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と、そこへ近くにキャンプしている別のチームの学生がやってきた。
「あの、肉か魚を少し分けてもらえないですか?」
「えっ、魚ならいっぱいあるからいいけど、用意してなかったの?」
「いえ、そうじゃなくて、海からキャンプに戻ったら誰かにキャンプが荒らされてて、野菜は被害が少なかったんですけど、肉類の被害が大きくて」
「え、何その嫌がらせ。誰がやったかとか分からないの?」
「それが、ちょっと」
「でも、ここって無人島のはずだよな。ていうことは、学園の学生の誰かか?」
あたしが話しているところに、バドアスも口を突っ込んできた。見ると、カルネも興味津々で耳を傾けている。
「何のために?」
「さあ?」
「もしかしたら、熊とか野生動物のせいかもしれないんで、だとしたら私たちの食材管理が悪かったわけだし」
「熊か。たしかに、森の中にそんな痕跡があったな」
「一応、明日、実行委員の方にも報告しておくので」
「うん。わかった。あたしたちも気をつける」
熊ね。案外、竜だったりして。
一瞬、そんなことを思ったが、話してもカルネを面白がらせるだけだと思って黙っておいた。
「そろそろ出来上がりよ」
結局、最後の方はバドアスもカルネも全然役立たずで、ミレイが仕上げを全部仕切っていた。ご飯はもう炊きあがって蒸らしに入り、カレーは弱火で最後のひと煮込みというところだ。
「お。じゃあ、そろそろ隠し味の出番ね」
「隠し味?」
何やらカルネが張り切ってテントの中に入っていって、クリーム色のものが入った瓶を抱えてきた。
「ちょっと待て。何をするつもりだ」
身の危険を感じたのか、バドアスがいち早くカルネの行く手を阻んだ。
「何って、カレーに隠し味を入れるのよ」
「だから、何を入れるんだ?」
「ふふっ。自家製マヨネーズよ!!!」
「「は?」」
「これは知る人ぞ知る極意なんですが、マヨネーズをカレーに入れるとね、まろやかになってコクが出てとてもおいしいんですわ」
カルネがマヨネーズの瓶を持ってどや顔で宣言する。
「君はジキか!」
「なっ、なんですって!?」
「入れたきゃ皿に盛られてから入れろ。周りの人間を巻き込むな」
「ぐぬぬ」
マヨネーズをカレーにか。……、油っぽくなりそ。ニキビできたらやだな。




