魚の国の住人
何時間くらい経っただろう。
部屋でゆっくりしていると、王子に別の部屋へ案内された。
部屋に入ると既に住人が沢山集まっていた。
「皆、集まってくれてありがとう。ここにいるのは、"良い人間"であるクララだ。皆の紹介も兼ねて今日はパーティーをしよう」
ここは食事会場なのだろうか。長いテーブルに食事が沢山並べられている。
「私にも食べられる物があるかな…」
それを聞いたジョセフが答える。
「ここの食事はほとんどが人間も食べられるようになってオリマス!なぜなら昔人間もここで生活していたのデス!」
「人間がここに…?」
「ハイ!この魚の国をつくったのもその人間だと聞いておりマス」
「もしかしてその人間が逢ではないのですか?」
「元はその人間が王子だったのデス。王子は名乗ることがなく王子、と皆呼んでいたノデ王子の名前を知るものはいないのデス」
もしその王子が逢なのであれば、王子は何処へ行ってしまったのだろう…。
そんな事を考えていると、王子に呼ばれた。
「クララ!こっちに来てくれ」
そこには住人が集まっていた。
ディラン「まずはワカサギ族を紹介しよう。ライアンとその子供達だ。僕を合わせてワカサギ族は8匹いる」
ライアン「よろしく、クララ」
クララ「よろしくお願いします」
ライアンは顔立ちから優しそうだ。
ディラン「次はオイカワ族を紹介しよう。カイルとベラ、その子供達だ。オイカワ族は5匹いる」
カイル「クララ、可愛い名前だね。僕はカイルって言うんだ。よろしくね」
ベラ「ベラよ。分からないことがあったらなんでも聞いて頂戴」
クララ「よろしくお願いします」
2匹ともキレイな色をしていて顔立ちもいい。
人間でいう美男美女カップルってところか。
ディラン「次はカワムツ族だが、カワムツ族はまだ全員稚魚なんだ。全員で3匹いる」
ディラン「次はカマツカ族だ。ジョセフとジョセフの息子と娘の3匹いる」
ジョセフ「息子と娘に色々教えてあげてクダサイ」
クララ「私でよければぜひ。」
ディラン「次はゲンゴロウブナ族のヴァルとミラだ。ゲンゴロウブナ族は2匹いる」
ヴァル「クララって言うのか!俺はヴァル!力仕事には自信あるぜ!」
ミラ「よ、よろしく…お願いします…」
クララ「よろしくお願いします」
ヴァルはガタイが良くて確かに力仕事ができそう。ミラは引っ込み思案なのかずっと下を向いている。
ディラン「最後はアユ族だけど…彼らは集団行動を嫌っているから普段集まりには来ないんだ。今度紹介するよ」
その後は皆で夕食を食べたり、遊んだり盛り上がりながら、濃い一日が終わった。