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やったねマキナちゃん!魔法が使えるよ!



マキナは行きよりもゆっくりしたスピードで移動していた。

ゆっくりとは言っても、車並のスピードで移動している。

具体的に言えば182kmだ。


クォーツィへと繋がる道に避難民の列を見つけた。


マキナはその戦闘にネザリアが居ることを確認すると列の上を通り過ぎてネザリアの近くへ降り立った。


「ただいまよー。」

「マキナさん!!」


ネザリアはマキナに走り寄ると手を掴んだ。


「お父様は?皆は無事ですか!?」

「う、うん。大丈夫だよ。」

「よかったぁ…。うぅ…。」


ネザリアは安堵感からか泣きだしてしまった。

マキナは突然泣きだしたネザリアにオロオロしているとネザリアお付きの侍女が駆け寄ってきた。


ここは任せるようにというと、少し離れた場所まで移動していった。


「うーん?私なにか悪いこと言っちゃった?」


1人悩むマキナであった。


国民は侵略の防衛が終わったということで、クォーツィに避難する国民と王都へ戻る国民の二組で別れることとなった。


王都組は一箇所に集まっていた。


「みんな集まったー?」

マキナは確認のために声を上げた。

レーダーにはきちんと二手にわかれている表示が映っている。

「それじゃ行くよ~」

“空間跳躍起動”

“目標物確認”

“跳躍先確保完了”

“空間跳躍範囲直径150m…完了”

“魔導炉出力上昇”

“空間跳躍開始”


