表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺は猫×あたしは魔女  作者: 七師
サバイバル実習<後編>
102/130

03

 「とにかく、他にも被害者はいるらしくて、どれも怪我をしたとかいうことはないんだけど、ちょっと気味が悪いって話なんだ」

 「わたくし、昨日はずっとテントの周りを蜂に監視させていましたが、特に何も気づいたことはなかったですが」

 「あ、もしかしたら実行委員の余興じゃない? 今日、肝試しだから雰囲気を盛り上げようとしてるとか」

 「うーん。それにしてはいたずらが悪質な気がするけどな」


 昼ご飯を食べながらああでもないこうでもないと半ば冗談半分で話してみたが、結局それらしい結論にたどり着くことはできなかった。


 そもそも自分たちが体験してもいない怪現象のことをうわさ話だけで議論したって建設的な議論になるはずがないんだ。


 …………

 「もし幽霊船があるとしたら、それはクリッターの一種じゃないかと思うんだ」

 …………

 「いえ、クラーケンはもしかしたら過去に実在した生物という可能性も捨て切れないと思うのですわ」

 …………

 「それって、もしかして地球外生命体が地上に降りた痕跡なんじゃない?」

 …………


 そして、議題はコントロールを失ってどんどん漂流していく。そうこうしているうちに食べ物の方が先に尽きてしまった。


 「さて、じゃ、片づけますか。今日のこの後の予定だけど、それじゃ、昨日見つけた洞窟探検ってことでいいのね」

 「異議なし」

 「OK」

 「いいですわ」


 洞窟というのは、ビーチバレーの最中にあたしたちが見かけた海岸沿いにある洞窟だ。遠目に見ただけだったが、結構大きくて探検してみるには面白そうだ。


 もしかしたら探検中に怪現象にも出会えるかもしれない。


 てきぱきと食器を片付けて火の始末をすると、洞窟に向かって歩き始めた。


 ちなみにショコアとメイはお留守番だ。特にショコアは野生動物からテントを守るという重要な使命を帯びているのだ。


 話を戻して、洞窟は海岸からも見えるところにあるのだが、入り口まで行くならば多分森の中を突っ切って行くほうが早い。獣道のようなかすかな道を辿って目的地に向かった。


 「デミさん、大丈夫ですか?」

 「あ、はい。なんとか」

 「そこ、すべるから気をつけて」


 洞窟の入口付近は足場が悪く、声を掛けながら進んだ。特に、デミがこういうことに慣れていない様子で若干心配だ。


 「結構大きいな」

 「本当」


 ようやく目的地にたどり着いてみると、そこには直径2.5メートルくらいの大きな穴が崖のようになったところに開いていた。


 全員無事に集まったことを確認して、あたしは呪符を2枚とその辺で拾ってきた木の棒を2本取り出した。そして、木の棒の先端に呪符を巻き付けて唱えた。


 「<発火(レムス)>」


 すると呪符はぼんやりと発光し始めた。松明の代わりだ。


 「水と土の属性で発生させた光だから明るさはちょっと弱いけど、引火性のガスがあっても爆発したりしないから」


 そう言いながら、1本をカルネに渡した。洞窟内はカルネを先頭に隊列を組むからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この小説は、一定の条件の下、改変、再配布自由です。詳しくはこちらをお読みください。

作者のサイトをチェック
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