかりました。早速行ってきます。」


マキナが署名の入った依頼書を手に取ると3人が待つテーブルへ戻っていった。


「たーだいまー。」

「受けれたかしら?」

「うぬ。場所なんだけど、クォーツィの北西にある森奥だって。」

「どうしてそんな辺鄙な場所に…。」

「えぇっと、街道整備に支障が出るためって書いてあるよ。」

「北西は海。港でも作るのかしら。」

「皆準備は大丈夫?」

「私は大丈夫です。」

「私もよ!」

「私は…」


ミルフィーは矢筒の中を確認している。

矢筒には8割程度の矢が入っていた。


「大丈夫よ。」

「よし、ならしゅっぱーつ!」


マキナ達はギルドから出て行った。


「おい、本当に行っちまったぜ?」

「あぁ、あの噂が本当でなければ良いのだが…。」


しかしこの後逃げ帰ってきた冒険者によりもたらされた情報によりそれは現実となるのであった。


それをマキナ達が知るすべは何もない。


「食料はこの間のウルスの冷凍肉有るからそれでいいよね?」

「うん。それで大丈夫。私が美味しく料理してあげる…うふふ。」


しばらく道を歩いていると騎士が看板を持って立っていた。


「え~っと?騎士、使用人募集?」

「あー。マキナ。この間の事で騎士と使用人が惨殺されたからじゃない?」

「な~る~。」

「あれは酷いものです!関係ない使用人まで殺すなんて!」

「フェンリルの爪が通らないのはびっくりだったよ。」

「【我も驚いたぞ。】」

「【ねー。】」


看板を持ち立っている騎士の騎士の横を抜け、北の門へとたどり着いたマキナ達。


「えっと、ここを出て北西に進んだところにある森の奥だね。」

「森の奥は魔物が強いから気をつけて進みましょ。」

「私達パーティならどんな魔物でもどーんとこいよ!」

「さすが頼もしいです。」


ネザリアはキラキラした目でアリスを見ている。

ミルフィーは調子のりすぎだとアリスを小突いていた。


「さていこうか。」


マキナ達は門を出ると3~4km先に森が見えた。

そしてそこまで続く街道。

森を引き裂き街道が通っていることが分かる。


恐らく建設中に地竜が見つかり、延期になってたのだろう。


「この道誰も居ないね。」

「それは、この先行き止まりだからよ。」

「仮に何か合っても助けはないということですね。」

「でもマキナがいるからねー。」


アリスの一言で皆が納得してしまう。

この一言にマキナはいい加減慣れていた。


「ふははは!もっといってもいいのよ!」

「調子のらない!」

「いて!」


そんなマキナ達は森の入口まで来ていた。

ディスプレイで時刻を確認すると、11時57分と表示されている。


「そろそろお昼だよー。」

「やっぱり?私の腹時計がそろそろ昼食だと訴えかけてきてたんだ。」

「どんな腹時計よ…。」

「アリスさん凄いです。」


マキナは4次元からウルスの冷凍肉を取り出すとアリスが使う分だけ切り分けていく。


そしてそこにミルフィーの炎の魔法で解凍、焼きを入れる。


「魔法って便利だなー。」

「…私は火種じゃないのだけど。」


こんがりと焼きあがったウルスの肉は口の中でとろけるような感触だった。

アリスは今にも昇天しそうな顔をしながら食べている。


「これから戦うんだからしっかり食べないとね。」

「はい!が、がんばります!」

「そんなに力まなくてもいいのよ。いつも通り戦えばいいの。」

「は、はい。」

「美味しいわ…このお肉…」


そしてマキナ達は再び歩き始める。

索敵はいつも通りマキナが行うことになっていた。


「うーん。もっと奥にいるのかな?」

「どうかしらね。反応は合ったかしら?」

「小さい反応がちらほら…。たぶん小動物か普通の魔物だと思う。」

「そう。みんな一応武器は抜いておきなさい。」


アリスがグラディウスを、ミルフィーが弓を、ネザリアは杖を抜いた。

そんなマキナは素手である。


「前方から3対の反応。タブン地竜じゃないと思うよ。」

「私は木の上から援護するわ。<ウィンド>」


風を利用し木の上まで一瞬にして登るミルフィー。

杖に魔力を込め、いつでも発動できるようにするネザリア。

グラディウスを構えるアリス。


「距離20気づかれてるよ。接触まで3…2…1…0!」


飛び出してきたのはオオガルフだった。

以前王都まで向かっている時に討伐した魔物だ。


ガルフが一番先頭に居たマキナに襲いかかるがすんなり受け流され、アリスの方へと流れた。


「えぇ!?」

「あ」


アリスはオオガルフの噛み付きを剣で抑えると強化された脚力で弱点である腹を蹴りあげた。


「キャウン」


そこにミルフィーの矢が突き刺さった。

腹に一発。矢は貫通しているようだ。


しかしオオガルフの意思は折れていないようだ。

オオガルフは立ち上がろうとしたところにアリスのグラディウスが振り下ろされ絶命した。


最後の1匹はネザリアへ向かっていっている。


