4話
ファファファ~ン!!パンパンっ!
王都中で『時祭り』の始まりを告げる音が鳴る。
至るところで花びらを巻き散らして開催を祝う。
わぁぁぁあ!すごいキレーーイ!
お花たくさーーん!素敵っ!!!!
人がいーーっぱい!目が回っちゃうっっ
5年前はシアン国での開催だったけど、わたしは小さいから長旅は無理なので残ってくれたお兄さまとお留守番していたのよね。
そのためわたしにとっては始めて参加する『時祭り』!
うぅぅぅドキドキするけど、とってもワクワクするわっ!
そういえば、お祭りの最終日には家族みんなで王宮の会場へ行くのよね。
滅多に王都へ出てこないから王宮のことも知らないけど、どんなところだろう?
お兄さまが言うには、お料理もいままで食べたものと比べようがないほど美味しいんだって!なにそれっすごい楽しみ♪
お兄さまは跡取りなので10歳から王都全寮制の学園へ通っているため、友人であるユーリエンス殿下に呼ばれて王宮へ参ることも多々あるらしい。
すごいわ!!・・でも王宮には行きたくはないわ。
わたしはしがない子爵令嬢だもの、貴族としてマナーは最低限身に着けているけど、、
セドリック視点
プリム家は社交が好きじゃないし、出来るならば王宮なんてところ行きたくもない・・というのが本音、
今回は仕方なくだ。
ユーリエンス殿下に招待されているので断れなかった。
社交界には顔も出さないので周りの貴族みたいに振る舞うのは疲労困憊してしまう。
本当は参加しなくてはいけないのだけど、
うちは国で唯一薬草栽培の地のため忙しさと新薬の研究もしていることから功績があることで社交への参加は免除されている。
ひんしゅくを買ってしまい兼ねないことだけど、、みなさん薬の供給の大事を理解してくださっているので、、有難いよね。(ニコ)
いまの笑顔は黒いって?
見た目ふんわりだけども甘く見てもらっては困ります、これでもい結構はっきりきっぱり言うタイプですよ。
そうでないと家を守れませんからね~
特に一番下の妹はまだ婚約者もいないし、、妻もいるからしっかり守らないといけません。
まぁ色々と普段は隠していますよ。
今日はこんな大きな祭りに初めてリリベルを連れてきたので、楽しませてあげたいんですよねぇ。
妻も一緒にいますし、あぁ、楽しそうにしていますね(ニコリ)
露店の店番はすべて使用人がやってくれるので、各々自由に祭りを散策する。
あーあの露店、ベルが好きそうだな。
「ベル~!あっちにベルの好きそうなところがあるよ」
妹と妻と楽しみますか。
エリッシュ視点
とうとう祭りが始まった。
あたしたち第二騎士団は露店街から東側周辺を警備する。
団員みんなが予定通り配置につき、数名は二人一組のバディで巡回するのよ。
東側露店街と商店街の境目に騎士団本部を置き、そこに常駐するのはバディ二組の4人。
1週間のうち最終日以外の各日割りで、家族や恋人と祭りを楽しめるように1日休日を取るようにと決められている。
あたしと相棒の休みは最終日前日ね。
その日までにあの子に会えるといいだけど、、
今日は街中を巡回する担当だ、、相棒のネルと二人で回る。
とにかく最終日まで何事もなければいいのだけど。
こんなに騎士がいるのに馬鹿なことをする奴はそうそう居ないと思うけどね。
巡回しながら他国の騎士とすれ違い挨拶を交わす。
騎士同士も交流をする良い機会だ。
祭りが終わったら3か月後にはロティ国へユーリエンス殿下が視察へ向かわれるから、各騎士団から2名ずつお供するのだ。
あたしも選ばれちゃったのよねぇ・・・嫌だわ。
他国へ行くのは楽しみもあるけど、疲れるのよね。
