はじめてのいらい!
ギルド長とマキナが意気投合しふざけあい、話し込んでから数分後…。
「いやー。すまぬ。本題に移ろう。」
「そうですね。」
ミルフィーは眉間にシワを寄せ頭を抑えている。
アリスにいたっては笑っていた。
「昨日の夜の事は間違いないのじゃな?」
「そうですね。暴漢がアリスにセクハラをして剣を抜いたので張り倒しました。」
ドヤ顔で答えるマキナ。
「計測魔道具を壊したのもお主じゃな?」
「そうじゃ!」
そう答えるマキナ。
そしてミルフィーに叩かれるマキナ。
「相手から手を出したならお主達には落ち度はないが、ちと騒ぎ過ぎじゃ。
もう少し静かにやってくれると嬉しいのぅ。」
「すみません。」
「計測魔道具のことは不可抗力として不問ということにする。」
「高価な物みたいなのでそうしてくれると助かります。」
「…(高価な物みたいって、あれ家が立つほど高いのよ…!)」
ミルフィーは価値を知っているので一安心していた。
「さて、マキナのカードは現在書込み中じゃ。もう少しで出来るはずじゃ。」
「?どうやって作っているんです?」
「ギルド専属の魔導師が魔法で書き込んでいるのじゃ。特定の手順で魔力を流すと自分の意志で溝を掘ったり、変形できるんじゃ。」
「へー。まるで私の装こ…ムグゥ」
「あはは!なんでもありません。」
「?変なやつじゃ。」
隣に座っていたミルフィーに口を塞がれたマキナだった。
話し終わるのを待っていたかのごとくノックが部屋に聞こえてきた。
「ギルド長。カードを持って来ました。」
「うむ。入れ。」
「失礼します。」
ギルド職員が中に入ってくるとギルド長にカードを渡して戻っていった。
「これがお主のギルドカードじゃ。無くすでないぞ?」
「ありがとうございます。」
“スキャンモード”
「ギルドの説明は受付の職員から聞いてくれ。」
「わかりました。」
しばらくカードを眺めていたマキナ。
見終わったのか顔を上げた。
「それでは話は以上じゃ。」
「はい。ありがとうございます。」
「気にするではないぞ。」
そういうと3人は部屋の外へ出ていった。
ギルド長は机まで戻り腰を掛けた。
「あやつ。何か隠しておるな…。」
ギルド長としての感と会話途中の不自然な行動に気づいていたのだ。
「まぁ。何かアレば報告が来そうだからいいかのぅ。」
受け付けへ向かう3人。
アリスがマキナに声をかける。
「マキナ?さっきギルドカードみてて何してたの?」
「あれ?バレた?」
「マキナのことだから興味半分で調べてると思ってね。」
「こやつ!もしや読心術を…」
マキナはまたもやミルフィーに叩かれた。
「あだ。」
「ギルド長の真似をしない!」
「私は子供じゃないよぉ。」
「すっごい子供みたい。」
そう言いながら階段を下るとそれに気づいた冒険者がまたもや黙りこんでしまった。
3人はもう慣れたのである。
「すみません。ギルドの説明聞きたいのですけど。」
「はい。ギルドは一般の方から依頼を受け、それを冒険者の方へ仲介する役目を持っています。」
「ふむ。仲介人ですか。」
「はい。冒険者の方はぶっきら棒の方が多いので我々が仲介をするのです。
依頼についてなのですが、期限があります。」
「期限?」
「はい。依頼を受けてから1週間となります。依頼によっては変動します。
もし達成できなければ違約金を払うことになります。違約金は銀貨50枚になります。」
「結構高いですね。」
「そうしないと失敗してもお金を払えばいいと言う考えるものが出てしまうためです。」
「なるほど…。」
「次にランクです。F~Aがあり、その上にはWA,S,WS,TSがあります。
A以上は昇段試験があります。」
「ランクは何のためにあるのですか?」
「依頼の難易度の指標になります。同ランク未満の依頼ではランクは上がりませんのでご注意を。」
「ふむふむ。」
「戦闘スタイルは依頼人からのスタイル指名や、ギルドでの判断として使います。原則的にスタイル以外の依頼は受けることができません。」
「依頼が限られるのですね。」