「<風を纏いた炎よ。我が敵を貫く螺旋の槍とかせ!ファイア・ランス!>」


既に飛びかかろうとしていたオオガルフは避けることが出来ずにファイア・ランスの直撃を腹で受けてしまった。

オオガルフはそのまま木にたたきつけられた。

自身の毛に炎が引火し、火だるま状態になっている。


最後の1匹はというと…


「ほーらほらこっちこっち。」

「ガウガウ!」


マキナに遊ばれていた。


噛み付こうにも流され、前に居たかと思えば後ろに居たり、オオガルフには何が起こっているのかがさっぱりわからなかった。


「マキナー!何やってんの!」

「んぇ?あ、おわったの?」


マキナが横を向いた隙にオオガルフはこれでもかという力で飛びかかった。

しかし鼻頭を片手で押さえつけられ地面へ落下してしまった。


「終わらせるから待っててね。」


マキナは地面に落下したオオガルフを横に向けると心臓の位置に手を当てた。

以前行った心臓への直接攻撃。


オオガルフの心臓に衝撃魔術が行使された途端オオガルフが苦しみ始めた。

数秒苦しんだ後オオガルフは動かなくなった。

心臓震盪というやつだ。強い衝撃を加えると突然心臓が止まってしまう。


昔忍者が使っていたと言われるものらしい。


「はぁーい、ただいま。」

「時間かけすぎよ。」

「反省はしているが後悔はしていない!…早く離れないと血の匂いが魔物を呼ぶよ?」

「…そうね。言いたいことは沢山あるけど。」



その後マキナのレーダーを頼りに探索を行ったがなかなか見つからなかった。

現在は17時14分である。


「見つからないね。」

「そうね。」

「そろそろ夕食の時間な気がする!」

「アリスさんの腹時計ですか?」

「私の腹時計は正確なのだー!」

「それじゃ、このへんでキャンプにしますか。」


キャンプが決まったマキナ達はその場で腰を下ろした。

マキナが残り少ないウルスの肉をアリスに手渡すとあっという間にさばいていった。


「いつも思うけど、あのお肉凍ってるよね…?」


謎である。


後一食分と思われるウルスの肉を回収すると火種を用意した。

今回は樹の枝を少し折って薪代わりとした。

点火はミルフィーの炎魔法だ。


マキナは食べなくても平気だが、美味しいといわれるウルスの肉を食べないわけがない。


「おいしいわぁ・・・おいしいわぁ・・・」

「アリスがまた昇天しかけてるよ。」

「放っておきなさい。」

「アリスさん…。」


そんな食事も終わり皆寝る準備を始めた。


「今回も私が担当するよ!」

「毎回ありがとうね。」

「さすがマキナ!」

「それじゃおやすみ。みんな。」

「おやすみ。」

「おやすみなさい。」

「マキナさん、おやすみなさい。」


「(よし。この間と同じ設定…ちょい早めでスリープへ移行。)」


その夜マキナ達に接近してくる者は何も居なかった。






クォーツィギルド。

相変わらず冒険者が騒いでいる中駆け込んでくる冒険者が居た。

周り冒険者は気にもとめなかったがその男が話した内容に耳を傾けた。


「た、大変だ!地竜が5体も北西の森にいたんだ!」

「北西の森…地竜…あ。」


受付の人は思い出したかのように手元にある書類をめくっていった。

そこには朝受注された北西の森地竜討伐の依頼があった。


「ちょっと失礼します。すぐ戻ります。」


受付の人はギルド長の部屋へと向かっていった。






「ん。朝かぁ。」


マキナは横を見るとアリスが起きだして剣の素振りをしていた。


「おはよーありすー。」


アリスは一旦素振りを止め、マキナの方に向き直した。


「おはようマキナ。」


それが引き金になったのかネザリアもミルフィーも起きだした。


「あら、二人共おはよー。」

「おはようございましゅ…」

「おはよう。」


4人とも起きたということで早速探索を始めることとした。

マキナは昨日見つけられなかったことで通常レーダーより広域スキャンを使うことに決めていた。


「広域スキャン開始。」


マキナのディスプレイに沢山の点が表示されていく。その一角に固まった白い点が合った。

しかもその周りには一切の魔物や動物が居ないのだ。


「みーつけた。」

「地竜見つけた?」

「うん。明らか怪しいの見つけたよ。」

「それじゃ、案内頼めるかしら。」

「おっけー」


マキナが先頭を歩きはじめた。


スキャン結果から今いる位置とさほど遠くない事がわかった。

それでもレーダーにかからないと言う事は200メートル以上離れていることになる。


数十分歩いた所で辺り一帯から白い点が消え始めた。


「そろそろだと思うから各自準備を始めて。」


更に数分歩くと

レーダーの端に白い点が映った。

その方向に進むと大きな魔物が5匹居た。


「見てあれ。」

「依頼書では1匹じゃなかったっけ。」


マキナはミルフィーに依頼書を手渡した。


「確かに1匹と書いてあるわ。」

