表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺は猫×あたしは魔女  作者: 七師
サバイバル実習<前編>
96/130

19

 「マナさんっ」

 「あたしもパスで」

 「がーんっ」


 と、うしろからつんつんと指でつつく感触がした。


 「何?」

 「ね、「ジキ」って何?」


 それはミレイだった。ミレイは両親が外国出身のせいか、たまにクプーティマ特有の言葉について知らないことがある。


 「ジキはハーフエルフのことだよ」

 「それって悪いイメージなの?」


 ミレイが不思議そうに聞く。そうか、ミレイの出身国はエルフの居住地から遠いからハーフエルフもあまりいないんだ。


 「ハーフエルフは流れ者だからあんまりよくは思われてないね。でも、バドアスが言ったのは、ハーフエルフの食べ物の方の話だよ」

 「食べ物?」

 「うん。彼らは悪食で有名だからね。ま、偏見もあるのかもしれないけど」


 俗語辞典によれば、「ジキ」は「悪食」ないし「奇食」が由来であるらしい。人間のように調理された食べ物を食べず、ゲテモノに属するようなものばかり食べるハーフエルフは、流れ者であることと相まってひどい偏見と迫害を受けてきた歴史がある。


 今では人間に準ずる種族としてほとんどの国で参政権以外の権利は保証されているが、それ以前は動物と同等の扱いを受けることもあった。また、そのわりに整った容姿をもつため、人身売買の対象として捕獲されることもあったらしい。


 「ま、あんまり上品な言葉じゃないことはたしかね」


 少なくとも女子が使って眉をひそめられるようなたぐいの言葉ではある。中等部くらいのかっこつけたがりの男子はたまに使うけど。



 「「いただきます」」

 「うん。まあ、食べられるわね」

 「おいしいです」

 「やっぱり自分たちで作ると味が違うね」

 「やっぱりマヨネーズを混ぜると味が違いますわ」

 「うわっ」

 「ちょ、バドアス、玉ねぎ、全部つながってるじゃない!」

 「おこげ、うまい」

 「あのー、ヘータくんって、猫なのに香辛料とか玉ねぎとか大丈夫なんですか?」

 「大丈夫、大丈夫。ヘータって何か変だから」

 「変じゃねぇっ」



 ご飯を食べ終わる頃にはもうすっかり辺りは暗くなってきていて、魔法で明かりをとりながら急いで片付けをして就寝した。食べ物を残しておくと寝ている間に熊とかが出てくるかもしれないから気をつけなければいけない。


 熊は臆病なので、食べ物さえ片付けておけば人が集まっているところに寄って来ることは少ないが、一応、何かあるといけないので、カルネがアリアノ蜂に警戒させておく他、デミも使い魔のショコアを外で寝かせておいた。


 俺はもちろんテントの中だ。悪いか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この小説は、一定の条件の下、改変、再配布自由です。詳しくはこちらをお読みください。

作者のサイトをチェック
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