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寝るまではぺちゃくちゃと喋りまくっていた女子4人だったが、さすがに疲れたのか、いざ寝るとなったらすぐに静かになってしまった。
俺もなんだかんだで疲れたよ…………
眠りに落ちてどのくらい経っただろう、ふと、空気が動いたような気がして目が覚めた。
今、誰か出ていったような……
辺りは静かで特に異常事態とも思えないので、もしかしたらトイレかなとも思ったけれど、何かあるといけないので外を確認するべく、そっと立ち上がってテントの外に出た。
月明かりにぼんやりと浮かぶ人影は背格好からしてデミのようだった。しかも、トイレとは違う方へ向かっているようだ。しかも、自分の使い魔をおいたまま。
魔法使いとはいえ、夜中に女の子が1人で出歩くのは物騒な気がしたので、護衛のつもりでデミの後をついていくと、彼女は海の見える辺りまで出て地面に座り込んでしまった。
うーん。どうしたものかな。マナがいないと人間の言葉が分からないから何がしたいのか全くわからん。
仕方なく、少し離れたところに座ってじっと様子を見ていたが、ちっとも動こうとしない。
「ここだったんだ」
不意に掛けられた言葉に、デミは驚いて後ろを振り返った。
「蜂がうるさいから起きてみたら、デミさんがいないじゃない。慌てて出てきちゃった」
「あ、ごめんなさい」
「どうしたの? マナさんを身近で見てショックを受けたりした?」
「えっ?」
現れたのはカルネだった。カルネは他の人たちを起こさないように声のトーンを抑えて話しながら、デミの隣に座った。
「図星みたいね」
「はい。というか、マナさんもそうなんですけど、他の人たちもみんなすごい人たちばかりで、あたしみたいな普通の人がこんな近くにいていいのかなって」
「ちょっと前のマナさんなら、絶対ダメだったでしょうね」
「…………はい……」
「マナさんは自分より弱い人を側に置きたがりませんでしたから、近づいても無視されるだけだったと思いますよ」
「そうですよね。やっぱり、私がこんなところにいるのは場違いですよね」
さっぱり何を話しているのかわからないが、カルネが一言離すごとにデミが目に見えて落ち込んでいくのがよく分かる。うーん、もどかしい。
「場違いとは思いませんよ」
「え?」
「マナさんにとっては、わたくしもバドアスさんもカインリルさんも、あれだけ仲の良いミレイさんですら、自分より下にいるという意味では同じことですわ。もちろん、デミさんも」
「あの、それはどういう……?」
「わたくしたちはマナさんに許されてマナさんの側にいるのではなくて、マナさんに拒否されても勝手に側に居続けてきたというだけのことです」
「でも、それはそれだけの能力があったからできたことで……」
「能力なんて始めからあったわけではありませんわ」
「…………」
カルネは近くにあった草の葉を一つちぎって、それを見ながら話し始めた




