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翌日のお昼には、カルネが書いた記事が一面トップに載った新聞が発売された。
そこに大きく写っていた写真はノルフレドがあたしの魔法で拘束される直前、呪符を手に持って狂気を孕んだ目で上空のカインリルを見上げているところだった。その写真は何よりも雄弁にノルフレドが犯罪者だったことを語っていて、記事の内容に信憑性を与えていた。
試合中にノルフレドを拘束する可能性を予め伝えておいたとはいえ、こんな決定的な瞬間を逃さないカルネのその記者魂にはただただ感服するばかりだ。
そして、その脇には写真がもう一枚。あたしの左右にミレイとカインリルが並んで肩の上にヘータが乗り、魔晶石を掲げている写真。
「いい写真だよね」
「えっ、そ、そうかな?」
じっとその写真を見ているとふいにミレイに声をかけられた。あたしは曖昧に返事をして新聞を折りたたんだ。
「どこ行くの?」
「ちょっとね」
そう言って、あたしはミレイに行き先も告げずに教室を離れた。トイレと思ったのか、ミレイは後を追ってくることはなかった。
10分ほどしてあたしが立っていたのは高等部の校舎だった。
「カインリル」
「……、マナ?!」
「もう帰るんだって?」
暗殺未遂事件が明るみになったことで、カインリルを含む使節団の全員は予定を切り上げて明日にはトルン市を離れて帰国することになったのだ。だから、明日の朝がカインリルが学園に顔を出す最後なのだ。
「そうだけど……、もう口を聞いてくれないかと」
「一ついい忘れたことがあった。金輪際馴れ馴れしい口を聞いてくるのは禁止だけど、再挑戦したくなったらいつでも受けてやらないこともないかな」
「マナッ、それじゃあっ」
「勘違いしないでっ。あたしは再挑戦を受けると言っただけだからね。それに勝つまでは馴れ馴れしい口は絶対禁止っ」
「……分かった。次に会うときにはもっと強くなって来るよ」
「ま、あなた位のレベルじゃ一生かかってもあたしの足元にも届かないと思うけどね」
「やってみないと分からないさ」
そう言って、カインリルはカラリと笑ってみせた。こう言うところはむかつくほどイケメンだな、こいつは。