国民は一瞬景色が振れたと思った次の瞬間には王都のすぐ外に居た。

何が起きたかわからない国民や騎士達、冒険者たち。


夕暮れ時になり唖然とし王都に戻ってきた国民はいそいそと生活の準備や仕事の準備を始めた。


マキナ達はネザリアと侍女を連れて国王の元へと向かっていた。

警備の者はおらず、皆疲れきっているようだ。


「だっれも居ないね~。」

「マキナは知っているのでしょう?」

「まあ…ね。」


ミルフィーにマキナが答えた。



いくら治癒魔法で回復させたと言えども、疲労までは回復できないのだ。

それに仲間の過半数がやられたこともあり、一部の騎士には精神的ダメージも受けているだろう。


おそらく、そうなってしまった騎士は戦場へは出ることは出来ないだろう。

トラウマが再発して戦えないでは困るのだ。


会見の間まで到着すると疲れきった表情の騎士が居た。

マキナを見るとその表情は一気に代わり、緊張した面持ちとなっている。


「こ、国王様は奥にいらっしゃいます!お入りください!」

「あえて何も聞かないわ。」

「そうだね~。」

「え?え?」


アリスとミルフィーはいつも通りの事なので聞かないことにしたが、ネザリアにとっては突然の変わり様に困惑をしていた。


会見の間の扉が開かれ、騎士と同じく疲労気味の国王とレオン達近衛騎士団の姿が有った。


扉が開かれたことにより近衛騎士団と国王の目線がマキナたちに向かう。


「おぉ。誰かと思ったら救世主どのじゃないか。」

「あのぅ…その呼び方やめてください…。」


マキナはそう言っているが顔はにやけている。説得力の欠片もない。


「お父様!レオンさん!」


ネザリアはそう言い放つと二人の元へ駆け寄っていった。

あまりにも気持ちがそちらに行き過ぎたため、つまずいて転んでしまった。


レッドカーペットの上でズサーと滑るような体制で転んだネザリア。

感動のシーンが台無しになり、皆呆然としている。


ネザリアが起き上がり再度走りはじめた。


「レオンの馬鹿あああ!」

「え?俺?」


入口付近ではアリスとミルフィーがニヤニヤしていた。

「これはこれは…」

「惚れてるわね。」


マキナには何を言っているのかわからず首をかしげていた。

ついでに…マキナは恋愛などには経験がなく、超鈍感であり何もわからないのである。

軍事教育()で育ってきたため、娯楽などは最低限しか知らない。


「うん??」



近衛騎士団のリンネからは黒いオーラがまた噴出していた。

「次はあの女から王女様…勝てない…勝てない…勝てない…勝てない…勝てない…ちくしょおおおお!」

「リンネちゃん聞こえちゃうよ!」

「勝てない…勝てない…勝てない…」


こんな時でも変わらない近衛騎士団。


王女と国王のお話(王女の説教)が終わり、マキナへ話が移った。

ネザリアは言いたいことを全て言ったと言う表情で満面の笑みを浮かべているが、国王は愛すべき娘からの説教によって涙目だ。

これを他の誰かに見られたら国王の威厳が塵と化しそうだ。


「ごほん。えー。救世主殿には何とお礼を言ったらよいか。」

「やめてくださいよぅ~恥ずかしいですぅ~」

マキナはくねくねしている。

「この度は我が王国の危機を救って下さった。何か礼をしたい。」

「いえいえいえいえいえ!い、いりませんよ!」

いつまでもくねくねしているマキナに対してミルフィーが力強く尻を叩いた。

「ぁひん!…えっと。別にいいです。約束でしたから。」

「うーむ。なら皆で食事会で…」

「それいいですね!」


アリスが国王が言い切る前に口を挟んだ。

もちろん王族の言葉を遮ることは不敬罪だが、マキナの仲間である以上そういう様な扱いには出来ない。


もし反発されるならば王城が吹き飛びかねない。


「では食事会を開こう。明日の夜で良いか?」

「は」

「はい!よろこんで!」


今度はマキナの言葉を遮り、アリスが返事をした。

マキナは国王へ意思の疎通として目を見た。

国王も目を見合わせ、2人はため息を付いていた。


その後部屋から退出した3人は客室へ戻っていた。


アリスはミルフィーに説教を食らっている最中だ。

「大体あなたは!」

「ごめんなしゃい。もうしませぇん!」

アリスは半べそ状態だ。


マキナはベッドで横になりながら自分をチェックしていた。


戦場へ向かう途中に表示されたプロテクト解除メッセージ。

「(1って事は多分まだあるんだろうなぁ…。)」

プロテクトを解除しようにも権限を受け付けず、アクセスができない。

プロテクトがマキナの人格に接続されていることしかわからなかった。

「(まぁ…どうでもいいかなぁ…)」


マキナはそう言うと目をつぶった。


【あれ?私寝たはずじゃ…】

“コードDEM解除1で開放されるシステムについて解説します”

【ふえ?】

“博士が独自に進めた異世界観測により魔術とは異なる形式で発動される物が見つかりました。”

【魔法のことか~。っで、それがどうしたの?】

“第一解放では魔法を起こすシステムが解禁されます。”

【おぉ!?これで使えるんだね!】

“はい。魔力をシールドを展開する要領で魔術陣を描き、特定の方向性をもたせた魔力に変換し発現させます。”

【時間は?】

“約0.5秒で完了します。”

【で、どんなのが使えるの!】

“博士はサンプルのみを用意しております。他は異世界で作れば良いと言う考えでした。”

【ケチ。】

“説明は以上です。次の解放まで私はスタンバイに移行します。”



マキナとAIの会話が終わり、こんどこそマキナも眠りに入った。


皆がまだ寝ている頃にマキナは目が覚めた。

アリスは何か寝言を言っているようだ。


「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごはんください。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」

「何これ怖い。」


マキナは訓練場へ移動すると夢のなかで聞いたシステムをテストして見ることにした。


「むむむ。サンプルはこれか!」


マキナが手を前に出すと如何にも魔術陣……と、言えるのだろうか角ばったり、プログラムが書かれたり幾学的な模様が書かれたりしている。


マニュアルによればこれは火の玉を飛ばす魔術陣らしい。

試しに魔力を送ってみると魔法陣が青から赤色に光り出し、瞬時に火の玉が発射された。


「おお!魔法だ!魔法だ!」


マキナは喜びながらもマルチタスクを用いてマニュアルを読んでいる。

どうやら半自動的に魔術陣は創られるようだ。

属性、形、効果を設定すれば良いらしい。


手動で設計すると効率が良くなる場合があるらしい。

このシステムに関してはマキナ自身がメンテナンスをする必要があるようだ。


それともう一つに、発動キーを設定できるらしい。


「サンプル魔術陣展開、発動キー設定。ファイア・ボール」

“サンプル魔法陣に発動キーを設定しました。”


