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俺は猫×あたしは魔女  作者: 七師
学園デビュー
18/130

08

 「おいこら、ふざけんな。俺が食べたいのは白いご飯だ。こんな得体のしれないべたべたねちょねちょした食いもんじゃない。白くてつやつやして粒が立ってるやつだ。わかってんのか。おい、聞けってば」

 「ヘータ? 食事中は静かにして頂戴」


 俺が机の上で大声で抗議を続けていると、マナは初めのうちは無視していたが、だんだん額に青筋が立ってきてついには首根っこを掴まれて底冷えする声で凄まれた。


 「くそっ。俺が首筋が弱いことを分かっててやってるだろ」

 「食べるの? 食べないの? 食べないなら昼ご飯なしでもいいのよ」

 「くっ、この性悪女め」

 「……」

 「分かったよ。食べればいいんだろ」


 諦めて俺が折れるとマナは俺を机の上に下ろした。いくらまずくても昼ごはんをなしでいられるほど俺は燃費がよくはない。泣きたい気分で俺はその胸焼けのしそうなリゾットなる食べ物を口にしながら、今晩の復讐を誓った。


 ――今日こそは絶対にぶっ飛ばしてやる。


 「ね、ヘータって?」

 「ん? この子猫のことだけど?」


 俺が泣く泣くリゾットを食べている頭の上で、ミレイという少女がマナに俺の名前について問いかけていた。ミレイの声は何か不釣り合いに真剣そうだった。


 「一体、何があったの?」

 「何がって?」

 「君が使い魔を契約したって言うだけでも驚きなのに、その名前がヘータだって聞いたら疑問に思わないほうがおかしいでしょ」

 「そう?」

 「そうよ」

 「まあ、いいじゃないそんなことは」

 「よくないよ」


 ミレイの剣幕に何事かとリゾットを食べる口を休めて顔を上げてみると、ミレイは何か少し怒ったような様子でマナを見つめていた。


 「……、その話はまた今度するからさ。今はまだ何をどう話したものか整理もできてないし」


 マナはミレイの視線を受けてしばらく逡巡していたが、何やら歯切れが悪そうにそう言うとパスタをフォークの先でつつき始めた。


 「……そう。話したくないなら仕方ないか。でも、なんかあったら1人で抱え込まないで僕に相談してね」

 「うん。大丈夫。あたしはヘータに会えたことはいいことだと思ってるから」

 「それはどっちのこと?」

 「どっちもだね」


 いまいち要領を得ない会話の後、マナとミレイはその話のことは忘れたように別の話題に移っていった。大して面白いとも思えない内容だったが、2人は随分楽しそうに話をしていたので、俺はまた仕方なく臭いエサに顔を突っ込んで午後のカロリーを摂取することに専念した。


 午後の授業は実技だった。ミレイと連れ立って、マナはまだリゾットが胃にもたれて気持ちが悪い俺を抱えたまま女子更衣室に入って服を着替えた。俺は着替える服などないので、ただその様子を眺めるだけだ。全く、毛皮のない生き物はこれだから面倒くさい。


 マナが言うには今日の実技は模擬戦らしい。戦士職志望のマナは半分以上の実技の授業が戦闘訓練に当てられている。そしてその中でも最も重視されているのが模擬戦だ。


 模擬戦は1対1、1対多、多対1、多対多の形式があるが、中等部では基本となる1対1が中心に行われる。それ以外の形式は高等部のカリキュラムに含まれるからだ。ただし、1対1といってもそれは魔法使いだけの話であって使い魔は数には入らない。なので、通常は使い魔も入れて2対2となることが一般的だ。


 「ヘータは今日は見学ね」

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