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俺は猫×あたしは魔女  作者: 七師
親善試合<前編>
35/130

03

 「朝から自習なんだったら、プリントなんかやらせないで、その分始業を遅らせてくれればいいのにね」

 「……、あたしは別に困らないけど」


 ミレイの言葉に、マナはゆっくりと目を開けながらそう言った。


 今はもう授業中。しかし、教卓には先生はおらず、配られたプリントを持って学生は各自自習していた。プリントは後で回収されるのでサボるわけにはいかないが、マナはものの数分で終わらせてその後はずっと瞑想していたのだ。


 瞑想――目を閉じて内面に意識を集中させる行為を一般的にそう呼ぶが、マナの場合、単に精神統一のためにやっているわけではない。魔法を発動させることなく理力のコントロールをして、様々な状況を想定した魔法のシミュレーションをしているのだ。


 この瞑想に加えて、シャドーという仮想敵を想定し実際に結印までして発火させない訓練は、マナにとってほとんど習慣化していて、時間があればいつでもやっている。毎回魔法を発火させては周りに被害が出るからこういう訓練方法になるのだが、知らない学生にはマナが訓練をサボっているようにしか見えていないようだ。


 今日もプリントが終わった後、ずっとその瞑想をしていたのだが、どうやらミレイもプリントを終えたらしくマナに話しかけてきたのだ。こういうとき、マナは瞑想が中断されても怒ったりすることはない。


 「もうハンセタール王国の人たち、もうついたのかな」

 「昨日のうちに着いてるはずよ。今頃は先生たちに挨拶してるところじゃない?」


 授業を自習にしていなくなった先生は別にサボっているわけではなく、交流使節の学生とその引率の先生をお迎えしたり、この後始まる歓迎式典の準備をしたりとで大忙しなのだった。


 ちなみにカルネはやはりさっさとプリントを仕上げて、使い魔のアリアノ蜂を学園中に飛ばして特ダネ探しの真っ最中だ。


 「ヘータく~ん」


 げっ。やばっ。


 ミレイやカルネ以外にも何人かプリントを仕上げた学生が出始めて、教室が徐々に騒がしくなってきた。と思ったら、俺のファンの少女の1人もプリントを仕上げたようだ。他の学生に取られる前に自分が独占しようと思ったらしく、鬼気迫る勢いで俺に向かって突進してくる。


 ぴょん


 「ちょっ、ヘータ、どうしたの?」

 「にゃっ」


 慌てて俺はマナの膝の上に飛び乗って身を隠した。本当は股の間に隠れるのが一番安全なのだが、家の中ならともかく外でそれをやろうとすると首根っこを掴んで投げられるので膝が限界だ。


 しかし、膝の上でも十分な効果は見込めた。その少女もそれで諦めたらしく、遠巻きに俺を見つめながら目があう度に「うふっ」と笑いかけられるだけで許してくれた。


 「ね、行こうよ」

 「んー。あんまり興味ない」

 「そんなこと言わないでさ。僕は見たいな」

 「どうせ後でも見れるよ」

 「今見たいんだよ」


 俺が気づかないうちに話が進んでいたらしい。ミレイがマナにどこかに行きたいと言っているみたいなんだけど。


 「バレたら怒られるよ」

 「大丈夫。僕はともかく、君がそんなヘマをするわけないじゃん」

 「まあねー。それはそうだけど」

 「だったらいいじゃん。それとも、君はここで僕を見捨てて、僕が1人で行って先生に見つかって怒られても平気なんだ」

 「それは自業自得だよ。でも、ま、ミレイがそんなに言うなら行ってみるか」

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