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俺は猫×あたしは魔女  作者: 七師
親善試合<前編>
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17

 そしてまた日は過ぎ、親善試合を翌日に控えた夜、俺は1人で街を散歩していた。別に気分が高ぶったとかそういう話ではなく、夜の散歩は単なる習慣だ。忘れているかもしれないけど、猫は本来夜型なんだぜ。マナが寝る頃までには帰るけど。


 マナと一緒に暮らすようになってから、それまでの適当にケンカを売ってきたきた猫をぶっ飛ばすだけの方針をやめて、家の周辺と通学路については俺の領地として確保することにしていた。なにせ、毎日の通学路で毎回ケンカをふっかけられていたら面倒くさい。夜の散歩はその領地の見回りだ。


 その夜、俺は何気なくいつもとルートを変えてカインリルたちが滞在している屋敷に行ってみることにした。彼らは俺とマナが住む住宅街の中で学園が所有する大きめの邸宅に宿泊しているのだ。もちろん使い魔も同じ場所に滞在している。


 確かこの辺だったはずだけど。


 カインリルの屋敷は俺の勢力範囲から少し外れているので、周辺には俺と敵対する猫がうろついている。実際、目的地にたどり着くまでに数匹に絡まれたので、問答無用でお引き取り頂いた。


 それにしても、やっぱり11人が宿泊するとなると広いな。


 目的の屋敷を前に、俺はそんな感想を抱いていた。


 敷地だけで俺の家の3倍くらいはあるんじゃないだろうか。まあ、俺の場合、ここの3分の1のところに1人と1匹で住んでいるんだから、1人あたりの面積は俺のほうが大きいんだけど。


 一応、侵入検知のための設備が門や塀に設置されていたが、魔力もなく身体も小さいただの子猫には全く関係がない。俺は難なく内部への侵入を果たした。


 さて、どこに行こう。


 中には入ってみたが、さりとて特に何の当てもない。建物の中にまで侵入してみてもいいが、さすがに見つかると面倒なことになりそうな気がする。


 ならばと俺は庭を歩いて厩舎を探すことにした。ピッタヴとかいうペガサスの顔でも見て、それを土産に帰るとしよう。


 高級住宅街の邸宅らしくやたら広い庭をてくてくと歩きながら、俺は厩舎らしい建物を探した。夜だけあって庭には誰も出ていない。猫の持つ鋭敏な聴覚には建物の中から時折笑い声らしいものが聞こえるので、まだ起きてはいるんだろう。


 あった。あれだ。


 厩舎は建物から少し離れた日当たりのよさそうなところに立てられていた。その奥には倉庫らしい建物も立てられていて、さらにその隣には地下倉庫への階段らしいものも見えた。地下倉庫は温湿管理が必要な食品や薬草などの長期貯蔵に使うものだ。短期滞在しかしないカインリルたちは地上の倉庫だけ使って地下倉庫は使っていないに違いない。


 目的の物が見つかって早足で近づこうとした時、ふと何かの気配を感じて慌てて壁際に身を寄せて月の影に身を隠した。黒猫が夜に影に入ったらそう簡単に見つかるものではない。俺はそのままゆっくりと気配のもとを探った。


 「ふう。さあ、ピッタヴ、エサだ」


 そう言ってバケツを持って出てきたのはノルフレドだった。どうやらカインリルの使い魔にエサを遣りに来たようだ。


 バケツに入っているのは飼い葉だろう。ペガサスといっても馬なので食べ物は馬と同じなのだ。ノルフレドがバケツの飼い葉を飼い葉桶に移し替えようとした。その時、


 「ヒヒーン」


 飼い葉桶まで近づいていたピッタヴが一声いななくと、向きを変えて後ろ足でノルフレドを蹴りあげた。


 「うわぁ」


 慌てて避けたノルフレドだったが、足を滑らせて尻もちをつき、バケツに入っていた飼い葉を頭からかぶってしまった。


 ピッタヴはまだ興奮冷めやらぬ状態で、馬房の奥のほうでフゥフゥと唸っている。ノルフレドは何やら慌てた様子でバケツを持って急いで倉庫へと駆け込んでいった。


 何だったんだ、あれは?


 引率の教官が学生の使い魔の世話をしているのも不思議だし、その使い魔が世話をしている教官に激しい敵意を見せるのもよく分からない。ペガサスが大人しくて賢い生き物だと言われていることを考えるとなおさらだ。


 ま、考えても仕方ないか。


 しばらく待ってノルフレドが戻ってこないことを確認してから、俺は屋敷を離れて帰路についた。



親善試合<前編>【終】

カインリルとの試合が目前ですが、一旦終わりです。明日は閑話を投稿してしばらく充電してから続きを投稿します。よろしくお願いします。

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