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俺は猫×あたしは魔女  作者: 七師
サバイバル実習<前編>
86/130

09

 ここのところ、マナは普段と大して変わらないが、学園の中はいつもと違ってピリピリした空気が流れているようだ。俺の追っかけも日に日に人数が減って、ここ数日はゼロだった。


 期末試験と言うらしい。


 この時期になると、学生は誰もが思い出したように勉学に励むという話だ。マナの様子が変わらないので、いまいちどういう状況かぴんと来ないのだが。


 いずれにしても、校内を歩いていて追い回されないというのは、なかなか気分のいいものだ。……、極めて低いレベルの満足だという自覚はある……


 せっかくだから、テストというのも受けてみた。もちろん家に帰ってからマナの問題用紙を借りてである。結果、面白いことが分かった。


 「歴史は苦手だ」

 「うん。これはひどい」


 そもそも普通の猫は歴史のテストを受けたりはしないという指摘は脇においておくとして、他の社会科の科目が満点近いのに比べると、信じられない点数の低さだった。


 ちなみに、他の社会科以外の教科も軒並み高得点で、魔法学と数学の点数がマナを超えていたことは、マナのプライドにダメージを与えたようだ。ザマーミロ。


 「なんで歴史だけできないのかと言うべきか、なんで歴史以外がこんなにできると言うべきか」


 マナの疑問はもっともと言える。残念ながら俺にも答えはない。


 全教科パーフェクトなら、俺は生まれつき天才だからとでも言えるのだけど、歴史だけできないとなると、何か理由があってしかるべきなように思う。どんな理由か見当もつかないが。



 期末試験の結果は授業中に個別に返却される。加えて、全部が返却される終わる頃に成績上位者のみが掲示板に貼り出されるのだ。そして、それは翌日には新聞にも転載される。


 別にそこに貼り出されたからといって何か特別の特典があるわけでもないが、その常連ともなればさすがに知名度は上がるといえる。それに、将来のベルデグリ認定の候補者とも目されるようになるのだ。


 だから、やはり成績優秀者のほとんどは掲示板に自分の名前が貼られるかどうかを気にかけているし、それ以外の人にとっても常連が変動することは大きな関心事にはなる。


 そんな中、おそらく自分の順位はあまり気にしていないであろうマナが、人の波が引いた頃合いに掲示板を見にやってきた。


 中等部2年、総合成績の不動の1位はマナだ。次いで、不動の2位がバドアス。バドアスはこんなに優秀なはずなのにどうしても残念さが漂って感じるのは俺の偏見が入っているんだろうか?


 3位から6位は毎回順位に変動があって、今回は3位にミレイ、5位にシシーが入っていた。


 そして、少し離れて9位にカルネ。さすがにカルネの技術と執念を持ってしても試験前にテストの問題をカンニングすることはできないのか、はたまた偽装工作としてわざと何問か間違えているのか、とにかくカルネはいつも10位前後をうろついていることが多い。


 「あれ、デミ?」


 まばらにいる人の中に知り合いがいることに気づいたマナが、感情なく立ち尽くしている様子のデミに何気なく声を掛けた。


 「マナさん」

 「デミもここに載ってるの?」

 「いえ。……、あたしはただ、みんなの名前があるかどうか確認しにきただけで」

 「そうなんだ」

 「…………」

 「…………」


 一瞬、会話が途切れて静寂が2人の間を支配したが、すぐにデミによってそれは破られた。

そういえば、以前、シシーがNo.3だと書いた気がしますが、それは実技の方のことで、ペーパーテストはまた違います。特に、ペーパーテストは非戦士職の面々が頑張りますので。

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