マキナはマニュアルに書いてあったとおりに発動キーを設定し再度手を壁に向けると発動キーを発した

「ファイア・ボール!」


手の前に一瞬魔術陣が展開されそこからファイア・ボールが発現した。


「おー!」

マキナは子供のように騒いでいる。

更にシステムを調べていくと、自由度が高いことが判明した。

発動キーを組み合わせ、魔術陣を合成展開させることが出来るらしいのだ。

しかし、法則があるためにそれに沿って発現させなければならない。


発動キー、変換キー、発動キーと交互に続けなければならない。


「うーん。面白そうだけど、めんどくさい!」

マキナはややこしい事や難しい事は嫌いなのだ。


だから軍事教育()でも指揮や運用については馬の耳に念仏だったのだ。


マキナが色々と魔術陣を作り、試し撃ちしているとディスプレイには07:56と出ていた。

「そろそろ起きるかな?もどろーっと。」


マキナは訓練場を後にした。


この後訓練場の有様をみた騎士がレオンに怒鳴られたのは言うまでもない。


マキナが客室に戻るとアリスは朝食を来るのを既に待機していた。

「おっはよー!」

「おはよー!」

「おはよう。マキナ。」


挨拶をする3人。アリスは若干楽しそうだ。

朝食で楽しそうなのかと思っていたがどうやら夜のイベントのことらしい。


ミルフィーにあくまでもマキナが主役だと言われているが聞いていないようだ。


その時部屋の扉がノックされた。

「お食事をお持ちに…」

「朝食うううううううううううう!!」


アリスが叫んだことにより、使用人はびっくりしていた。


「こら!」

「いてっ」


アリスはミルフィーに拳骨を貰い、外と中から何か言われているようだ

「少しは静かにしなさい!」

【うるさいぞ!】

「ご、ごめんなさい。」


今日の朝食は少し少ないようだ。

先日カーディとの戦闘で兵を失い、騎士の家族へ弔慰金を出しているために食料に響いているのだろう。


しかし、そんな中で食事会など大丈夫なのかと心配するマキナ。

マキナでもこのくらいはわかるのだ。


考えながら朝食を食べ終えたマキナ達は何をするかを決めるようだ。


「今日はどうしようか?」

「私はフェンリルの制御力を高めるよ!」

「私は魔法の練習でもしようかしら。」

「了解!ミルフィー一緒に良いかな?」

「いいけど。マキナは魔法使えないんじゃないのかしら?」

「フフフ…。私をなめない方がいい。」

「そう。それじゃ訓練場いきましょう。」

「なにか突っ込んでくれても…。」

マキナ達は訓練場へ移動を始めた。


そこには昨日のことも有ったばかりなのに既に訓練に励んでいる騎士がいた。

いつもより気合が入っているように見える。


そしていつもの場所にはレオン率いる近衛騎士団が居た。


マキナは魔法の訓練場所をレオンに聞くとミルフィーと一緒に移動を始めた。


途中げっそりとしている騎士が居たが何か有ったのだろうか。


訓練場の外に出ると如何にも魔法使いとアピールしている人たちが居た。

一部がマキナに気づくとそれがドンドンと伝達していく。

「あー。気にしないで!」

マキナはそういうと開いている場所へミルフィーと移動していった。


「さて。マキナはどうやって魔法を使うのかしら?」

「こうだよ!ファイア・ボール!」


マキナが鉄で補強されている壁に手を向けると一瞬魔術陣が浮かび上がり、ファイア・ボールが発言し、目標に向かって飛来した。

ファイア・ボールは壁に当たると魔法と同じように爆発していた。


「マキナ…これファイア・ボールじゃないの。どうしていきなり?」

「えっと、前私倒れたでしょ?その時にインストールされたシステムにあったっぽい。」

「ならこれから戦術も広がるわね。」

「うん!」

マキナとミルフィーは魔法の練習を始めた。

「うーん。やっぱりロマンよねぇ…」

マキナは合成するために2つの魔法と発動キーを組み合わせていった。

「えっと。属性は炎と風で…形は槍で…効果は貫通で良いかな?」

マキナは新しく魔法を設定して行く。が、大事なことを忘れているのに気が付かなかった。

「ファイア・ランス魔術陣展開、発動キー設定。ファイア・ランス」

“ファイア・ランス魔術陣に発動キーを設定しました。”


