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俺は猫×あたしは魔女  作者: 七師
サバイバル実習<後編>
114/130

15

 「<発火(レムス)>」


 落ち着いてマナが防御魔法を展開する間に、俺は子どもに向かって駆け出していた。近くにデミがいるからむやみに魔法を使うのは避けるとして、隙を見つけてタックルでもかましてやろう。


 と思った途端、目の前に土の壁が出現した。


 俺は止まりきれず、間一髪上に避けてぶつかるのを回避したが、そこに突風が吹きつけられて、空中でバランスを崩して後ろに吹き飛ばされた。


 「<発火(レムス)>」


 マナが魔法攻撃で援護するが、それも危なげなく防御魔法を発動させて防いでしまう。


 「こいつ、詠唱も結印もしない」

 「神秘魔法だわ」


 俺のつぶやきに答えるようにマナがそう言った。


 神秘魔法とは結印魔法や魔法陣と対立する概念で、結印も魔法陣も詠唱もなく、理力の操作だけで起動する魔法のことだ。


 歴史的には結印魔法が普及する前に一般的だった魔法の発動方法だったが、今ではまともな使い手はエルフしかいないと言われている。


 「じゃあ、やっぱりエルフで間違いないのか」


 しかし、だとするとどこから来たのかという疑問が残る。


 マナも正体の分からない相手に、むやみに攻めずに防御主体で様子を見る戦術に出たようだ。さっきから積極的に攻撃魔法を使わずに足を使って相手の狙いを絞らせないようにしながら牽制攻撃を繰り返している。


 「どうも、複数属性の魔法は使えないみたいね」


 何度かやりあううちに、マナは相手の魔法の特徴を分析したようだ。まあ、分析と言うほどもないほど分かりやすい特徴だが。


 まず、マナがつぶやいたように複数属性の魔法は使えない。また、魔法自体の威力がそれほど強くない上に威力が一定している。


 これはわざと誤認させようとしているのでなければ、戦闘向けの魔法の技術があまり高くないことを暗示している。


 神秘魔法の仕組みは詳しくはないので確信は持てないが、魔法の発動過程が単純で偽装がほとんどされていない様子であることもその推測を裏付けている。


 この程度なら力押しでもなんとかできるだろう。


 「マナ」

 「分かってる。一気に行くよ」


 俺とマナは短い言葉とアイコンタクトで意思を確認すると、ギアを上げて2手に散開した。このまま挟み撃ちにしてゲームオーバーだ。


 バァンッ、バキバキッ


 「何っ」


 挟み撃ちが成功しようとしたところで、俺の背後で魔法の発動の気配がしたと思うと、熱旋風が襲いかかってきた。

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