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ごー とぅー いせかーい

施設は101年と言う時間の流れにより老朽化し、壁には亀裂が入り、天井は崩れ、草が生えているところもあった。

途中施設の道が天井からの瓦礫で崩落していたがマキナの腕力は片腕5トンである。

小石を持つように瓦礫を退け発信源へと歩いて行く。


10分ぐらいだろうか、施設内の瓦礫をどかしながら歩いていると開けた場所に出た。

そこは施設のロビーだったと思われる椅子の残骸や受付らしき物、ガラス片が散乱していた。


干渉してくる魔力はどんどん強くなっていく。

マキナの瞳には各パラメータが表示されているのだが、そのパラメータはロビーの中心に行けば行くほど高くなっていく。


「ここから魔力干渉が発生しているのね。でも何もないようだけど…」


一見何もないように見えるが数値上ここに何かしらの干渉物があるはずなのだ。

しかし、そこには何も無いし何も居ない。

ではなぜこのような干渉が起きているのかわからなかった。


「もう一度干渉が起きる時まで待って見ればわかるかも? よし!それで行こう!」


お気楽な考えからマキナは椅子の瓦礫の上に腰を下ろした。

天井のガラスは全て割れておりそこからは太陽の直射日光が降り注いでいた。

マキナに搭載されている感覚機能が太陽からの温かみを感じそれを伝達する。

お昼寝をしたいという衝動に駆られながらもロビーの中心を静かに見据えていた。


「何も起きない…。周期的にそろそろなんだけどなぁ。」


座りながら手悪さを始めた頃異変が起きた。

ロビーの中心の空間が歪み始めたのだ。

そこからは例の魔力干渉が起きていた。

パラメータの数値は跳ね上がり、自然発生にはおかしいほどの魔力を示している。

自然にこうなるとは考えにくい。

マキナが考え始めると警告が表示された。


“外部からの魔力的干渉有り、空間跳躍モジュールに異常発生。”

“警告 空間跳躍モジュールに異常発生。早急に空間跳躍システムを停止してください。”


そこには魔力干渉と空間跳躍モジュールの警告が出ていた。

その時マキナは慌てていた。


「あわわ! えっと!えっと!空間跳躍システム停止!」

“空間跳躍システムを停止します…失敗”

“警告 空間跳躍モジュールに異常発生。早急に空間跳躍システムを停止してください。”

「なんでなのよおおおおぉぉぉ!停止しなさい!いいから停止!」

“空間跳躍システムを停止します…失敗”

“空間跳躍システムを停止します…失敗”

“警告 空間跳躍モジュールに異常発生。早急に空間跳躍システムを停止してください。”

「壊れてんじゃないのこれ!……私壊れてない!」


マキナは一人慌てて一人で突っ込んでいた。


「そうだ!モジュールを切り離してしまえばだいじょ…」

“空間跳躍先セット完了。転移開始します。”


「え?」


その言葉を最後に干渉源の魔力とマキナの魔力により空間跳躍が行使され、過剰すぎる魔力が衝撃波として変換され施設を完璧に崩壊させたのであった。

理論上空間跳躍は行使した瞬間転移場所に出るはずなのだが、マキナは現在魔力の淡い光しかない空間を猛スピードで移動していることが計器類から推測できた。

しかし推測できるのはそこまでであり、他の計器は何も反応を示さなかった。


「ここどこだろう。猛スピードで移動してるのはわかるんだけど、何もない。」

“空間跳躍システムオフライン”

“再起動中…”

「え?」

“再起動完了。空間跳躍システムオンライン”

“転移先位置座標確認…X:æ–‡å—化ã ,Y:ャ・\ケヌカ{ト7ム,Z:゜9(ヒァM。3'に転移されます。”


その時のマキナの表情は誰が見ても 間抜け面 としか言えないだろう。

空間跳躍システムの座標データは文字化けを起こし、もはやどこに出るのかさっぱりわからないのだ。

マキナの口から出たのはただ一言。


「は?」


だけである。

表示と共に魔力の淡い光しかなかった空間に一筋の光が現れた。

マキナは底に吸い込まれるかのように落ちていく。

空間に開いた穴からは木々が生い茂る森が見える。


「あー綺麗な緑だー森林浴かー…。」


思考が麻痺しているマキナはそんなことを言いながら徐々に近づいてくる空間の穴の向こう側を見ていた。

ふっとマキナは思った。

木が上から見える→この謎空間からでたら確実に落下し落ちる。→現在時速214km→おぉ、マキナよ。死んでしまうとは情けない。


「そんなのいやああぁぁぁ!」

“ATS -フォトンウィング-”


マキナの背中に光を放つ半透明な羽が展開され速度が落ち始めた。

時速180kmまで減速したあたりからだろうか。

空間の穴からマキナは外へ飛び出した。


「正面にシールド展開。出力5%」


マキナがそう言うと目の前に一瞬だが光が発生した。

正面に不可視のシールドが形成されそれにより減速スピードが大幅に上がっていく。

なぜこれをあの空間で使わなかったのかと言えば、”空気がないから”である。

これは空気抵抗を利用し減速するため何もない所では使えないのである。


計器から取得されたデータが瞳に映し出される。

“地上まで残り200m 速度40m/s”

“地上まで残り5秒”


計器から取得されたデータから地上までの予測の時間が算出され、速度40m/sだと5秒後に衝突してしまうことがわかったが速度自体は落ちている。


「速度は落としきれないけど、このまま行けば無事に着地できる!」


“地上まで残り50m 速度27m/s”

“地上まで残り2秒”


「身体強化 出力10%」


マキナのたとえ出力10%でも使われる魔力量が多いので一般の兵士よりかなり強い身体強化がかかるのだ。

これは着地時に人工筋肉の損傷を防ぐためである。

損傷したところで装甲と同じようにできているため魔力を修復用に流せば直るのである。


「着地…っ!」


ドシン。

そんな音が”鳥がさえずる”森へ広がった。


「ふぅ。各部チェック。フォトンウィング解除」

“チェック開始…異常なし”

「異常なしっと。ここどこだろう…。」


まず、マキナが不思議に思ったことは生物が居ること。


「どういう事? 地球は放射能汚染や惑星級魔術の発動で生き物はすべて居なくなったはずなのに…広域スキャン開始。」


マキナのスキャンにより30km内に居る生物が表示された。

そこに表示されたのは点々と存在する白色の点。

その中に一部赤色と青色の点があった。


「人!?人がいる!それに襲われてる!すぐ行かないと!」


スキャン結果により対象とはそんなに離れていない位置に居ることがわかっている。

マキナは着地時に掛けた身体強化を維持し走りだした。

もともとスペックが高い体だけ合って移動速度は車並に早いのだ。

30秒ほどだろうか、走り続けたマキナは一台の馬車とそれを守るように囲んでいる剣を持った甲冑の人たちとそれに群がる小さな子供みたいな何かを見つけた。


「え?何アレ。Unknownじゃないの?」

目の前に居る生物は確実に人間であり、もう一つはUnknownではない。

マキナに登録されているデータにはあのような生き物は居ない。

それに装備が古臭いのである。

現代戦ではあのような甲冑など動きのじゃまになり格好の的だからだ。


その時一人の女性の動きが止まった。

マキナの瞳には部分的にズームされた光景が映り込み剣が死体に刺さり動きが止まっている様子が見て取れた。


「あぶない! ATS -高周波ブレード-!」


マキナは弾丸のように茂みから飛び出した。



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