「そうですね。剣が効かない相手に剣士を派遣しても意味が無いですからね。」
「それはそうですね。」
「次にギルドカードについてです。ギルドカードは特別な鉱石を利用しています。そのため紛失された際は銀貨30枚とランクダウン、報酬からの天引きが発生します。」
「…きついですね。」
「昔は無くす人が多く、銀貨150枚だったのでそれを解消するためにこのような対策になりました。基本的に残りの120枚を返済し終わると天引きがなくなります。」
「わかりました。」
「依頼をお受けになる際はそこにある掲示板から依頼書を持って来てください。護衛依頼なら開始と終了のサインを。収集なら対象物を。討伐なら対象の一部を持って来てください。」
「はい。わかりました。」
「なにか困ったことがありましたら職員かチームの方々に聞いてみてください。」
「そうですね。ありがとうございました。」
マキナは説明が終わり少し離れた場所に居た2人の場所へと戻った。
「終わったようね。」
「うん。おわったよー。」
「じゃ、早速依頼でも受けてみる?」
「そうだね!そうしよう。」
三人は依頼書が貼ってある掲示板の前まで移動しマキナのランクに合いそうな依頼書を探していた。
登録時は皆Fである。
「…マキナってなんでもできそうだから逆に何選べばいいか迷うわ。」
「そうだね…。」
「うーん。これはどうかな?」
マキナが手にしたのは薬草の収集依頼だった。
「そうね。最初ならそういうので理解したほうがいいかもしれないわね。」
「それじゃ早速受けてくるよ。」
マキナが依頼書を持ち受付へ向かう。
「この依頼受けたいです。」
「はい。…この依頼は直接依頼主に渡し、サインを受け取り達成となっております。」
「あれ?ギルド経由じゃないんだ。」
「はい。ギルド職員が手渡しに行くと仲介料と送料がかかるのでそれを払う余裕がない人はこういう形にする人が多いです。」
「なるほど。」
「では、この依頼でよろしいですね?」
「はい。」
「登録させて頂きます。」
受付の人は羊皮紙にマキナと書き込み依頼書を渡してきた。
「完了です。初依頼頑張ってください。」
「ありがとうございます!」
マキナは2人のところに戻った。
「戻ってきたわね。」
「ただいま。」
「じゃ、さっそく行こうよ。」
アリスがそう言うと3人は歩き出した。
3人が外に出ると静かだったギルド内が再び騒がしくなっていった。
マキナ達は街の出口へ向かうまで依頼の事を話していた。
「ミルフィー?この薬草ってどんな薬草なの?」
「見せなさい。…これは病去草って言うのよ。」
「病去草?」
「そう。主に病気の人に使う薬草なのだけど、大抵の病気は治癒魔法で治るのよ。これを使うということは…。」
「…魔法で治らない病気ってことだね。」
「治癒魔法なんてあるんだ。治らない病気って?」
「治癒魔法は骨折や肉体欠損には効果がないのよ。だから肉体に直接係る病気には効かないのよ。」
マキナは一番最初に浮かんだ病気があった。
元の世界では半世紀前に完全に克服された癌という病気。
一応マキナは一般教養も教えられているので知っていた。
元の世界でも稀に発症する人が居たのだ。
体質的に健康管理のナノマシンが体に入れられない人だ。
そういう人に対しては有機ナノマシン、アレルギー抑制剤を投与し、完治後自己消滅するので害はないのだ。
マキナも一応治療道具は持っているが、数に限りが有るため迂闊に使えないのだ。
「…そうなんだ。ありがと。」
話しながら歩いていると跳ね橋の前まで到着した。
依頼の草は森の木陰によく生えているという。
需要があまりないため市場でも扱わないそうだ。
「それでは行きましょ。」
「初依頼がんばろうね。」
「がんばるぞー。」
マキナは外にある小屋の近くの小石にエネルギーを変換した魔力を流し、病去草がある森へと向かっていった。
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13/5/12 誤字、文章修正