「よーし!ファイア・ランス!」


マキナがそう唱えた途端魔術陣がグニャリと変形を起こした。

「あ、あれ?」

その途端手のひらで魔力が爆発した。


「う、うわ!?」

マキナは突然のことで尻餅をついてしまった。

近すぎる爆発音に左右に居たミルフィーや魔法使いがマキナを見ている。


マキナは咄嗟に突き出していた左手を隠した。


「ちょっと?今のどうしたの?大丈夫かしら?」

「だ、大丈夫だよ!アハハ!」

「…ならいいけど。左手。」

「へ?」


ミルフィーはマキナの左手が服の中に入っているのに気がついた。

「あ、こ、これはですね…。」

「見せなさい。」

「いや…」

「見せなさい。」

「…はい。」


マキナはミルフィーにだけ見えるように左手を出した。


マキナの左手の手のひらは皮膚が吹き飛び普段見えない装甲板が見えていた。

ミルフィーもこれには驚いていた。


「ちょっと!大丈夫じゃないの!<彼の者に癒しを。ヒール>」

ミルフィーの魔法により、人工細胞であるが細胞が活性化し治癒されていく。

1分ほどで治癒が完了したようだ。

「あ、ありがとう。ミルフィー。」

「まったく。もし人間だったらどうなっていたことやら…。気をつけなさい!」

「は、はい!」


マキナは立ち上がると何故爆発したのかを探るためにファイア・ランスの魔術陣を調べ始めた。

マニュアルと並行して調べていくうちに変換キーを忘れていた事に気づいた。


炎の方向性を持った魔力と風の方向性を持った魔力が反発し合い、爆発してしまったのだ。その異なる方向性を変換し、1つの方向性として出力するのが変換キーだ。


マキナは変換キーを作成し、ファイア・ランスへ組み込んだ。

「よし!今度こそ大丈夫!」


マキナは的に向かって魔法名を唱えた。

「ファイア・ランス!」

マキナの手に一本の炎の槍が生成され風の魔法により回転が起きている。

手を振るうと炎の槍は壁に向かって直進していった。

ファイア・ボールより早く、貫通力のあるファイア・ランスは鉄で補強された壁を一部貫通し、消え去った。


「だいっせいこう!」

「マキナ!今のどうやったの!?」


ミルフィーがマキナに食いついてきた。

突然のことにマキナは驚いていた。


「え?ふ、普通に2属性の魔力を魔法に変換しただけだけど…。」

「それを詳しく!」


マキナはなるべくわかりやすく説明している。

周りの魔法使い達もその理論を盗み聞きしているようだ。


ミルフィーいわく、複数属性の魔法を使おうとすると暴発するため誰も使えないらしい。

今のマキナの説明で魔法に詳しい魔法使いは何故気が付かなかったのかっと盲点を指摘されたようになっていた。


「ためしてみるわ…。詠唱は…うん。決めた!<風を纏いた炎よ。我が敵を貫く螺旋の槍とかせ!ファイア・ランス!>」

ミルフィーが詠唱を完了させると少し歪だが、風でコーティングされた炎のやりが現れた。

「成功だわ!」

ミルフィーはそれを壁に向かって放った。マキナほどでは無いが壁を少し削る程度の威力を持っていた。


マキナの何気ない講座が後に魔法革命を起こすのはまだ後の話である。


ミルフィーの成功を見た魔法使い達はこぞってファイア・ランスの練習を始めていた。


そんな中マキナは新たに魔法を開発していた。

「うーん。もっとロマンを…。」

考えこむマキナ。しかし、マキナが考えこむとろくなことが起きないのは今までからの経験上100%だ。

「よし!全部混ぜよう!」

安直な考えにやはり至ったマキナは魔術陣を作り始めた。

ロマンを追求するために魔術陣から自己開発である。


すべての属性を1つの魔術陣に内包し、変換キーを真ん中へ配置する。

魔力の制御式、方向性を持たせる式、発現の式を書き込んでいく。


出来上がった魔術陣はマキナの身長と同じほど大きく、複雑な文様を描き出していた。

既に陣の形をしていないのである。


「よーし。多分大丈夫…いける!」


「カタストロフィー魔術陣展開、

第一発動キー設定。エクス。

第二発動キー設定。炎よ。

第三発動キー設定。風よ。

第四発動キー設定。土よ。

第五発動キー設定。水よ。

第六発動キー設定。雷よ。

第七発動キー設定。光よ。

第八発動キー設定。闇よ。

第九発動キー設定。発現せよ。」

“カタストロフィー魔法陣に発動キーを設定しました。”