同行する他の騎士とも話し合いしておかなきゃいけないわね~
もちろん現地では毎日視察なわけではないので、休日もしっかりとる。
ま、いまはとりあえず1週間乗り切らなきゃいけないし。
「ん~~特にいま回ってる感じでは問題なさそうねぇ」
ぐぐっと伸びをする。
「エリ先輩、そういえば昨日は災難っしたねぇだいじょぶっすか?」
のんびり後輩に問われる。
「んーだいじょぶよ~疲れるっちゃ疲れるし、怒ってたわよ、そりゃね(笑)でも仕方ないじゃない、、ミスなんて誰にでもあるし」
「まぁ、、そーっすけど。」
「むしろあの後がだいじょうぶじゃなかった感じよ・・・」
「??」
ネルは何のこと???っと頭をひねる。
「あのあと強い風が吹いたじゃない?それで何かに躓いて噴水に落ちたのよ、」
「は??」
「恥ずかしいんだから、あんまり想像しないでちょうだい」
「先輩が躓いた。。なんかの前触れっすか?」
まぁ、前触れと言わなくもないような・・
いまとなっては噴水事件はどうでもいいのよ。
あたしは見つけちゃったんだから、、
はぁぁぁいまごろどこにいるのかしら。
実は巡回中の反対側でリリベルが居ることとは知らずに真面目にお仕事をするエリッシュ。
「エリせんぱ~い、そろそろ巡回交代じゃないですか~休憩の間にちょっと露店いきませんか?」
「いいいわよーお腹もすいちゃったし。あたしが奢ってあげるわよ」
「ほんとっすか!ありがとございまっす!」
確か向こう側に美味しそうな出店があったはずだ、、この前下見したときの知識を思い出す。
「ネル、向こうに行くわよ~」
「いくっす!」
犬みたいだわね。まぁそういうところも可愛いけどね。
目星をつけていた店は、串肉と肉団子入り野菜たっぷりスープを売りにしてる店。頼めば追加でパンも2枚つけられるようだ。
肉も野菜も取れるなんて最高よ♪
「ここよ!あら、ちょうど空いてるじゃないっ、頼んでいいかしら~」
いそいそと店主に声をかける。
「はいよ!!いらっしゃい! おお、えらい美人さんだな!串肉おまけしとくよ~連れの兄ちゃんの分もな。ほい、こっちは肉団子入り野菜たっぷりスープな!うまいぞ~」
「店主ありがとう!美味しくいただくわ!宣伝もしておいてあげるっ」
「それはありがてぇ!!よろしくっ」
気前の良い店主だなと思いながら感謝しつつ受け取る。
わたしとネルは買ったばかりの串肉とスープを持って近くのベンチへと腰掛ける。
秋になり、ようやく暑さも落ち着いたと思ったらもう肌寒い。
温かい湯気が立ち上るスープに癒されながら、串肉も食べすすめていく。
「うわ~このスープ、温かくてうまいっす!ハーブを混ぜた肉団子が爽やかなアクセントになっていて、串肉との相性も抜群っすよ!」
「あー本当ね~体が温まるし、分厚い串肉にほんのり甘いタレが絶秒だわ~」
ネルも満足そうでよかったわ。
ん?向こうの花屋、いつもは店内に商品を並べているけど、今日はお祭りもあってか商品が半分外に並べられてるわね。
食べてから今日の寝室の花を見てこようかしら。
「んっごちそうさまでした!美味しかったわ~量も満足ね!ネル、あたしちょっとそこの花屋へ行ってくるからあんたここで待っててちょーだい」
「わかったっす!エリ先輩ゆっくり見てきていいっすよ~待ってますね」
ネルに見送られて、じんわりランプの明かり照らす花屋へと向かった。
さて、今日はどんなお花に出会えるかしら~落ち着ける白かブルー系のお花がいいかしらねー?
エリッシュとネルの食べたご飯、美味しそうが過ぎません?!私も食べたいっ!スープだけ・・・肉あまり得意じゃないんです;
明日はとうとう・・リリベルとエリッシュ再会しちゃいます~やっとか。