「でも5匹居るのはなんででしょうか。」

「想定外もあるってことだね。」


魔物は休んでいるのか、しばらくしたら動き出してしまいそうだ。


この一帯は開発のためか木が一本も生えていない。

戦うにはちょうどいい場所である。


「私が2体相手するから各自1体ずつお願い。」

「了解さー」

「わかったわ。」

「わかりました!」

「それじゃ、行くよ…GO!」


GOの意味がわからなくても意味は伝わっていたようだ。

マキナの合図で4人が飛び出した。


それに気づいた地竜達。


「む、人間か!」

「人間はコろセ!」


地竜は一斉に襲いかかってきた。


「2体任せて!」


マキナは思いっきり踏み込むと、2体の地竜を両腕で巻き込むとそのまま吹き飛ばした。


「おっもいなぁ。関節持ってかれるところだったよ。」


吹き飛んだ地竜は怒りに燃えていた。


「人間ごときが舐めんじゃねぇ!」

「フン。脆弱な人間ガヤッテくれるナ」

「(なんだろうあの喋り方あの時のアイツに似てる…。)」


“ATS 魔剣ノワール”


マキナの手にノワールが現れた。

それを握りしめ地竜に向かって走りだした。


「ふん。そんなもので俺たちを切り裂こうなんて―」

「斬り裂く?こうするんだよ!」


マキナは魔剣に魔力を流すと相手の鱗に剣をぶつけた。

案の定斬り裂くことは出来なかったが、衝撃魔術により鱗が砕け再び吹き飛んだのであった。


「クソ。ニンゲンガ!<母なる大地よ!その大いなる加護を持って我が前に立ちふさがる敵を穿け!ミッド・アース・ニードル!>」


地竜が中級魔法を唱えると、普通のアース・ニードルとは比べ物にならないスピードで槍が地面から生えてきた。


「こんなもの!」


マキナは体の機能を生かし、空中へジャンプした。


「馬鹿ガ!」


地竜の口から岩石が吐き出された。

俗にいうドラゴンブレスと言うやつだろうか。


魔力を込めたノワールでそれを一太刀にするマキナ。


「甘い甘い!」


そのまま標的に向けて自然落下していく。


「せいっ!」


魔力、運動エネルギーの増加により威力の上がった剣撃は地竜の片腕をいともたやすく切断し、衝撃魔術がそのまま吹き飛ばした。


「グガアアァア」


地竜は腕と羽の一部を切断されそれぞれバラバラの場所へと吹き飛んでいった。


「どうかな?」

(かしら)!」


どうやらあの地竜は群れのリーダーだったようだ。


「良くもやってくれたな人間!」


地竜は土属性のドラゴンブレスを吐き出してくる。

1発や2発ではない。連続して吐き出して来るのだ。


「ちょっと、邪魔しないで。」


マキナは慌てずにモードを切り替えた。


“視覚装置ハイスピードモード”

“駆動プロファイル変更:近接戦闘モード”


飛んでくる一つ一つがまるでゆっくりになったかのような感覚になる。

マキナはそれを交わしながら地竜へ向かっていく。


魔法を避け、こちらに向かってくるマキナに驚いた地竜は急いで魔法を唱えだした。


「来るな!来るな!<母なる大地よ!その大いなる加護を持って我が前に立ちふさがる敵を穿け!ミッド・アース・ニードル!>」


魔法さえも遅く感じるマキナはディスプレイに映るエネルギー反応を基に、魔法の土槍が生える前に交わし、魔法の中を歩いてきた。


「こ、こいつ本当に人間か!?」

「さて、どうでしょうか。」


ついに剣の合間に入ったマキナは魔力を今まで以上に流し、首元めがけて横に力強く一閃した。


首元にノワールが当たった瞬間、衝撃魔術が発動し首の骨、鱗を粉砕し地竜の首は千切れながら吹き飛んでいった。


マキナは血のシャワーを浴びることとなってしまった。


「ふぅ。後はアイツだけだね。」


血が滴るマキナは体の一部を切断した地竜に向かっていく。

しかし、なにか様子がおかしいようだ。



“警告 Unknown 1体確認”



「え?また!?」


「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」


瞬く間に斬り落としたはずの腕や翼が再生し、体が変異していく。

そしてそのままマキナへツッコんできたのだ。


マキナはそれを抑えこもうと地竜の頭を押さえたが、あまりの力の強さに吹き飛ばされてしまった。


「(…この世界のUnknownは厄介…。)」


マキナは空中で姿勢を正しながら着地した。


“警告 右肩関節が外れています。”


マキナはその警告に従い関節を元の位置に戻した。


“検査中…ダメージ12%”

“修復開始…完了”


「ふむ。力比べでは勝てなさそうかな?」

「キシャアアアア」

「うん。Unknown独特の鳴き声。あれ使うかな。」


再びUnknown地竜はマキナに向けて走りだした。



「コードDEM オーバードライブ!」




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