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俺は猫×あたしは魔女  作者: 七師
サバイバル実習<後編>
104/130

05

 2人(と1匹)の雰囲気に残りの4人も何が起きたのかと緊張して身構えた。しかし、それから1分ほどあたしもカルネもへータもじっと身動きをせず、ただ周囲の気配を探るだけだった。


 「気のせい、ですかしら?」


 ようやくカルネが口を開いた。どうやら彼女もあたしと同じく「何か」の気配を感知した後に、すぐ見失っていたようだ。


 「気のせいのはずはないわ。1人だけならともかく、あたしやヘータも気づいたんだから」


 あたしが警戒を解除すると、ヘータも続いて警戒を解いた。


 「さっきの気配は何なんだ。ただの魔法生物とは思えなかったんだけど」

 「それに、突然メニエ・コウモリが暴れたのも気になるわね」


 ヘータと話をしていると、やがてコウモリたちの騒ぎも収まってきた。あたしは風の結界を解いてすっと立ち上がる。


 「もうちょっと奥まで行ってみる?」

 「あ、あの、マナさん」

 「ん?」

 「こ、腰が抜けちゃいました……」


 見ると、デミ1人だけ、地べたに座り込んだまま立ち上がれずにいた。松明が暗くてはっきりしないが、涙の後まであるのでよほど怖かったんだろう。


 「あー、じゃあ、今日はここまでにしよっか。手を貸したら立てる?」


 あたしはデミを立たせようと手を差し出したが、それにしがみついても一向にデミの腰は持ち上がらない。


 「仕方ないな。背負ってあげるよ」

 「ごめんなさい……」


 デミを肩に捕まらせてひょいと背負いあげると、洞窟の出口に向かって歩き始めた。


 「あの、重くないですか?」

 「平気平気。さすがにこのくらいは鍛えてるから」

 「うらやましいですわ……」


 後ろを歩くカルネからの視線がざくざくと刺さって痛い。気づかないふり、気づかないふり。


 それにしても、デミは結構胸があるな。水着の時から気づいてはいたけど、背中にあたるむにゅっとした感触がちょっとだけ恥ずかしい。


 そうして歩いていると洞窟の出口はすぐに見えてきた。


 さっき感じた気配だが、結局洞窟から出るまで再び感じることはなかった。といっても、あたしはカルネとは違って音や臭いや魔力の変化を感じるくらいしかできないので、近くに息を潜めている可能性もなくはないけど。


 「結局、あれは何だったのかしら」

 「わかりません。わたくしの使い魔も何も反応しないようですし」

 「あの、あたし、もう大丈夫だと思います」


 自己申告に従ってデミを下ろすと、ちょっとまだ覚束ないようだが一応歩けるようだ。


 「何だったかはともかく、この島には何かあるということは間違いなさそうだな」

 「そうね」


 昨日の夜の怪現象にさっきの気配、それに昨日の昼の崖から落ちたはずの男子、偶然や気のせいで片付けるにはちょっと証拠が揃い過ぎてるわ。

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