オリジナル魔術陣は複数の発動キーを設定する事にした。

マキナいわくロマンだそうだ。


「フフフ…。いくわ…。」


マキナは一応壁の後ろにシールドを展開した。


「エクス!炎よ!風よ!土よ!水よ!雷よ!光よ!闇よ!発現せよ!カタストロフィー!」


ミルフィーはマキナの方から詠唱が聞こえると、マキナの方へ目を向けていた。

そこにはなんとも言えない形の魔術陣とすべての属性を指定しているマキナの姿が合った。


そして魔法名を発すると、魔術陣の前に各属性の光が雷のように迸り収縮を始めた。


その光は次第に大きさを増し、空気を震わせる。

訓練場に居た魔法使いは全員マキナの方へ目を向けていた。


光が集まりきった時、混沌とした色の魔法が放たれた。

それは補強された壁など紙の如く貫き、マキナの展開した保険のシールドで止まったのだ。


マキナは魔法というより魔砲と言う言葉が使った瞬間に思い浮かんだのだった。


「…。よし!魔砲カタストロフィーと名付けよう!」

訓練場に居た魔法使い達はマキナの高威力魔砲に目を奪われ唖然としていた。

それに気がついたマキナは少量の魔力で電撃を1人づつ当てていったのだった。



「全く…壁を消し炭にする馬鹿がどこにいるのよ!」

「ご、ごめんなさい。」



ついでにマキナの真似をしようとした魔法使いは、キャパシティオーバーにより魔力を暴走させてしまい城の一部を吹き飛ばした。


時は夕暮れ。

一日中新しい魔砲の訓練をしていた魔法使いやミルフィーは疲れきっていた。

全員がファイア・ランスを取得した。中にはその応用をしている魔法使いも居たようだ。


「ミルフィー立てる?」

「…ごめん。肩貸してくれるかしら。」

「ふふふ。」


ミルフィーはマキナに付き添われて客室へと戻っていくのだった。


客室へ帰る途中に使用人に話しかけられた。

「あ、救世主様!お探ししました!ささ、こちらへ!」


使用人に手を引かれていくマキナ。


「そういえば…食事会なんて合ったわね。」

ミルフィーがそう呟いた。

「あー。忘れてた。アリスは既に居そうだよね。」

「そうね…。絶対いるわ。」

「遅い!って言ってきそう。」


使用人に手を引かれながら食堂へと進むマキナ達。


「着きました!こちらです。」

使用人が扉を開けると、豪華な服を着た人物や、騎士たちが大ホールで騒いでいた。

「おぉ?騎士が少ないと思ったら皆でやっていたのね!」

「ミルフィー!マキナー!遅い!」


マキナとミルフィーは予想通りだと、苦笑いしていた。


やがてマキナが来たことが国王に伝わると国王の演説が始まった。

国王も早く食べたいらしく、手短に終わらせていた。


アリスは次々に料理を胃袋へ入れていく。

アリスは味わって食べれているのだろうか…。


マキナはゆっくりと出されている食べ物を口に運んでいると色々な人から話しかけられた。

貴族、使用人、騎士、国王。


「ゆっくり食べ物が食べられない…。」

マキナが肉を食べようとすると話しかけてくる人物がいた。

口を開けて肉を放り込もうとしているマキナをネザリアが見つめていた。

しばらくその見つめ合いが続くとネザリアが笑い出した。


「あはははは!マキナさんたらおかしい!アハハハ!」

「むー。お肉食べれない!」

マキナは皿から取った肉を自分の皿に取置し、ネザリアと話し始めた。

「マキナさん。食べ物取ったら外でお話しましょう。食べながらね。」

「気が利く王女様っ!」


マキナは自分の皿に食べ物を積み上げると外へと出ていった。

外の椅子ではネザリアが座って待っていた。

マキナはネザリアの隣に座ると肉を一切口の中へ放り込んだ。


「ねぇ?マキナさん。マキナさんが神様って本当なの?」

「ん”!?」


突然の質問にマキナは飲み込みかけていた肉が喉に詰まった。

