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「ビーチバレー? やるよ、やるよ」
「でも、今度は1人余るね」
「わたくしはカメラウーマンですわ」
「あー……」
いつの間にかちゃっかりとボールとネットを持ってきていたデミのリードで、またたく間にビーチバレーのコートが出来上がった。
「魔法はあり?」
「なしですっ」
チーム分けは、あたしとデミのチーム対、ミレイとシシーのチーム。カルネはカメラウーマン兼審判だ。写真を撮りながら審判をするのはとても難しそうだが、カルネの使い魔を使えばそういうことも可能らしい。
最初のサーブはあたしだ。
「せーのっ」
ドバシューーーーンッ
「あ、ちょっと飛び過ぎちゃった」
うっかり腕力強化のブレスレットをつけたままだったのを忘れてた。どうしよう、海の彼方まで行っちゃったよ。
俺はバドアスや他の学生たちと共に森の奥深くに分け入っていた。ドラゴン探索の学生たちはいくつかの班に分かれて手分けして探索を進めることにしたのだ。
「なんでもいい。手がかりになりそうなものがあったらすぐに連絡してくれ。体長は最低でも数メートルはあると言われているんだ。痕跡を消そうとしても完全には消せないはずだ」
班の1つでリーダーになったバドアスは、いかにもリーダー然としてさっきから他の学生に指示を出している。もっとも、人間語の分からない俺には何を言っているのかさっぱり分からないが。
それにしても、本当に痕跡らしい痕跡が見つからない。結構な人数で調べているので、これが亜竜ならそろそろ見つかっていてもいい頃だと思うのだけれど。生活圏の推測が全く外れているのか、あるいはそもそもいないのか、はたまた。
「この辺にもいないか。やはり、火山の火口の中に住んでいるのか」
バドアスが調査の手を休めて火山の方を見上げた。確かにあそこは気になる。
「いや。火山には近づかないというのが約束だ。他を探そう」
頭を振ってポケットから地図を取り出すと、赤鉛筆で×を書き込んで、そのまま考え込んだ。
これまで森の中を探してきて何も成果がなかったので、次あたりからは目先を変えたい。選択肢としては、もう少し火山に近い森の中を探すか、まっすぐ進んで川沿いの渓谷を調査するか、あるいは逆に海の方を調べてみるか。
再び顔を上げたバドアスは、全員を呼び集めると何かを話した。どうやら次のポイントに移動するようだ。
バドアスは結局、渓谷を選んだようだ。まっすぐ進んだ一行はやがて前方に森の切れ間を見つけた。しかし、そこでは予想外の事態が待ち受けていた。
「どうした?」
「あ、バドアスさん。それが……」




