1つ目の問題
コンコン
「起きてたら、僕の部屋に来てくれ」
王子の声で目覚める。
眠い目をこすりながら王子の部屋に入る。
クララ「おはようございます」
ディラン「おはよう。昨日も疲れただろうし、朝から呼び出してすまない」
クララ「問題ありません。ちなみにどのような用件ですか?」
ディラン「ああ。君には伝えておきたいことがいくつかあるんだ。まず、僕の部屋に入る際は必ずノックをしてほしい。それと、国の外では皆 魚の姿に戻るんだが、生まれつき疾患のある僕は魚の姿では上手く泳げない。だから僕は国の外に出れない」
クララ「国の外に出られないとなると、国の問題を改善するのはもちろん、問題を見つけることさえ難しいのではないですか?」
ディラン「そういう事だ。だから君に協力して欲しい。僕が把握している問題はもちろん、まだ把握できていない問題も改善できるようにしたい」
クララ「分かりました。ただ、私は人間なので魚と同じように泳ぐことは出来かねます」
ディラン「それなら心配ない。数年前までは人間もここで生活していたのを聞いただろう?その人間が作った人間用のスーツがあるんだ。これを着て泳げば魚のように泳げる」
クララ「そんなスーツがあるんですね!であれば協力は出来ると思います」
ディラン「ありがとう。早速1つ目の問題なんだが、前に話したプラスチックゴミの問題だ。日に日にゴミが増え、環境汚染や誤食の被害が増えている。住人の被害を少しでも減らすために対策を考えてもらいたい」
クララ「誤食を減らすためには、ゴミを減らすことが必要ですね。でも人間に直接伝えるのは難しいし…」
悩んでいると、昨日の食事を思い出した。
クララ「そういえば、昨日の食事の材料は外から持ってきているのですよね?であれば、外での食事を禁止にして皆 国の中で食事をするのはいかがですか?」
ディラン「それは良い考えだ。しかし、全員分の食事となると大量の食料を取って来なければならないな…」
すると何かを思い出したかのように暗い顔をする。
クララ「……ディラン王子?大丈夫ですか?」
ディラン「ああ、すまない。昔聞いた話を思い出してしまって」
クララ「昔何かあったんですか?」
ディラン「…迷ったけど伝えておこうと思う。これは僕がこの国に来る前の話なんだ」
王子は深刻そうな顔をする。
ディラン「その種族の中にヨシノボリ族という種族がいたんだ。彼らは魚の国で王子たちと仲良く暮らしていたらしい。だが、ある日彼らは卵や稚魚を食べてしまったんだ」