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俺は猫×あたしは魔女  作者: 七師
サバイバル実習<後編>
113/130

14

 また来た。


 「<発火(レムス)>っ」


 今度はマナが防御魔法を展開して攻撃を防いだ。しかし、どうにも妙な感じだ。言葉にするのは難しいが、発動時の魔力の流れが普通の魔法とどこか違う気がする。


 「マナ、注意しろ」

 「分かってる」


 マナもどうやら気づいているようだ。それにしても、一体……


 と考えていると、視線の先の木陰から何者かが姿を現した。


 「確かに子どもみたいね」


 マナがそうつぶやいた。現れた人物は、デミの証言通り子どものような外見だったのだ。しかも、髪が長くて、シンプルなワンピースを着ていた。


 「しかも、女か」


 ということは、下着泥棒というわけじゃなかったのかな。


 「わからないわよ。国によっては男でもワンピースを着る文化もあるし」


 俺とマナがそんな会話をしていると、その子どもが口を開いた。


 「おい、お前」


 変声前の声ではやはり男女の区別は難しい。ただ、子どもであることは間違いないようだ。


 「隠し持っている魔力結晶を渡せ」


 それを聞いてマナの顔色が変わった。


 「魔力結晶を手に入れて何をするつもり?」

 「それは元々俺たちのものだ」


 エルフか。


 俺は内心でそうつぶやいた。


 あまり一般には知られていないが、魔力結晶は天然の鉱物ではなく、人工物だ。それも、エルフだけが実現可能な特別な製法によって製造される。


 エルフは魔力結晶をエルフのコミュニティの外に持ち出すことを嫌っているのだが、その有用性から人間社会での需要も高く、エルフのコミュニティから漏れ出した少量の魔力結晶が高値で取引されているのだ。


 しかし、目の前の子どもがエルフだとして、エルフは非常に排他的で自分たちのコミュニティの外に出ることはまずない。この辺にエルフのコミュニティがあるという話は聞いたことがないが、一体、このエルフの子どもはどこから来たんだろう。


 「これは渡せないわ」

 「なら、力づくでも」


 そう子どもが言うやいなや、ぱあっと周りが明るくなったかと思うと、四方からマナを狙って火球が飛来した。

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