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俺は猫×あたしは魔女  作者: 七師
サバイバル実習<前編>
83/130

06

 その日の放課後、あたしはなぜかミレイとカルネと一緒にナガール・センターにいた。


 「見て見て、これ可愛いっ」

 「マナさんはスタイルがいいからビキニがいいと思いますの」

 「ビキニならこれとか可愛いよね」


 テンションMAXではしゃぐミレイとカルネを横目に、あたしはどうしてこうなったかと考えていた。


 当初、海での活動は水着が嫌だからと断固拒否していたのだが、途中でカルネが海での魔法の訓練も大切とか言い出して、場合によっては水中戦も考えなければという話になり、水中戦の訓練をするなら水着を着ないと動きにくいという話になったのだ。


 それであたしが、水着を持っていないと言ったら、今すぐ買うべきという話になり、水中戦を意識したスポーツタイプの水着なら買っておいてもいいかも、とうっかり言ってしまったのが止めで、今ここでこんなことになっているのだ。


 ここは魔法都市トルンの魔法使い御用達のショッピングセンターであるナガール・センター。売られている水着も魔法効果を備えているものが多い。水中戦を意識した実用的な水着だって数を揃えているに違いないのだ。


 最も一般的なのは浮力を調整して浮き輪や重りの代わりになるというもので、高いものには水中を高速で自在に移動できる効果のあるものもある。もっとも、水中移動は飛行と同じく習熟に訓練がいるので、水着を着ただけで人魚みたいに泳げるわけではない。


 ただ、あたしとしては変な魔法効果があると魔法の発動に干渉する可能性があるから、むしろプレーンなもののほうが無難じゃないかとも思うので、その辺が悩ましいところだ。やはり実際に使ってみないと感じは分からないな。


 などと考えながら、半ば諦めの気持ちで水着コーナーのおとなしそうなデザインの一角を見て回って、無難そうなデザインの水着の魔法効果を確かめていると、不意に後ろから呼び止められた。


 「マナさん。マナさんは、やはりちょっと落ち着いた大人っぽい雰囲気でお姉さま風の印象にするのがいいと思います」

 「そんなことないよ。マナはね、こう見えてちょっと乙女っぽいところがあるからね、可愛いのにするほうがいいんだよ」


 見ると、ミレイとカルネが名々に水着を持ってあたしに試着しろと迫ってきたのだ。


 「あ、あたし、こんな水着は……」

 「あ、マナ、何手に持ってるの?」

 「えっと、自分で選んでみたんだけど」

 「だめだよ。マナは今日はマネキンなんだからね」


 え? あたし、マネキンだけ!?


 「さ、さ、こっちですよ、マナさん」

 「時間は有限なんだからね」

 「どれだけ着せるつもりなのよっ。もう、わかったわよ」


 あたしは仕方なく試着室に向かったが、その前に気になっていることがひとつ。


 「ところで、その水着、胸、小さすぎるんじゃない?」

 「「えっ……」」


 何か恨めしげな視線に追い立てられるようにあたしが試着室に入ると、その先は次々と持ち込まれる水着を延々と着替えさせられたのだった。



 「つ、疲れた」

 「お疲れ」


 2時間以上も水着のファッションショーを繰り広げたあたしは、家に着くとソファーの上に倒れ込むように寝転がった。ヘータが同情するように頭に肉球を押し付けてくる。

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