「だ、大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫!」


マキナは肉を正常に胃の機能を持つ機関へと戻した。


「突然どうしたの?」

「あの時、マキナさん言ったでしょう?一応神様って。」

「あー。あれか…」

マキナはまた調子に乗って言ってしまったことを後悔した。

恥ずかしいのである。

「あ、あの?」

「あ、ご、ごめんね。ま、まぁ。一応神って事ではあるけど…。」

くねくねしていたのをネザリアに見られ、恥ずかしさが増したマキナであった。


「どの様な神様なのです?」

「どこまで知ってるかな?」

「えっと。人に創られたとしか。」


マキナは皿に載せてきた料理を食べながら答え始めた。


「いい?私は本物の神様じゃ無いの。でも神でもある。」

「いまいちよくわかりません…。」

「私は科学と魔術…魔法のことね。それのすべてを込めて神として創られたの。」

「かがくとはこの間、空で言っていた物ですね。魔術…魔法とは違うのですか?」

「うん。簡単に言うと方向性が無いのが魔術なんだ。魔術は魔法みたいに水や炎を出せない。」

そう言うとまた一品の料理を口の中へと放り込む。


「人間たちが自分たちを救うため、持てる技術を出した結果生まれたのが私。元人間の人格を移植された人工神とも言える存在なわけ。」

「救う?元人間?」

「そう。私達の世界では外敵が居てね。そいつらを駆除するために創られたの。この体は機械で創られていて、魔力で維持されてるんだ。機械の体に人間の人格を埋め込んで動かしてるって言うことだよ。」


また一品口の中へ。


「難しい話ですね。神というものはこちらの世界でも宗教でありますが、見たものはいません。」

「それはそうだよ。神なんて実際には居ないんだから。」

「え!?」

「考えてもみてよ。何時姿を表した?なぜ神は何もしない?なぜ神は信仰させている人間に見返りを与えない?」

「それは…神は常に私達の事を見て、加護を…」

「うん。どこの世界でも同じような考えなんだね。」

「どういう意味ですか?」

「私は違う世界の元人間現神だよ。異世界ってやつだね。」



マキナはネザリアに事の経緯を話した。



「そうだったんですか…。違う世界…。」

「その世界ではある科学者がこの世界を観測するほどの技術力を持っていた。でも神の存在なんて一言も言っていなかった。」

「で、でも居ないという証拠には!」

「そうだね。居ないとは限らないけど、居るとも限らない。もしかしたらこころの弱い人間が逃げ道として作った空想のものなのかもしれない。」

「…。」


マキナは最後の一品を口の中へ放り込んだ。


「そんな訳で、人間以上神未満な私です。称号とか呼び名をつけるなら科学神かな?」

「科学神…。」

「うん。そんな感じ。」


「…。」

「うん?なにか言った?」


ネザリアは口を動かしているようだが、いまいちよく聞こえない。

聞こえないというか声が出ていない。

マキナの五感センサーはこの程度の距離なら小声すら拾うからだ。


「あの…その・・・・(私も冒険に)

「ふふふ。もっと大きく言わないと聞こえないよぉ?」

「あうあう…」


時々Sなマキナである。


「わ、私も…冒険に連れて行ってくだひゃい!」

「ぷふ!噛んでる…あははははは!」

「むー!マキナさんのいじわる!」

「あはは!あひぃひぃなひふるんでふか!?」

「意地悪する人はこうです!」


ネザリアはマキナの頬を引っ張っている。

二人は仲良く笑いながら話していた。

それを部屋の中から見つめる国王。


それを見て何を思っていたのか国王は再びワインを飲み始めたのであった。

誤字修正*2

13/05/12 誤字修正

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